弾丸
素手になったエルザの左手に紫色のオーラが発生し、 包み込んでいく。
「ならば少しだけ、 相手となろう」
エルザは巨大な赤い鳥の顔面に向かって、 羽根を生やさずに空高くジャンプする。
「グゥォォン!!」
赤い巨鳥は口から火の玉を10発吐き出すと、 エルザは左手の紫色のオーラを剣のように鋭く尖らせると火の玉を切っていく。
赤い巨鳥の顔めがけエルザは左手にある紫色のオーラを巨鳥の首にかすらせると、 頭がもげて地面に落ちた。
「……やるじゃない」
「次は汝の番だ」
ソラトは憎しみの目をエルザに向けると、 赤い巨鳥のもげた頭を、 無数の剣へと変化させ勢いよくエルザに放つ。
エルザはなんなく避けると、 ソラトの元へと走る。
「いい加減、 死になぁ!!」
ソラトは数百本の剣をエルザの背中を狙い飛ばした。 するとエルザはその場で空へと大きくジャンプする。
剣の数が多すぎるため一掃できないと考えたエルザは、 紫色のオーラを出すのを止めると魔法で両手に銀色の銃を出現させた。
「上に逃げたって無駄だよ!!」
数百本の剣は全てソラトが操っており、 エルザをバラバラに追いかける。
「なら、 撃ち落とす!!」
両手の銃はマシンガンになっていて、 空中で発射していく。
全ての銃弾は何かに当たると爆発するようになっていた。
一本、 また一本とエルザは次々に撃ち、 爆発させて剣を落としていく。
ソラトは舌打ちすると残っている赤い巨鳥の身体を魔法で浮かせるとエルザに向かって飛ばす。
エルザはマシンガンから無数の銃弾を発射すると、 赤い巨鳥の身体は爆発しエルザを巻き込んだ。
「エルザ!! 大丈夫か!!」
オリアクスが叫ぶとマーラーが攻撃を仕掛けてきた。
──まだ勝手に動くの!?
マーラーの身体は勝手に動かされ、 戦いたくないオリアクスに攻撃をしている。
──嫌!! もう誰とも戦いたくないよ!!
「エルザのことも気になるが、 アイツならきっと大丈夫だろう。 待ってろマーラー。 今止めてやる!!」
「オリアクス。 殺す!!」
オリアクスはエルザの事を信じており、 今はマーラーと戦うしかないと思っていた。
その様子を遠くから見守ることしか出来ない羅奈とラグリスは悔しい顔をしている。
(今は二人を信じるしかないわね!!)
一方、 ソラトは爆発が終わってからエルザの気配がないことに違和感を感じていた。
「反応がないってことは身体は──っ!!?」
ソラトがそう呟いた瞬間、 羅奈とラグリスを除いた全員が強大で禍々しい気配を感じた。
「なんだ……この気配は!?」
オリアクスは感じたことのない気配に驚くも、 同じ悪魔の気配なので味方だろうと感じていた。
だが、 ソラトは天使なのでその禍々しい気配の大きさに圧倒されていた。
マーラーはオリアクスへの攻撃をピタリと止め、 全員が気配のする方へ顔を向けた。
その気配は空から地上へと降りてきた。
目は赤く光り、 4本の鋭利な爪と何でも噛み砕く白い牙。
口からは白い吐息が漏れている。
大型の馬車よりも2回り大きい銀色の狼がソラト達の前に姿を現したのだった。