アナザーストーリー first
雨宮猩くんの日常-
「全て私のせいだ……」
違う……お前のせいじゃない……
「私はいつから間違えていたんだろう」
間違えてなんかいないッ
「きっとこれが最後になると思うとから、これを貴方に贈るね。この光が貴方を護ってくれるから」
待って……行かないでくれ……
「大好きって最後に言えて良かった……」
俺をおいていかないでくれッ
PiPiPiPi
PiPiPiPi
PiPiPカチッ
……うるさいな
目が覚めちまった……
現時刻は6:30
なんだか昔の夢をみていた気がする……
PiPiPiPi
Pカチッ
えーっと今は7:05…って寝坊寸前じゃねーかッ
急いで学校行く準備しないとッ
「このタイプは3分か」
これなら問題ないな。我ながら運がいい。それに美味いしこれ。
その後、いつも通りに飯を食って家を出た俺は、いつも通りのバスに乗り、地下鉄を降りて学校へ向かった。
"平凡でつまらない日常"
こんな毎日が続くと思うと反吐が出る。
今はもう…あいつも居ないしな…
「って朝からなに暗くなってんだッ!」
「どうした?いきなり喋り出してw」
またお前か……小野村。出来れば関わりたくないんだがな、お前とは一生
「別にないでも無いし」
「なになに〜ショウちゃんも宿題やってないの〜?実は俺もなんだ!だからさ一緒に怒られちゃおうぜッ」
「いやそもそも俺が宿題やってない前提で話を進めるじゃねーし
それに今回も見せる気無いから他を当たれよな」
「へいへーい」
こいつは本当にうるさいな。
まあこういうのが居ない所なんてこの世に存在しないだろう。よって俺は耐える事にしてる。キレないようにしないとな。
今日は数学が1時間しかないという一週間で最悪の日だ。
だが嘆いても現状が変わるわけじゃないし堪えるしか無いわけでして。
いつも通りの授業を受けていつも通りのメンバーと話いつも通りの学校生活が終わる……
つまらない。張り合いがない。意味がない。
こんな毎日が続くくらいならいっそなにかしらのアクションを起こしてみようか。と何度も考えて妄想止り。妄想のうちはまだ良いんだがな。
最終授業が終わった。ようやく良介に会いにいける。良介とはこの学校で最も仲の良い友だちだ。俺の不良の様な見た目(銀とグレーを足して2で割った様な髪、浅黒い肌に真っ黒な左手。琥珀色の鋭い眼)を初対面で気にしないで話したかけてきた猛者だ。俺が学校で真面目に過ごしている要因の一つでもある。
4階から真下の教室へ向かう。
良介のクラスはSHRに時間が掛かる。多分学年TOPなんだろう。
いつも通り3階廊下の窓から外に出るモブ共を無視して桜の木を見る。この桜はあの頃から変わらない。あの暑くて死んでしまいそうな夏の日から、ずっと……
「よっ 待たせたな」
この声は良介だ。
「ん?あぁお疲れさん。掃除だったんだろ?こんなにかかったってことは」
「まあ俺は黒板を綺麗にするだけだがな。にしてもこの桜は綺麗だよな〜」
良介は黒板消ししかしない。
「そうだな」
そんなこんなでこの後は今ハマってるパ○○ラの話やポ○モ○の話で盛り上がる。大体2時間くらいなら校門前で話せる。
良介と別れた後はまたいつも通りのルートで家に帰る。
最近親父の店に行ってないな……
親父は俺に対する過保護さえ無くなれば凄くいい父親だ。
まああんなことがあれば過保護になっても仕方ないか…
帰りのバスでニュースアプリをみる。どうやら大村という人が殺された事件がまだ解決してないらしい。この事件で何も手掛かりがないというが、日本の警察はそんなに無能じゃないだろう。
まあ俺には関係ないがな。
いろんなことに首を突っ込まないことが俺のこの世界を平穏に生きるコツ。突っ込むから闇に呑み込まれる。俺はそんなヘマはしない。
そろそろバスを降りる頃だ。
準備をしておかないとまた降りそびれちまう。
ピンポン
バスを降り、俺は帰宅路を歩いた。日が傾いて周りを赤く染め上げる。家に着けばあの無機質な部屋が待っている。コンクリ打ちっ放しの部屋は俺の趣味だ。
「ただいま〜……っと」
誰もいないのにただいまと言ってしまうのは誰かがいるのを期待しているのだろうか。
朝はカップ麺を食べ、昼に昨日作った弁当を食べた。今晩はどうしようか。冷蔵庫にはありったけの食材がある。俺は肉じゃがを作ることにした。一通りの食材を光が切る。切れ味抜群。包丁要らずの能力だ。この肉じゃがは明日の弁当にも入れようか。
暗くなってきたし、オブジェ作りでもしようかな。
今日は普段行かない路地裏の方にしよう。
……思い立ったが吉日と言うが今日は何だか嫌な感じがする。今日は辞めておいた方が良いのだろうか。
結局今日は行かないことにした。 どうもあの時の胸騒ぎのようなものに似ている。別に怖気付いた訳じゃない。
ただ厄介事にならない生き方を遵守しただけだ。
シャワーを浴びて風呂に浸かること約15分間。風呂を上がりタンクトップとパンツを。歯磨きしてベッドへ向かう。俺は昔から寝る時は欧米スタイルだ。1人暮らしだしいいだろう。
ベッドに潜り込み数分。
俺は既に寝息を立てた。
このゼタつまんねー日常は朝の占いによると唐突に終わりを告げるらしい。だが今の俺には無関係だ。
終わって欲しい気持ちと終わらないで欲しい気持ち。
俺の中には矛盾する二つの気持ちがあるらしい。昔から。
俺の日常。生活。これがあんな唐突に終わりを告げるとは、
今の俺には予測が不可能だった。