現実
更新遅れまして申し訳ありません。なお、今後は週一のペースで更新できるだろうと思われます。それでは、どうぞ。
ベッドから体を起こして、やることも無く宙を見つめていると、ふいに部屋の外が騒がしくなった。
何事かと思いリビングに繋がるドアを開くと、そこには。
「うるさい黙れ無礼者! “白”の分際で王族にはむかうなど言語道断いたたたたたたたあ!?」
「…………少しあちらを向いておいてください。この害虫をチリも残さず駆除しますから」
「何この状況。デジャヴなんだけど」
ゼロを後ろに向かせながらちびっ子に向かってメスを構える(というかもう何本か床に突き刺さっている)アーリアさんと、顔を青ざめさせながらも王族としての威厳を保とうと無駄な努力をしているちびっ子がいた。
「おいちびっ子。お前は何回アーリアさんの怒りを買ったら気が済むんだ」
実は自殺志願者だったのか?
「違うわ馬鹿者が! つかちびっ子言うな!キール様と呼ばぬかうぎゃあああああ!?」
「…………あなたなど害虫で充分です」
「はいアーリアさんストップ~。それ以上やるとちびっ子が三途の川渡っちゃうから」
「ユウ様、三途の川って何ですか?」
「……えーと、あれだ。天国にある黄金の川だ」
「ユウ様は物知りなんですねー」
ちょっとした好奇心で嘘をついたらあっさり信じられてしまった。何この罪悪感。ゼロのキラキラとした尊敬ビームに押しつぶされそうなんですけど。
とりあえずゼロにアーリアさんをなだめてもらい、ちびっ子を引っぺがす。ちょっと勢いが強すぎて床に頭を打ったとか気のせい気のせい。
「つーかなんで喧嘩してたんだよ」
いまだにらみ合う(アーリアさんが圧倒的に有利に見える)二人を見ながら呆れたように言うと、ちびっ子が勢いよく口を開いた。
「この女が俺の事をそこの“白”より弱いなどとほざくからだ!」
「…………事実を言って何が悪いんですか害虫」
「アーリアさんちびっ子の事害虫で定着しちゃってるんですけど。つーか弱いだろ」
「ありえんわ! まだ若輩者であっても王族の端くれとして、そこらの貴族どもよりも魔力量も熟練度もはるかに違う。それなのにたかが! たかが“白”に負けるだと!?」
「でもキール様、腕相撲私に負けてましたよね」
「……あ、あのときは体調が優れなかっただけだ! いざとなればお前の一人や二人、指一本で倒せるわ!」
「見栄張るな。お前の今の腕力じゃ百回やっても無理だから」
つーか俺ですら負けるのにちびっ子が勝ったりしたら泣く。マジ泣きしてやるからな。
「つーかちびっ子の実力知らないんだよなー」
強いのか弱いのか。使えるのか使えないのか。守らなければならないのか。
三回戦はおそらく、一回戦と同じような肉弾戦だ。ここでちびっ子の力を見極めておくほうが、今後の方針を検討できる。
「お前確かゼロより強いって言ってたよな。今からそれを試してみるか」
「どうやってやるんですか?」
俺はゼロとちびっ子を見てニヤリと笑った。
「――――真剣に、一対一のガチンコ勝負だよ」
後に、アーリアさんから「…………あの時のあなたは魔王レベルで気持ち悪い笑顔でした」と冷たく言われ、本気で自信をなくした。