三回戦
更新遅れました。しかも極端に短いです。ご了承ください……すいません。
それから、俺たちはほとんどの時間を“安らぎの樹”で過ごしていた。時々闘技場に行って他のパーティーの試合を見たり、広い敷地を散策することもあった。
強くなりたいと言ったちびっ子には、アーリアさん選りすぐりの地獄の特訓メニューでたたき上げを。ゼロと俺は、ティズさんとヤブ医者を相手に基礎も交えた応用へと発展していった。
……ちびっ子の体験したモロモロについては触れないでおく。だって怖ぇもん。
…………ゴホン。
まあ、そんな日々を経て、――――俺たちは三回戦のフィールドに立っていた。
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三回戦。
一回戦は乱闘まがいの肉弾戦。
二回戦は知能かがやく頭脳戦。
この二つは、事前に内容を参加者に知らされていた(しかし配布された紙に書かれた字は読めなかったので知らなかった)。
だからこそ参加者はそれに応じて準備し、パーティーを組んでこの“勇者決定戦”に参加した。
しかし、である。
三回戦はまったくといっていいほど情報がない。
何をするのか、誰と戦うのか。開けてみなければ分からないパンドラの箱である。
「一体何をするんでしょうね?」
「…………事前情報がまったくありませんから」
「ほんとにねえ。何をするんだと思う? 僕は魔物の解剖対決がいいなあ」
「そんなことが許可されるものか。父上が国内に魔物を入れるなど、ありえんわ」
「とりあえず、解剖はないだろ。あったら困る」
雑談を交わしながら立つ。大人組は観客席へと移動し、俺たちは他の参加者と共に中に散らばる。
「みなさん、お待たせしました……」
どこからともなく聞こえてくるレポーターの声に、会場に緊張が満ちていく。それぞれ張り詰めた表情をする参加者達が、観客席の中央に設置されてある簡易式の玉座に注目した。
「これから始まる、“勇者決定戦”最終戦は――――」
突然、ガチャン!! と大きな音がしたかと思うと、参加者が入ってきた全ての扉が閉じられた。
「なに!?」
「どういうことだ!?」
叫び声が消える前に、それは現れた。
玉座の下にある灰色の壁が音もなく開き、そこからなだれ込んできたのは。
「――――B級魔物との、命がけのガチンコバトルだ!!」
かつて見たこともない、醜悪な魔物どもだった。