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僕の欲しいもの
3年後―
今日も仕事が忙しい。満員電車は、いつも憂鬱だ。
仕事は、ほどほどに。
と誰もが言うけど、それが中々、難しい。仕事が終わり、また帰宅ラッシュで憂鬱になる。
明日が、休日なのが救いだ。
「彼女、まだ記憶が戻らないのか?」
あいつからのメールは、決まって、その言葉から始まる。
あいつは、昔から天才だが人がワルい。まぁ、許容範囲だが。
そう、僕は、あの日、あいつに自ら志願したのだ。
失った彼女を、取り戻すために。
あいつは言った。
彼女を救いたいなら等価が必要だと。
あのカプセルに入って、僕は、彼女と一緒に戻ってきたのだ。
あいつが言うには、僕は超人らしい。
つまり、こういう話だった。
老婆が、僕の救いたかった彼女で、僕は、彼女を背負って走り出して、警備員に扮する、あいつと会った。
みたいな話だった。あいつが、言う。
等価は、間違いだった。僕の方が多目に差し出していた、みたいな話だった。
僕は、右から左に聞き流したが、それは違う。
この電車から降りて駅を出て、僕が家に着いたら、きっかり「等価」なのだから。
(おわり)




