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ネーヴェ


残された天使達は一斉にラグリスに向かって特大の球体を飛ばし、ラグリスに触れると爆発させた──ハズだった。


「まだ僕は死ねない!!」


ラグリスは伸ばして硬化させた羽根で身を覆うと、特大の球体を反射させ3人の天使に直撃し爆発した。


「「「………」」」


爆発をもろともせずに3人の天使は無言でラグリスを殺そうとする。


ラグリスはかけられた呪いが全て解けていくのを感じると足元に落ちている血を使い、固まらせて一つの武器にしていく。


やがて剣の形が作られるとラグリスは右手に取った。


「これが。僕の武器」


ラグリスの右手には刀身が銀色の剣、フォールティアが握られていた。


ラグリスの目の前には襲ってくる天使達が瞳に映っている。


「ハアァ!!」


ラグリスはフォールティアの剣先を茶髪の天使の心臓に当てようとするも、茶髪の天使が体を反らしたせいで服にかすって破れてしまう。


「グゥゥオオオッ!!」


かすっただけの攻撃は天使の体内にある臓器を次々に破壊していく。

壊された臓器はやがて脳髄のうずいまでも破壊していき、ついに心臓を破壊された茶髪の天使は倒れて動かなくなった。


倒れた仲間など構うことなく、残りの天使は二人がかりでラグリスに襲いかかる。


紫髪の天使がラグリスの動きを封じるために目の前で魔法を使い鎖を作ると、剣を持つラグリスの腕に巻き付けていく。

それを確認した紫髪の天使はニヤリと笑うと、もう一人のオレンジ髪の天使はラグリスの背後に回っていた。


ラグリスの背後には一滴の血しか落ちていないことに気付いたオレンジ髪の天使はこう思った。


──たった一滴だけの血を使って武器や盾を作り出すことは不可能だ。この戦い、勝てるぞ!!


勝ちを確信したオレンジ髪の天使は、両手を前に出し魔法を放った瞬間だった。


「ガハッ!!」


オレンジ髪の天使は自分の背中から腹にかけて何かが貫通していることに気付く。


──槍!?


「血の一滴が地面に落ちていただろう。それを使ったんだよ」


「貴様は大量の血がなければ武器を作ることはできないハズ……!!」


「それは以前までの僕さ。今は一滴の血で作り出せるんだ」


ラグリスはそう言い背中を向けたまま、オレンジ髪の天使の背中に貫通していた槍を、指を使い操ると天使の背中から抜いた。


血がドクドクと流れているのをラグリスは匂いで察する。


「仕上げだよ」


ラグリスは地面に流れ続けているオレンジ髪の天使の血を使い地面から特大の剣を作り出す。


確実に天使を殺したいがため、嫌いな天使の血を使うことへの抵抗感は全くなかった。


早く殺させろとラグリスは心で呟く


オレンジ髪の天使は逃げる暇もなく串刺しにされ宙に浮かんだまま死んだ。


「あとはお前だけだ」


そう言ってラグリスは剣を持った腕に巻きついた鎖を左手の人差し指で触れると簡単に破壊した。


──素材が鉄だと、なんでも破壊できるのか


ラグリスは心の中でそう呟くと。鎖を破壊されて驚いている紫髪の天使に一瞬で近付き、右手にある剣を振るって天使の心臓を破壊する。


「アンドロス」


──男の時にしか呼び出せず、しかも大量の血が必要だったけど、今の女の姿でも呼べるのかな?


ラグリスは試しに自分の手首を右手の剣、フォールティアで少しだけ切ると、5滴の血を地面に落とす。

すると。黒い星形の魔方陣が地面に描かれていき、大型の赤いライオンのアンドロスが姿を現した。


「アンドロス。オリアクス達を呼んできて」


頷いたアンドロスは猛スピードで探しに行くのだった


こうして全ての天使を殺したラグリスは、疲労からその場に倒れた。


──


天界へと続く道にルシファーとラグリスの父親は転移した。


ラグリスの父親の意識は回復しており、疲かれからその場に腰をおろす。


「これくらいで疲れてるんですか? なんだか、すぐに死にそうですね」


ルシファーはクハハと笑いバカにするように手を叩く。


その様子を見てラグリスの父親は怒りを含んだ声色で告げる。


「そもそも貴様は、なぜ僕を生き返らせた!!」


「決まってるじゃありませんか。あなたは絶望を与える大鎌。オーディンの封印を解くために存在しているのです」


「オーディン……だと!?」


ラグリスの父親はオーディンという言葉に驚きを隠せなかった。

そもそもオーディンという存在はラグリスの父親と魔王カルマしか知らず、名前を知ることなど不可能だった。

魔王カルマは口が軽い悪魔ではなく、ラグリスの父親も誰かに話してはいない。


父親の疑問をよそにルシファーは続けた。


絶斬ゼツキは絶望を絶ち斬ると言われ、ついをなすオーディンは絶望を与えると言われています。オーディンがあれば、天界と魔界を全て壊せるのです」


「そんなことさせるか!!」


父親は怒りを露にするとルシファーに殴りかかるも、防壁により阻まれてしまった。


「大人しくしといてください!!」


ルシファーは赤い剣を魔法で出すと、防壁ごと父親を斬りかかった。


「ク……!!」


父親は間一髪で避けると後ろへ下がる。


「ルシアの一族であるアナタの血は封印を解くのに重要となります。しかも、男の血でしか封印を解けないんですから」


「だから僕を復活させたのか……!!」


「私は姉さんと違って誰でも蘇生させることはできず、自分が殺した者のみ蘇生させることができます」


ルシファーは悔しさからハァッと溜め息を吐き、フードを脱ぐと長いクリーム色の髪が風に揺れる。

眉毛が隠れた前髪からは紫色の大きな瞳がのぞく。


背丈や顔からしてルシファーは10歳にも満たない子供だった。


「とにかく、オーディンがどこにあるか探さねばなりません。まずは天界に行きましょう」


「グ!!」


そう言ってルシファーは魔法を使い、ラグリスの父親を動かしやすいように意のままに操るのだった。

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