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エルザは書庫にいた。


「……まさか急にこの姿になるとは」


エルザは小さくなった自分の姿を鏡で確認する。


「服もブカブカだ」


エルザは脱げたデニムを畳まずにその場に置いたままにすると四角い小さなボックスから白のカッターシャツと紺色の半ズボンを取り出し着替えはじめる。


──コツコツ


複数の足音がエルザの耳に入ると同時に着替え終わり、 落ちていた本を元の場所に戻していく。


「……この姿を見られるのは恥ずかしい」


エルザは今の姿を見られたくないのか隠れる場所を探そうとしたその時だった。


──ガチャ


「やぁ。 エルザ、 ダウが話したいことが──……いないや」


「どこに行ったのかしら?」


ラグリス達が部屋に入ると目の前には本が散乱していた。


「この部屋にはいないのかな? 」


ラグリスがそう言って部屋を後にしようとしたその時だった。


──バサバサ


何かが落ちる音がラグリス達に聞こえ、 音のするほうへ行くと多くの本が落ちていた。

ラグリスは一つの仮説を立てると大きな声で言った。


「エルザ。 もしかして隠れているのかい?」


ラグリスの大きな声にエルザは驚きのあまり狼の尻尾を逆立てると反射的にグルルと唸り声をあげる。

そのわずかな声をラグリスは見逃さなかった。


「こんなところにいたのかい。 ダウが話したいことがあるそうだよ」


「わかった」


エルザは隠れるのをやめると羅奈とダウの前に姿を現した。


「本当にエルザさんなの!? やけに縮んだというか……なんだかとても可愛いわ」


羅奈は笑みを浮かべ、反対にダウは口をポカンと開け驚いた表情をしていた。


「これがエルザ様の本来のお姿なのですか……。わたしのように魔力切れで動物の姿になったわけではなかったのですね」


その姿は狼の耳が頭にあり、髪型は変わり銀髪で身長は10㎝以上も低くなっているがラグリスよりは高く。年齢は10代前半と幼くなっていた。

動物の姿というよりも、人に狼の耳と尻尾を生やした外見をしていた。


「これが私の本来の姿だ」


声も幼くなっており威厳もなくなっている。


自信がないのか狼の耳と尻尾は垂れ下がっており、羅奈とダウにはとても弱々しく見えた。


「わたしはエルザ様はどんな姿になっても、お仕えすることには変わりありません」


エルザは耳と尻尾をピンと立て威厳のある声でこう告げた。


「当たり前だ。姿が変わったくらいで執事をやめてもらっては困る。いいか! この姿になったことは誰にも話すでないぞ!!」


「はい。エルザ様」


ダウはジャンガリアンハムスターの姿で頭を下げた。

その光景を見ていたラグリスは疑問に思ったことをエルザに問いかけた。


「エルザのその姿はダウと同じで動物の姿になったと思っていたらいいのかい?」


「違うぞ。私は実年齢の姿になっている。動物の姿はこんなのだ」


エルザの周りを黒い霧が覆う。しばらくして霧がはれると一匹の白い狼が姿を現した。

目はクリクリと愛らしく、小型犬の大きさをしていた。


「よっと……ほーら、よちよち」


ラグリスはエルザを抱きかかえ腕の中にすっぽりと収まらせる。

エルザは馬鹿にされたと思ったのかラグリスの腕の中で暴れ牙を剥き出しに唸り声を出していた。


「なんとなく狼に変身できる予感はしていたけど、こんなに小さいとは思わなかったわ」


羅奈は優しく頭を撫でると暴れていたエルザは少しだけ大人しくなった。

エルザは牙を剥き出しにしながら、ラグリスにこう言った。


「急に抱きかかえるとは不躾だぞ!!」


「エルザの小さい姿を見ると抱きかかえたくなるんだよ」


苦笑いをしながらラグリスはエルザを床におろすと、エルザは少年の姿に戻った。


「狼の姿も可愛いけど。この姿も可愛らしいわね。でも本当の姿に戻ってもエルザさんは身長が高いのね」


「この姿でも175センチあるからな。私の年齢からすると高いようだ」


「エルザさんの実年齢は何歳なの?」


「14歳だ」


「へぇ。私より年下なのね」


なんじが私より上だと? 冗談を吐くのはよせ」


エルザはバカにした笑みを浮かべるがラグリスが本当だと告げると羅奈に向かって軽く頭をさげた。


「いいのよ。気にしてないから。それよりエルザさんは王子様なのよね? 丁寧な言葉づかいはしたほうがいいのかしら?」


「急に敬語を使われると違和感があるので、そのままで構わぬ」


「そうだったのね、なら今まで通りの喋り方にするわね」


エルザは思い出したことがあるのか羅奈に告げる。


絶斬ゼツキを私に渡してほしい。 修理せねば」


「その様子を見せてもらえるなら渡すわよ」


「構わないぞ。ラグリスとダウも一緒にこい」


「はい。エルザ様」


先に行くエルザに羅奈達は着いていった。

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