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新たな力


羅奈は眠りから覚めると、 ベッドを降りる。

ラグリスはまだ寝ており寝息をたてていた。

羅奈は壁の時計を確認すると針は9時ちょうどを指していた。


──ガチャ


ドアが開く音が聞こえ、 羅奈は音がした方へ顔を向ける。


「おはようございます」


燕尾服を着たダウが部屋に入ってきた。


「ダウさんおはよう。 元の姿に戻れたのね」


「ええ。 やっと戻れました」


ダウはニコっと笑うと話を続けた。


「エルザ様がお呼びです。 工房に来てください」


「わかったわ」


まだラグリスが寝ている中、 羅奈とダウは部屋を後にした。


──


工房の前に着くとダウは部屋を開け中に入っていく。

羅奈もダウに着いて行った。


「羅奈様をお連れしました」


エルザは目にクマが出来ていた。


「ダウ、ご苦労であった。ブラウよ、修理が終わったぞ」


「ありがとう。でも顔色がすごく悪いわ。大丈夫なの?」


「大丈夫だ。これを渡しておく」


エルザは絶斬ゼツキを羅奈に渡すとこう言った。


「軽く振ってみろ」


その言葉に羅奈は疑いをもつ。


「また火柱があがるんじゃないでしょうね?」


エルザは自信満々に答えた。


「今度は大丈夫だ」


そう言えばエルザとダウは羅奈から離れた。


「じゃあ、いくわよ」


羅奈は軽く振るうと刃が光り、赤色の斬撃ざんげきが直線に飛ばされ壁を抉った。

威力を確認したエルザはすぐに魔法で抉れた壁をなおした。


羅奈に気付かれないようフィリアはぬいぐるみから魂を抜くと絶斬ゼツキに入っていった。


羅奈は威力を目の当たりにして驚いている。 


「凄い威力ね……」


「これなら、向かってくる天使を遠距離から攻撃できるぞ」


「攻撃の幅が広がったわ。ありがとうエルザさん。それと、お疲れ様」


「そこまで喜んでくれると、徹夜した甲斐があったものだ」


羅奈は言い終わると上機嫌に部屋を後にした。

見送った後、エルザの体は睡魔には勝てずその場に倒れこんだ。


ダウが慌ててエルザの容態を確認するが、聞こえてきたのは寝息だった。


「エルザ様、お疲れ様でした」


ダウは違う部屋から枕と布団を持ってくるとエルザの頭に枕を、 体には布団をかけてやるのだった。


──


部屋に戻る途中、羅奈はカルミオと出会った。


「機嫌が良いようだが、何かあったのか?」


「エルザさんが絶斬ゼツキをパワーアップさせてくれたのよ」


そんな羅奈の様子を見てカルミオは笑みを浮かべるとこう言った。


「それは良かったな。ところで次に天使が現れたとき、ボクも着いていくがいいか?」


それを聞いた羅奈は不安な顔をした。


「構わないけど、オリアクスさんと戦うことになるのよ。大丈夫なの?」


「大丈夫だ」


「そこまで言うならもう何も言わないわ。でもカルミオさん、これだけは約束してね」


そう言うと羅奈は真剣な表情をする。


「なんだ?」


「大切な仲間のオリアクスさんを私達で連れ戻しましょう!!」


カルミオは羅奈が裏切ったオリアクスのことを仲間だと思っていることに嬉しくなり笑みを浮かべる。


「ああ、もちろんだ」


カルミオは羅奈にそう言うと、戦闘準備をするために別れたのだった。


──天界


オリアクスはヤーグと共に魔界へ行くための準備を魔法陣が描かれた場所でしていた。

外は吹き抜けになっており、何本もの青い柱がこの場所を支えていた。


「そういや、お前って兄弟いるんスか?」


「弟がいる」


「じゃあ、お前は弟と戦うっスよ。絶斬ゼツキの所有者との戦いはオレッちに任せるっス」


「わかったぜ」


「ヤル気満々っスねぇ!!」


ヤーグは楽しそうに笑うとオリアクスの肩に手を回そうとするが、 オリアクスはヤーグの手をはじいた。


「オレッちとオリアクス。なかなかいいチームになりそうっス」


ヤーグは手をはじかれたのを気にもせず言えば、オリアクスはつまらなそうな顔をする。

その表情を見たヤーグは念を押すために突然、空気を変わらせ本性をあらわした。

舌を出しながらオリアクスに言う。


「クク。頑張って絶斬ゼツキの所有者をブっ殺してくれよ、オリアクス!!」


「ああ」


──こいつヤバイな。だがおかしな事を言ってテンジンにチクられると厄介だ。ここは従っておくか


オリアクスはあくまでもマーラーを蘇生させるのが目的であり、所有者を殺すことなど全く考えてなかった。

ただ、絶斬ゼツキを持ってくればいいと思っていた。


「そろそろいいっスか!!」


「ああ。いいぜ」


ヤーグは魔法を発動させるとオリアクスと一緒に魔界へ瞬間移動するのだった。


魔界へ飛んだヤーグ達が見たものは荒れ果てた集落だった。

周りの家は倒壊しており、無数のツタが絡み付いた家もある。

まるで時が止まったような場所だ。


「着いたっスね。にしても壊れた家だらけで他には何もない所っスねぇ」


オリアクスは周りを見渡すとこう呟く。


「この場所は写真つきの本で読んだことがある。確か天使に壊されてしまったと書かれていたな」


「そうなんスね」


「ここなら被害も出にくいな。戦うにはもってこいの場所だが、エルザがいる塔はここから近いぜ。行くか?」


「そうっスね。もう一度転移魔法を使うっス」


ヤーグは転移魔法を使うとエルザの塔の入り口についた。


──


カルミオが大慌てで羅奈の部屋を訪ねる。


「この近くに天使の気配がある!!」


「やっぱり来たのね。位置は分かる?」


「気配が強いのは一階からだ!!」


「じゃあ行きましょう!!」


羅奈はベッドから降りるとラグリスが声をかけた。


「僕も行くよ。 戦うことは出来るから」


「早く行くぞ」


カルミオは先に行くと、羅奈とラグリスもそれに続いた。


羅奈達は一階の入り口のドアを開けると外に出た。


「やっと来たっスね」


ヤーグはそう言うと挨拶がわりに手の平から黄色い球体を放つ。

羅奈は絶斬ゼツキを振るうと刃から赤い斬撃ざんげきを飛ばす。


威力は斬撃ざんげきのほうが強く、球体を真っ二つにし、ヤーグはニヤリと笑い防壁で完全に防いだ。


「やるっスね!!」


「人をバカにしてイライラするわね!!」


そう言って羅奈はもう一度、斬撃ざんげきを飛ばすとオリアクスが氷の防壁をヤーグの前にだし、斬撃ざんげきを防いだ。


「どうして庇うの!!」


「オレが天使側についたからだ!!」


オリアクスはそう言うと手のひらから氷のビームを放つ。

するとカルミオが羅奈の前に炎の防壁を出し、ビームを蒸発させた。


「邪魔しやがって!!」


オリアクスは魔法で氷の剣を出し、手に持った。

カルミオはポシェットからナイフを取り出すと炎を纏わせた。


「アンタを連れ戻す!!」


「弟のクセに生意気だ!!」


オリアクスとカルミオ、 二人の戦いが始まった。

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