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決断


ヤーグは大きな湖を背に立っており、 オリアクスを待っていた。

予定通り、 オリアクスはやってきた。


「やっと来たっスね」


「一つ聞きたい。 お前は何が目的だ?」


「そりゃあ絶斬ゼツキを奪うことッスよ」


「じゃあ何故オレに親友の話をした!!」


「お前に真実を教えてやったのに、 少しは感謝して欲しいッスね」


その言葉にキレたオリアクスは右手を前に構えると手の平から氷のビームを放つ。

ヤーグは避けることなくビームが直撃するも無傷だった。


「!?」


オリアクスは驚き、 一瞬の隙ができる。

その隙をヤーグは見逃さなかった。

さらに言葉を続けていく。


「いいんスか!! 親友のマーラーを蘇生させなくて!!」


そう言ってヤーグは腰にある剣を鞘から抜いた。

オリアクスはその行動を見ると、 氷で作った剣を形成し、 手にする。


「蘇生が本当に出来るのか分からないだろう!!」


オリアクスは走っていき、 ヤーグを斬りつけようと氷の剣を振り下ろす。

ヤーグは剣で防ぎ氷の剣を折るとオリアクスを見つめた。


「出来るんスよ。 テンジン様なら!!」


そう言えばヤーグは左手を理解が出来ていないオリアクスの頭に置くと映像を見せた。


テンジンの前には横たわる子供の天使の死体がある。

テンジンが死体の顔に手をかざすと死体が金色の光に包まれていく。

輝きが消えた瞬間に、子供が息を吹きかえし、 ゆっくりと起き上がるとキョトンとしていた。


そこで映像は途切れ、 オリアクスはヤーグを見る。


「オレは……。 オレは!!」


「いまお前に見せた映像は事実ッスよ」


ヤーグがオリアクスに近付いてくる。


「実は親友さんの死体は天界の所に保管されてるんスよねぇ。 お前が天使側につくのを断るなら死体は燃やしてしまうッス」


その言葉にオリアクスは叫ぶ。


「やめろ!! マーラーを燃やすな!!」


「じゃあ決ま──」


ヤーグが言おうとした同じタイミングでナイフが数十本飛んできた。

ヤーグは防壁を出し、 防ぐと目の前で投げナイフを構えているラグリスを見る、 その横には絶斬ゼツキを構えた羅奈がいた。


「あーあ!! 良いところだったのに、 よくも邪魔してくれたな!!」


ヤーグは本性を現すと、 地面をグラグラと震わせた。

湖が振動により波紋を起こしていた。


「オリアクス!! 天使を取り押さえて!!」


ラグリスは揺れに耐えつつも天使の近くにいるオリアクスに声をかける。

だが、 オリアクスは返事もなく動かない。

不思議に思ったラグリスはもう一度声をかけた。


「オリアクス!! 聞こえないのかい!!」


オリアクスがその声にようやく気づくと、 ラグリスに向かって手のひらから氷のつぶてを発射した。


「!!」


ラグリスは一瞬にして投げナイフを血に戻し、 その血で作った盾を出すと氷のつぶてを防ぐ。

ガンガンと盾に当たる中、 ラグリスはヤーグにこう言った。


「まさか、 オリアクスに何かしたのか!!」


「ハァ? なんで俺のせいなんだよ!!」


ラグリスは氷のつぶてを全て防いだ盾を血に変えて槍にするとヤーグに狙いをさだめ、 投げつけた。

するとオリアクスの手が動き、 氷の防壁でヤーグを庇った。

槍は防壁を貫通し、 突き刺さっていた。


羅奈は様子がおかしいオリアクスに気付き呟く。


「まさか天使に操られてるの!!」


羅奈のハズレた言葉に手を叩いてヤーグは喜ぶ。


「ヒヒヒ!! お前の口から言ってやれ!!」


オリアクスは羅奈達の前に移動するとこう言った。


「オレは天使側につく、 だからお前達はここで死んでもらう!!」


そう言えばオリアクスは地面から氷柱を出し、 羅奈達に向かって本数を増やしていった。


「羅奈!! 逃げて!!」


ラグリスは大量の槍を氷柱に向かって飛ばして相殺していく。

羅奈は走ってその場を離れて木の上に逃げた。


ヤーグは頃合いだと感じ、 オリアクスに声をかけた。


「もういい時間だろ? 帰るぞオリアクス」


ヤーグは転移魔法陣を発動させるとオリアクスと共に消えたのだった。


「嘘だ!! どうして!!」


ラグリスはショックを受けてその場に座り込む。


羅奈も木の上から降りると。 その場に呆然と立っており、 言葉が出なかった。


ラグリスは羅奈と合流すると足取りを重くさせながら塔へと帰って行った。

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