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白か黒か


カルミオは現在、悪魔トイフェル・番人ヴァッヘの相談課の椅子に座っていた。

しばらくすると一人の女が向かい合わせに座る。


「ハァ~イ。ルシアと一緒にいたニット帽の子じゃない。今日は何の用かしらぁ?」


アストレアは猫なで声でカルミオに問いかける。

香水の甘い匂いが苦手なカルミオは引きつった顔で呟いた。


「天使とつるんでいた人間のことで報告にきた。敵だったので殺した」


カルミオは遺体の写真をトレンチコートのポケットから出すとアストレアに見せる。

その写真は心臓に短剣が刺さった男が撮られていた。


「これは魔界行きの馬車の運転をしていた男の死体よねぇ?」


「ああ。倒れた友人を看病したいと言ってきた。ボクは怪しいと思って様子を伺った」


「ふ~ん、どうだったのぉ?」


「黒だ。倒れた友人は天使で男もグルだった。このメモ帳に計画が細かく書かれていたので持ってきたぞ」


アストレアはカルミオから手帳を受け取るとページを開く。

中身は文字がビッシリと書かれていて日付も記入されていた。


「まさか絶斬ゼツキの所有者を殺すために初めから天使と組んで運転の仕事をしていたとはねぇ…。ところでアンタこれからどうするのぉ?」


悪魔トイフェル・番人ヴァッヘとなり。悪魔と絶斬ゼツキを守る」


アストレアはカルミオをバカにするように大きく口を開けた。


「悪魔も大変ねぇ~。絶斬ゼツキがなければ天使を殺すことも出来ないのですものね。悪魔のクセして役にたたないじゃない」


悪魔達じぶんたちを悪く言われたカルミオは怒りを顕にし、 反論しようとした時ーー


「カルミオさん!! 久しぶりだね」


聞き慣れた声がカルミオの背後から聞こえる。

後ろを振り向くとそこにはラグリスが立っていた。


「なぜ、こんな所にいる?」


「滞在書を貰いに来たのさ。羅奈は馬車で待ってるよ」


そうか。とカルミオが言うとラグリスがアストレアに声をかけた。


「先輩。滞在書を貰いに来ました」


「アタシの邪魔ばかりして!! 本当に空気読めないわね!!!」


アストレアはラグリスに怒鳴るとあたりはシーンと静まりかえった。 顔を真っ赤にさせ席を立つと急いで滞在書を取りに行くのだった。

その様子をみたラグリスはスッキリした笑顔で呟いた。


「いい気味だよ、ついでに派手に転ぶと面白いんだけどなぁ」


カルミオは内心、引きつつも自分の用件は終わったので、この後受ける面談場所へと向かった。

数分後にやって来た先輩がラグリスに滞在書を貰うと馬車に向かうのだった。


ラグリスは馬車の中に入ると羅奈の隣に座った。


「羅奈。お待たせ」


「カルミオさんは?」


「カルミオさんは面接だよ」


「ねぇ。悪魔トイフェル・番人ヴァッヘになるのはそんなに大変なの?」


「面接を合格してようやく採用だからね。天使を殺したり、人間と対立したりと汚れ仕事なんだよ」


「そう……」


ーーギィィ


ラグリスと羅奈は音がした方へ視線を向けるとカルミオが顔だけ覗かせた。


「二人とも先に帰ってくれ」


予想外の言葉にラグリスは目を丸くした。


「面接は終わったんだろう?」


「香水くさい女に帰らせろと言われた。ボクに話があるらしい」


「あの先輩め…!! カルミオさん。 昨日、魔界が天使に攻められたって知ってるかい?」


カルミオは昨日の事を思い出す。


悪魔トイフェル・番人ヴァッヘ達が大慌てで騒いでいたのはそれが理由だったのか……。結局どうなった?」


「悪魔達が退しりぞけてくれたよ。このあとは悪魔トイフェル・番人ヴァッヘがどう動くか分からないけど…。ああ、結果はどうだった?」


「合格だ。そ──」


カルミオがなにかを言いかけた時、 アストレアの大声が聞こえた。


「ちょっとー!!! 早く来なさいよ!!!」


「……ではな」


申し訳なさそうにカルミオはそう言って走っていった。

小さくなっていく背中を見て羅奈は嬉しそうに呟いた。


「カルミオさん。合格して良かったわね」


「そうだね。……時間に余裕があるから、せっかくだしカルミオさんと一緒に帰ろうか」


「うん」


数十分後にカルミオと合流し、魔界に向けて出発した。

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