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 今日は日曜日なので、藍ちゃんと公園で遊ぶ事にした。

 ふりふりの白と桜色の甘ロリに着替える。袖はふわんとしていて、たっぷりのフリルやレースでボリュームを作ったスカートは膝上で、白いレース付きニーハイに膝辺りまでリボンを交差させて結った桜色のパンプス。ツインテールには白いレースリボンと桜色の髪飾りが付いていて、ビスクドールが着てるような装いだ。

 僕の容姿は、普通の子供で子役みたいな美少女ではないけど、ほら、幼いってだけで可愛いし許されるよね。どうせ女の子に生まれたなら、目一杯お洒落やコスプレしてみたい。甘ロリってコスプレかな? 因みに、スカートや女の子らしい格好に抵抗はないよ! まだ子供だしね。


 近所のおばちゃん達に挨拶しながら、家を出た。ふふふ、最初は僕の服をお父さんの趣味か? と噂していたみたいだが、今はまあいいんじゃない? って結論に達したらしい。結局、お父さんはロリータ趣味ってのは定着したみたいだ。因みにお父さんはまだ知りません。

 公園には、すでに藍ちゃんがいた。そうそう、僕がこんな格好なのは泥んこ遊びをする訳じゃないからだ。今日は、僕にしか出来ない遊びをする。普通に遊ぶ時は、もっと動きやすい格好にします。「藍ちゃーん!」

「あっ、つづちゃん!」 手を振りながら駆け寄ると、藍ちゃんも気付き手を振り返してくれた。薄いブルーのワンピースがとっても可愛い。

 この緑池公園は、藻がビッシリ生え緑色に見える澄んだ池が特徴的な公園で、遊具も充実してるし結構人が居たりする。まあ、池には危ないからか柵があり、あまり近付けないが。藻があると言っても、水はとても澄んでいて綺麗だ。

 僕はこんな格好だからかちょっと注目を浴びながら、僕はカードブックを出した。無言で出し入れ出来ますよ。

「藍ちゃん、今日はどんな子が良い?」

「えっと……ふわふわで、可愛い子がいいなぁ」

「はいなー」

 仲良くなってから休みの日はこうして遊ぶ。能力の練習にも、ちょうど良い。



 この世界での魔法は、体育とか必須科目と同じ扱いである。護身にも役立つし、体育とか武道の仲間か。つまるところ、学問なのだ。

 魔法は、人に害のある魔法は町中で使うと理由によっては捕まるし、銀行とかでは魔法自体使えないようになっている。魔法を使うのに免許はいらないが、小さい子なんかはアクセサリー型の制御装置を付けられたりしている。

 そんな中、レアスキルに関しては規制がないに等しい。ガチガチに管理される訳じゃないし、大体規制するのが難しい。まあ、危険なモノに関しては、ちゃんとした保証人がいない限りちゃんと訓練を積まなきゃ使えないけどね。

 僕は、お父さんや天神さんが保証人になってくれているので、危険なモノではないし普通に使える。まあ、召喚能力は召喚するモノによっては危険だったりするが。 僕は、どんどん召喚してどんどんレベルを上げたいので、頻繁に召喚している。今も、そうである。


 僕のレアスキル《ワイルドカード》は、規格外でオンリーでユニークなスキルだ。僕が初めてのスキルだからか、スキル名はお父さんが決めた。確かに切り札っちゃ切り札だけど、頻繁に使っちゃってるからちょっと合ってない気がする。

 このスキルの特徴は、カードブックと物質のカード化、そしてスキル内スキルとカードの創造である。カード化したカード専用ファイルと、カード創造の為の本もあるのだが、今は関係ないので置いておく。今から使うのは、カードブックだ。

 カードブックには、前世で創ったカード(お蔵入りや僕が忘れ去っていたのも含め。カードにはネタ過ぎてボツになった裏設定も盛り込まれている)が全て納められており、消耗カードは僕のレベル数あり使っても一日一個(複数種消費してあっても、毎日全種一個ずつ)復活する。

 カードの使い方には、種類がある。今からやるのは、当然召喚だ。そして、使うには必要なプロセスがある。

 まずは、カードブックを出す。これは思うだけで出せる。手で触れなくても、近くなら好きな位置に出せて宙に浮いている。次に、ページを捲る訳だがカードブックは僕位あるし、厚みもかなりあり目当てのカードを探すには骨が折れるのだが、検索ワードを言うと勝手に捲れてくれる。検索ワードは、念じてもいいらしいがまだ僕には出来ない。

「えっと…、【召喚獣・可愛い・ふわふわ】」

 ワードは僕が認識してるモノなので、召喚人と言えば人型だけ出る。ふわふわとか可愛いとかでもオッケーです。

 独りでにパラパラ捲れ、止まったところはワードに合ったカードが並んでいる。検索すると、カードの並び順が変わるので次のページもワードに合ったカードばかりだ。ページには九枚ずつ納まっており、カードは15cm程のタロットカードみたいな形である。

 そして、目当てのカードを指で一度タンッ、とタップする。そうすればカードがページから外れ浮かび上がり、クルクル回る。それを手で掴み、絵柄を外側に向けて前に差し出すか投げるかをし、カード名を普通以上の声量で言う。

召喚サモン! 【スノーホワイトラビット】」

 ピシッと差し出したカードが輝き、光を含んだ竜巻が現れる。それは一度斜め上へと沸き起こり、地面に向かって雷のように落ちた。――――竜巻が消えたそこにいるのは、真っ白いふわふわもこもこのうさぎちゃん。大きさは馬くらい。

 これで召喚は完了。還す時はキスをすれば勝手に戻るし、万が一死んだ場合は丸一日経てば再召喚が可能になる。プロセスはこんな感じである。プロセス等は、ゲームのジャンルによって違っていたが、色々ごちゃ混ぜになっていた。



「うわぁ、可愛い〜っ!」

「スノーホワイトラビットだから、スノーちゃんだね! ふわふわ〜っ」

 目を輝かせた藍ちゃんと一緒に、スノーちゃんに抱き付いた。呼び方は安直である。

 きゅるるんな真っ黒い円らな瞳に、片方は少し倒れている長い耳、ふわふわもこもこの純白の毛に覆われた温かい体に、ピクピク動いている鼻と髭に首に付いた雪結晶柄が描かれた氷色のリボン。可愛いを体現したような姿は、もうマジで癒される。もふん!

 僕達はスノーちゃんの許可を貰い背中に乗り、ぴょんぴょん駆け回った。にゃふーい! 気っ持ちいーいっ!

 最初は落ちそうになったが、スノーちゃんがゆっくり気遣って動いてくれるので、すぐ慣れた。もうマジ最高です。

「スノーちゃん、池の方行ってー!」

「キュー!」

 普通うさぎは鳴かない(偶に怒ると鳴くが普段は鳴かない)のだが、うちのうさ子は鳴きます。かわゆい。

 僕は現在Lv.2なのだが、スキル【騎術】を覚えたのでそれにより、スキルレベルは低いが結構乗りこなせていると思う。藍ちゃんを支えながら乗れる程度には上手く行ってます。 召喚系のレアスキルってのは、意外とあるらしい。僕のがちょっと規格外過ぎるだけで、こうして単体だけならあまり目立たない。まあ毎回違う子を出すから、毎回見てる人は気に掛かるだろうが。


 ふわふわもこもこの毛皮が心地良く、風を切って移動するのが楽しい。僕はッ風になァるッ!

 きゃっふーい! と歓声を上げながら着いた池は、とても綺麗でデートスポットになってるからかカップルが多い。リア充爆発しろ!

 池を覗くと、魚が泳いでいる。鯉とかアブヤン魚とかサズイブナとか、前世と同じ生き物もいるがいなかった生き物もいっぱいいる。アブヤン魚もサズイブナも見た目が綺麗な淡水魚で、意外と美味しいらしい。ここは釣り禁止だけど、夜とかこっそり誰か釣ってそうだ。


 スノーちゃんから降り、池の側でまったりする。うさぎは寝そべると結構長くなるので、そのお腹に寄りかかる。スノーちゃんは女の子みたいだ。

 日向ぼっこしていると、周りから微笑ましいと言った目と笑みを向けられ、ちょっと恥ずかしい。年齢は肉体に精神が引っ張られるのか、大分幼児返りしちゃってるみたいだ。我に返ると無性に悶えたくなるな……。今日から、いくら懇願されたとは言え召喚人に世話して貰うのは止めよう。

 のんびりしながら、何とはなしに池の近くで遊ぶ子供達を眺めた。池には紐が繋がれた木の杭が柵代わりになっているが、越えようと思えば簡単に越えられるので、身を乗り出しすぎると落ちる。あの子達も、ちょっと危なさそうだ。

 一人の、離れていても目を引く一切混じり気のない漆黒の髪のぽっちゃりした少年が、他の少年達に囲まれてる。同い年くらいか? 僕の髪は一般的な日本人らしく、茶色や金色が混じった黒髪なので、物凄く綺麗なあの黒髪をボーッと見ていた。


 ……んーっと、あれは虐め……なのかな? ど突いたり、魔法でプカプカ浮かせたりして嫌がる少年を笑ってる。浮遊魔法は全員で掛けてるのかな。あれ、小さい内じゃ軽いものしか持ち上げられないみたいだし。…って、確かあれ人に使っちゃダメじゃなかった?

 ちょっと危ないかな、と思いあれ以上何かしたら部外者であるが流石に止めようかと、腰を浮かせた時だった。不意に宙に浮かんでいる少年がぶわっと横に動き、バッシャァン! と水飛沫の上がる音がした。


「スノーちゃん!」

「キューッ!」

 咄嗟に、僕はスノーちゃんを呼んだ。スノーちゃんはそれだけで僕の言いたい事を理解してくれたらしく、ピョンッと池の方に跳び、水の上を走った(・・・・・・・)。

「きゃっ!? つ、つづちゃんっ、スノーちゃん…!」

「……僕もビックリした。まさか出来るとは…」

 スノーちゃんは、バシャバシャと水を叩く溺れる少年まで跳ねるように走り、少年の襟首をくわえこっちに戻ってきた。

 スノーちゃんの走った後には、キラキラ輝く足跡・・が煌めいている。スノーちゃんなら何とかしてくれるかも、とは思ったが、これは予想外だった。

 驚き唖然としながらも、どうして水上を走れたのかは、あの足跡を見てピンと来た。目を丸くする藍ちゃんに、自分の推測を話した。

「多分、スノーちゃんが雪兎で氷属性だから走れたんだと思う。自分の足の着地点を計算し水上を凍らせ……ううん、足が水に触れた瞬間、その一瞬で自重を支えられる程度の頑丈な氷を足跡サイズに張ったんだ! だから、スノーちゃんは水の上を走れてる」

「わぁ…っ! スノーちゃん凄い! だから、キラキラしてるんだね…!」


 スノーちゃんは、キラキラと氷の結晶を周囲に舞わせながら、優雅に陸地に着地した。とても幻想的ファンタジーな光景を醸し出した救出劇に、歓声が上がった。

 スノーちゃんはべちゃ、と少年の地面に落とし、褒めて褒めてと言うようにすり寄ってきた。……あれ、スノーちゃん何で全然濡れてないの?

 スノーちゃんを撫でながら、少年を見る。濡れて艶を増した光の加減でブルーのようなグリーンのような色(う、羨ましい…! 僕は一般的な物なので、光の加減で茶色に見える)に艶めく、ブラックダイヤモンドのような綺麗な黒髪にうっとりしかけ、ゲホゲホと咳き込む音に我に返った。ダメダメ、うっとりするのは後にしよう。くそう、何で僕は髪フェチなんだ!


 そういえば、と。全く濡れていない、スリスリと頭を押し付けてくるスノーちゃんを見る。……ん、いや、水を操れると言うより、水の飛沫は体に付く前に凍らせちゃったのかな。なら、少年を乾かすのは無理か。

 スノーちゃんから手を離ししゃがんで少年の背中をさすりながら、どうしようか悩む。


「煌夜、大丈夫!? 今乾かすわ。【水よ我が手に(アクアコレクト)】」 深い緑の髪と瞳の小学生か中学生くらいの少女が駆け寄ってきて、ずぶ濡れの少年にそう言いすぐに乾かした。

 乾かした、と言うより、纏わりつく水分を集めたって感じだな。確か、水属性の初級魔法だったはず。

 少女は、さっぱりした少年に付いてる乾いた砂や土を払い、立たせた。僕にも手を差し出してくれたので、遠慮なく掴まり立った。


「ありがとう、弟を助けてくれて」

「けほっ……あの、ありがとう…」

 改めて見ると、緑の少女は美少女だった。すんごい美少女だった。絶世の美少女だった。うわーお煌びやかぁ〜。

 少年もとっても可愛いと思う。ぷくぷくしたまろやかなほっぺはつつきたくなる。涙目でお礼を言われたが、助けたのは僕ではないので居たたまれない。

「助けたのは僕じゃなくてスノーちゃんです。お礼ならスノーちゃんに言ってよ」

「キュ?」

 首傾げんじゃないよスノーちゃん。助けたのは君だからね? 何、あたち? あたち関係ないよ? みたいな顔してんの? って言うかうさぎの表情分かるとかどうなの僕……。 ちょっと自分の感性について自問自答していると、姉弟がスノーちゃんにお礼を言っていた。スノーちゃんは気性の穏やかな子なので、キューキュー言いながら受けている。因みに、藍ちゃんは人見知りが発動しずっと僕とスノーちゃんの後ろに隠れている。

「あ、私は美弥みやすめらぎ美弥って言うの。ほら、煌夜も」

「う、うん。あの、ぼくは、煌夜こうやです」

 そこでやっと名乗ってないのを思い出した。先に名乗らせちゃったぜ。と言うか、皇って……凄い名字だな。

「僕は色月しきづきつづりです。こっちはスノーホワイトラビット、通称スノーちゃん!」

「キュー!」

「ほら、藍ちゃんもー」

 後ろで様子を窺ってる藍ちゃんの背中に手を添え、隣に来させた。流石に人見知りの子を前に押し出したりはしないよ!

「あ、あう……ら、藍は、相川藍、です…」

 語尾が萎んでいって聞こえなかったが、真っ赤になりながらもバッチリ言えた藍ちゃんは、ギュッと抱きついてきた。

 藍ちゃんをイイコイイコしてると、美弥ちゃんがにっこり笑ってお願いしてきた。

「綴ちゃんに藍ちゃんにスノーちゃんね。もしよかったら、うちの煌夜と遊んでやってくれないかしら?」

「ふえ?」

「えっ、お姉ちゃん!?」

 キョトンと美弥ちゃんを見上げ……サッと顔を逸らした。いや、だって笑顔なはずなのに笑顔じゃないもん。目は笑ってないし、怒りを隠して無理に笑顔を浮かべたからかかなり歪で美少女フェイスが台無しだ。歪んだ口元は引き攣っていて、藍ちゃんが短い悲鳴を上げていた。 一体どうしたのか……と思っていると、美弥ちゃんはあの無理すぎる笑みを自然な苦笑に変えた。

「ごめんね? 煌夜を池に落としたくそガキ……男の子達にね、お話があるの。それまでいいかしら?」

 ああ、そういう事か。あの悪たれ共を懲らしめに行く訳ね。うん、まあ友達が増えるのは大歓迎だから、藍ちゃんが頷くなら了承するつもりだったが……お仕置きは難しくないか?

「藍ちゃん、いい?」

「ん……うん」

「じゃ、煌夜くん一緒に遊ぼ!」

「あ……う、うんっ!」

 手を出せば、ぱあっと輝かしい笑顔を浮かべた煌夜がその手を握ってくれた。

 そして、可愛い笑顔でうんうん頷きながら眺めていた美弥ちゃんに、気になっていた事を尋ねた。

「美弥ちゃん、あの男の子達はもう逃げちゃったよね? お仕置き出来るの?」

「あら綴ちゃん、お仕置きじゃなくてお話よ? オハナシ」

 それが怖いです。なにその笑顔。可愛いけど台詞が相俟ると怖すぎる。

「うふふ、心配はいらないわよ? すでに獲物ターゲットはロックしてマーキング……ごほんっ、魔法でどこにいるか分かる(いつでもボコれる)から」

 ……僕は何も聞いてない何も聞いてない。副音声も聞こえてきてない。

 美弥ちゃんが行ってから、僕達は三人と一匹で鬼ごっこや隠れん坊とかをして夕方まで遊び倒した。



 あ、煌夜くんとはその日からよく一緒に遊ぶようになりました。同い年で幼稚園は違うが、とっても仲良しさんです。

 ……あの悪たれ共がどうなったかって? あれ以来、公園で遭うと、正確には煌夜くんを見ると悲鳴を上げて一目散に逃げる、とだけ言っておく。何したんだ美弥ちゃん…。




友達増えたお!な回。

召喚獣ですが、基本一回こっきりの出番だったりします。だって出したいのがいっぱいいるもの!気に入れば再度出しますが……。なので、スノーちゃんの出番はもうないかもしれません。

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