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クロキ ユウ の ぼうけん  作者: ユミル
“勇者決定戦”編
26/50

お食事タイム

 四人で廊下を歩きながら、俺は内心後悔していた。


 らしくもない説教じみたことをしたのもそうだが、アーリアさんを試すような事をしてしまったのもいけなかったと思う。

 俺が今まで経験してきた過去と、アーリアさんの過去は何もかもが違う。だから性格も容姿も何もかもが違うことは当たり前なのだ。


 それなのに、偉そうに説教たれて訳の分からないことを喚いて、自分の価値観を押し付けてしまった。


(……あれはだめだったよなー)


 やめときゃよかった。


 はあ、とため息をついた。


 前を見れば、身分に天と地ほどの差がある子供が二人、言い争いながらもどこか楽しげに会話をしている。それを後ろから見守り、時々王子サマに鉄拳を食らわせている女性も、かすかに口元がほころんでいた。


(……うん。後で謝っとこう)


 そう決めて、再び前を向いた。


(……それでも、)


 それでも、何か変わったものがあるのならば。


 それでいいと、思った。


~~~~


「よし、飯食おう」


 腹が減っては戦は出来ぬという。その通りだ。


 空腹というものはとてもじゃないけど耐え難いもので、俺は前に居る三人に急遽そのことを告げ、行き先を食堂に変更した。なんだかんだいって腹が減っていたらしい子供二人は、我先にと駆け出す始末だった。


 食堂に入ると、なかなかの盛況ぶりだった。バイキング形式のようで、さっきからひっきりなしに料理人が右往左往している。


「何食おうかな……」

「あ、私アレがいいです!とってきますね」

「おい、俺の分もとってこい」

「…………(ギロリ」

「ひ、ひいッ!!」


 すぐさま皿を持って料理を取りに行くゼロに、ゼロをパシろうとしてアーリアさんににらまれているちびっ子。それを横目に苦笑しながら、俺も皿を持って立ち上がった。


「んー、とりあえず肉。あと肉と肉と肉と……お、肉じゃん」


 目に付いたものを片っ端からとっていく。え?肉ばっか?何言ってるのかわからないなーアハハハハ。


 意外と空腹は限界に達していたようで、俺はすぐさま料理にかぶりついた。

 染み出てくる肉汁を堪能し、食感に舌鼓を打ちながら食事を進めた。


「二回戦も終わりましたし、次の試合まではまだまだかかりそうですね」


 ゼロが周囲を見回しながら言う。

 まあ、もっともだろう。一回戦でかなりの数がふるい落とされたとはいえ、残りの数も半端じゃない。


「ふん、頭脳戦では負ける気がしないわ」

「……お前さー、それはつまり肉弾戦では負けるって事だよな」


 ゼロにも負けないとか言うからパーティーに入れてやったのに。

 ちびっ子は知らないようだが、ゼロは強い。腕力なら、きっと俺が五人居ても勝てない。


 ……言ってて悲しくなってきた。十一歳の女の子に負ける俺(十七歳)って一体……。


「…………ゼロの足を引っ張ったりしたら、あなたたち二人ともちょん切ってあげます」

「いやいやいや、たぶん無理ですそれ」

「ふ、情けないやつめ。たかが十ほどの子供に負けるというのか」

「お前も子供だけどな」


 子供といわれてギャンギャン喚くちびっ子を押さえていると、そのやり取りを聞いていたゼロがニッコリ笑っていった。


「じゃあ、キール様。私と勝負しませんか?」


~~~~


「この俺が負けるとでも?はっ、寝言は寝て言え」

「ふふふ、私これでも、腕力には自信あるんですよー」


 テーブルを挟んで向かい合う二人。二人とも笑いながら火花を飛ばしているのがなんともいえない。


 お子様二人は、たがいの肘をテーブルにつき、手をがっしりと握り合っていた。

 まあ、所詮は腕相撲というやつだ。


「よーし、準備は良いか?そろそろ始めるぞ」


 俺は二人の手を包むようにして持つ。


 そして、言った。


「――――レディ、ゴー!!」





 ――――次の瞬間、ちびっ子の腕がテーブルにめり込んだ。


 ベキッ!!!!!


 異様な音を立てた俺たちのテーブルに、いっせいに視線が集まる。

 無言の沈黙を破ったのは、勝者の明るい声だった。


「あは、すいません。手加減できなくて」


 笑う勝者と悶絶する敗者。両方とも子供なのに、そのかもし出す雰囲気に、俺は顔を引きつらせるしかなかった。

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