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召集


天界の会議室にテンジンがドアを開けて入ってくと天使が声をかける。


「テンジン様、 カウト様を除くレッヒェルンの召集ができました」


「ありがとう」


テンジンは椅子に腰をかけると、集まっている白いフード付の服を着た5人の天使を見るとこう言った


5人の羽根は体の中に閉まっており、 どのくらいの強さか分からなくなっていた。


「ヴォールが絶斬ゼツキの所有者に殺されました」


それを聞いた薄いオレンジ色の髪が特徴的で見た目は好青年な天使、 ヤーグはおちゃらけた様子で答える。


「アイツ、 初仕事で殺されたのか!? 不運すぎるっス!! でもあまり強くなかったッスね」


「ヤーグっち!! いいすぎ!! ヴォールはウチ達に優しかったじゃない!!」


その言葉に反論したのはスタイル抜群の大人の色気を醸し出すピンクの髪の女天使ソラトだった。


「あ、 あの。 ケンカはよくないと思いますの……」


黒いゴスロリ服が特徴的な薄いピンク色の髪の気弱な女天使、 ハウイエルはそう言って二人をなだめようとしていた。


「ハウっち。 ウチとヤーグっちはケンカしてない。 ただ話してるだけさ」


「そ、 それならよかったです。 でもヴォール兄さまが死んだなんて……」


兄を殺されたハウイエルは涙を浮かべすすり泣く。

それを気にくわない様子で見ていた屈強な男天使、 エーアストはハウイエルに声をかけた。


「泣くなハウイエル。 いつまでもうぬが泣いていたら、 ヴォールが天国で休めないだろう。 しかし、 ヴォールが殺されたとは。 アイツは同族には優しい男だったな」


エーアストは椅子から立ち上がると泣いているハウイエルの頭を優しく撫でてあげた。


「でもでもぉ。 ヴォールさんは悪魔にはちょー厳しかったよねぇ!!」


無邪気に言ったのは水色の髪が特徴的な子供の天使、 アガリアだった。

アガリアはそのまま言葉を続けた。


「ヴォールさんが死んだのはどうでもいいやぁ!! だって皆いつかは死ぬじゃないかぁ!!」


アハハとアガリアが無邪気に笑うとテンジン含め、 その場にいた全員が引いていた。


「コホン、 とにかく皆さんには絶斬ゼツキの所有者を殺すか、 絶斬ゼツキを奪ってほしいのです」


テンジンがそう言えばアガリアが疑問を口に出す。


「奪ってこい、 殺してこいって結局テンジン様はどうしたいのですかぁ?」


「殺せるなら殺してください。 ですがカウトの情報によれば切られても血が流れないみたいなのです。 たぶん所有者は人間ではないとアタシは思っています」


「でもでもぉ、 うざったい悪魔が守ってるんですよねー? どーすればいーんですか?」


「おびき寄せて奪うか、 守ってる悪魔を殺すしかないですね。 アタシ達の狙いは所有者ではなく絶斬ゼツキそのものなのです。 皆さんもそこを間違えないようにしてください」


「「「はい!!」」」


「はーい。 わっかりましたぁ」


アガリアは殺してもいいと言われたので興奮してペロリと舌舐めずりをする。


「テンジン様。 お身体のほうは大丈夫ですか?」


エーアストはテンジンの体調を心配していた。


「あまり体調が優れません。 天界にあった絶斬ゼツキがなくなってから日に日に悪くなる一方ですよ」


それを聞いた女天使、 ソラトが口を開く。


「ウチ達は普段はこんなのですけど、 絶斬ゼツキを奪い返すためならなんでもやりますんで、 テンジン様は療養してください」


「ありがとうソラト。でもすでに天界の半分が消滅しているのです。早く絶斬ゼツキを封印の祭壇に置かなければ……」


暗くなる雰囲気に、 ヤーグが声を発した。


「とりあえず、 まずは様子見にオレッちが行ってくるッス。 んで、 殺せそうなら殺してきます」


「カウトの情報では赤髪が特徴の少女らしいです。 気をつけてください。 長引くような逃げなさい」


テンジンはこう続けた。


「良いですか。 カウトも含めあなた方はレッヒェルンにおいて最強の6名です。 最強の名に恥じないようにしなさい!!」


「はい!!」


「これにて終わりにします!! 解散!!」


テンジンは言い終わると、自分の部屋へと向かう。


「ゲホッ!! ゴホッ!! ……無理をしすぎたみたいですね」


フードを外したその顔は金髪のロングヘアーが美しい女性の姿だった。

頭の上には狐の耳と尾てい骨の位置には大きくて太い尻尾がある。


水と薬を飲み込むとテンジンはベッドに入る。


「ヤーグ。 どうか無事で戻ってきてください」


テンジンはそう呟くと眠りについた。


──


天界の大きな門にヤーグの姿があった。

ヤーグの背後にはレッヒェルンのメンバーがいた。


「ヤーグお兄様。 気をつけて行ってきてください」


ハウイエルはペコリとお辞儀をするとヤーグは照れくさそうに言った。


「ハウイエル。 そのお兄様ってのやめてほしいッス! オレッちは本当の兄貴じゃないッスよ」


「でも、 憧れのお方だからお兄様と呼ばせていただき──!!」


「ハウっち。 そのへんにしときな!!」


ソラトがハウイエルを静止させるとヤーグはホッとしていた。


「調子が狂ったけど、 行ってくるッス」


ヤーグは背中から青色の羽根を出し、 剣を腰にさす。

羽根を羽ばたかせて魔界へ向かうのだった。

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