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クロキ ユウ の ぼうけん  作者: ユミル
プロローグ
3/50

神は必ず人型である

感想を書いてくださった方、評価ポイントを入れてくださった方、ありがとうございます!

このことを励みに、今後ともがんばらせていただきます!

『で、話を聞いてくれる気になった?』

「はあ…………」

 今、俺は地面にあぐらをかいて座っている。

 目の前には先程よりも透明度が増した気がする(自称)神が、ふんぞりかえって俺を見下ろしている。…………こいつ、どつくぞ。


「んで、話ってなに?」

『この世界についての説明だよ』

 神が話しはじめた。


『ここは私が初めて創った世界なんだ。他の世界の良い所を真似してね。

 だからここには人間もいるし、君の世界に居たような動物もいる。

 気候や自然も君の世界によく似ている』


「確かにそうだな」

 俺は頷いた。さっき見た森や鳥達は、俺の世界の物とほぼ同じだった。

『でも、それだけじゃないんだ』

 神は、ここで急に話を変えた。

『私は君の世界に憧れていた。特に…………』

「ちょ、近い近い近い!」

 突然、神がこっちに身を乗り出して叫んだ。




『君の世界のゲーム!!』



「…………………は?」

 思わず呆然としてしまった。


「ゲーム…………だと?」

『そう!』

 神はそれこそ効果音が出そうなくらいに目をキラキラと輝かせた。


 …………ハッキリ言って、引くぞ。


『剣と魔法が重なり合うあのすばらしきファンタジーの世界!

ドワーフ・エルフ・ドラゴン・フェアリー達との出会い!

勇者と魔王の壮絶な戦いに、そこに至るまでの仲間達との友情・恋愛!

ヤバイ、ヤバすぎる!!!!!』


 ああ、確かにヤバイな。お前の頭。病院に行け。

 つーか、お前オタクだったんか。


『あの時だけは本気で君たち人間を尊敬したよ。人間の想像力は尽きることを知らない!

 だから私は、あのファンタジーを現実にしたんだ!!』


 ……つまり?

 1、神ゲーム大好き。

 2、ゲームを現実に。

 3、イコールここファンタジーの世界。


「…………………」

 驚きすぎて声も出ない。

 ここが、あのゲームの世界だと?


『あ、でも、別にどのゲームを参考にしたとか、そんなことはないから。

 全てのゲームのいいところをとって創ったからね。

 おかげで街とか増えまくって、お城も多いしさ~。

 何も考えずに創ってたら、魔王が大量に出来ちゃって…………』

「は…………はあああああああああ!?」


 俺は思わず叫んだ。だってそうだろう。

「おい、魔王って最強なんだぞ! それこそレベル1から育てた勇者でやっと勝てるんだ!

 なのに一匹じゃないって…………一匹倒してる間に他の魔王に攻められたらどーすんだよ!?」


 勇者がかわいそうだ。

 もとから俺は「パーティー組んで魔王倒すって、言っちまったらリンチだよな」とか思っていた。

 だがこうなると……逆リンチ発生!? いじめられっこの逆襲か!


 そんな俺の必死の叫びを聞いて、神はニッコリと笑った。

 …………嫌な予感。


『君って意外と頭イイね~。そ。君が今回ここにいるのはそのためなの』

「……え?」

『え~と、簡単に言うと、こうなる』


 1、テキトーに魔王じゃんじゃか増やしてやったぜ☆

 2、あ、やべー。人間絶滅しそう。

 3、勇者勇者勇者、ちょ、勇者足りないー! 誰か持ってきて!

 4、俺、召喚☆


「て…………てめえ……」

 俺は怒りにプルプルと震えた。なんだって――――!

 それって完全にお前が悪いだろ!

 つか――――――――――なんで俺!?


『一応勇者こっちで製造してたんだけど間に合わなくてさ~。

 そこでちょっと休憩してたときに君見つけたの』

 え、え!? ていうか勇者製造って――――――工場か!?

 その時、俺と神の目が合った。




『その命、捨てるくらいなら私がもらう』




「……なんで捨てようとしたかは、聞かないのか」

 そういうと、神はふっと笑った。

『なんとなく予想ついてるしね。それに、無理やり連れてきちゃったおわびもしたんだから』

「おわび?」

 俺が首をかしげると、神はちょっと顔を引きつらせた。

『ほら……身体能力がめちゃくちゃ上がってたでしょ』

「ああ! あのキック力か!」

 これで納得がいった。よかった、変な病気とかじゃなくて。





 病気なんて、今かかってるやつだけで充分だ。





『他にも色々あるんだよ~』


 神がうれしそうに披露する。

『視力もよくなったし、ここには魔法もあるから、魔力も最大にしといた。

 それと……君のその病気も』



 体が、震えた。



『よほどの事がない限りは、発作も出ないようにしてある。

 でも、君の世界の病は強すぎて……ここまでしか』

「いいよ、別に」

 俺はぶっきらぼうに言った。


「もともと一回捨てた命だ。気にしない」

『そう……ならいいや』


 突然、神の姿が薄れ始めた。

 どんどんと完全な透明に近づいていく。


「お、おい!?」

『んじゃ、私はこの辺で帰るわ。あ、そうそう、一つ言い忘れてた。

 なぜこっちに引っ張ってきたのが君だったのかというと――――』


 そして、神は完全に消えた。


「……最後まで言ってから行けよ」

 気になる。めちゃくちゃ気になる。

 そんな俺の声が聞こえたのか、また空から一枚の紙が。


 ヒラリ、ヒラリ。


 掴み取ったそこに書いてあったのは――――――。


『かわいそーだから、たすけてあげました。えらいでしょ? by神』


……ふざけんなァァァァ!!

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