第一話 終わりと始まり
はじめまして、初投稿です。
拙いところもあると思いますが、楽しんでいただけたら嬉しいです。字が間違ってるところがあるかもしれないけどごめんなさい。
十五歳の春
少女の名は、美香だった。
父の怒鳴り声が、響き渡る。
次の瞬間、背中を突き飛ばされ、足が宙を踏んだ。
階段を転げ落ちる衝撃。
骨が軋み、息が詰まり、視界が暗転する。
――ああ。
痛みより先に、胸に妙な安心感が広がった。
やっと、終わる。
恐怖でも、悲しみでもない。
それは長く張り詰めていた糸が、ようやく切れるときの安堵だった。
目の前が光った。
そして――。
目を開けると、そこは病院ではなかった。
白い天井ではなく、赤い架子が目に写った。
そして、鼻をつくのは薬草みたいなこと香の匂い。
「……生きてる?」
声は掠れていた。
起き上がろうとして、違和感に気づく。
「何か変…‥」
伸ばした手は妙に綺麗で、爪も綺麗だった。
「三小姐、お目覚めですか」
振り向くと、見知らぬ女がいた。
私は唖然とした。
急いでそとにでた。
私が目にしたのは、まるで昔の国みたいだった。
みんな漢服を、着ていて車ではなく馬に乗っていた。
――理解してしまった。
ここは、明朝
「これは夢なのか?」
何もかの分からなくなり、口が閉じなくなった。
そして自分は、沈家三女、沈嘉樹なのだと。
私は沈家を歩き回った。
そしてすぐに知った。
沈嘉樹は、正妻の子ではなかった。
早くに亡くなった妾の娘。
衣食は与えられているが、期待も愛情も向けられない立場だった。
屋敷の隅で、静かに息をして生きる存在に過ぎなかった。
前世と今は全然違っていた。
前世では、怒りが爆発する直前の空気だった。
そして信用する人もいなかった。
「今も同じっか‥‥」
むしろ――。
この世界のほうが、影は濃い気がした。
嘉樹は、それからの数日を、ほとんど誰とも言葉を交わさずに過ごした。
もともと屋敷の中で存在感の薄い三小姐だった。部屋に籠もっていても、咎める者はいない。
「……暇、だなやっぱ忙しいほど楽だな‥‥」
ぽつりと零して、嘉樹は立ち上がった。
どうせ誰も構わないし、そう思うと、足は自然と書庫へ向いていた。
沈家の蔵書は思いのほかにとても、多かった。
経書、史書、詩集、兵法書、医書、占いの本まであった。
「……全部、読むか」
そう決めてからの嘉樹は、黙々としていた。
朝から夜まで本を開き、文字を追い、考える。
不思議なことに、難しいはずの漢文が、すっと頭に入ってきた。
まるで、もともと知っていたかのように。
――前世の私なら、こんな時間はなかった。
怒鳴り声、理不尽、逃げ場のない日々。
何かを考える前に、感情が先に壊れていた。
ページをめくりながら、前世の記憶が静かに重なってくる。
「……なんで、ここなんだろ」
なぜ転生ではないのか。
なぜ赤子からやり直しではなく、同じ十五歳なのか。
なぜ、よりによって“愛されない娘”という立場なのか。
(これも何か意味があるのかな‥)
答えは、どの本にも書いていなかった。
けれど――。
「……やり直せ、ってこと?」
嘉樹はふと、そう思った。
その瞬間胸にあった何かが切れた気がした。
「でもなぜやり直す、やり直すなら赤子の方がやり直しやすい‥」
終わらせるために来たのではない。
逃げるためでも、罰を受けるためでもない。
前世で持てなかった“時間”と“静けさ”を、与えられただけなのかもしれない。
沈嘉樹という少女は、期待されない。
愛情を向けられない。
だからこそ、誰にも邪魔されず、誰の役にもならなくていい。
「……なら」
本を閉じ、嘉樹は小さく息を吸った。
「私のために、生きてもいいか」
誰かに認められるためじゃない。
家のためでも、父のためでもない。
この世界で、どう生きるかを考える自由が、今の自分にはある。
知識を集めよう。
この時代を知ろう。
沈家の中で“静かな存在”であることを、武器に変えよう。
嘉樹は再び本を開いた。
その瞳には、先ほどまでの虚ろさはなかった。
終わりだと思っていた場所で、
私は、ようやく始まりの頁をめくったのだった。
だが過去のトラウマはおそらく永遠に胸にやきつけられるだろう。
多分家族全員で仲良く暴力のないところで生まれたら私はもっと自分に自信を持てたんだろう。
死ぬ前に家族に「生まれてきてくれてありがとう」と言って欲しかった。
いや「愛してる」だけでも言って欲しかった。本を捲る手はずっと止まらなかった。
(医者になりたっかたな…)
でも急に、自分が馬鹿のように思えてきた。
さっき新しく生きるって心で決めたのに、まだ過去を引きずってる。
(馬鹿みたい)
でも久しぶりに感情が出た気がする。
まるで新しい自分に出会ったみたいだ。
(嘉樹の部屋を探ってみよう何故ここにきたかの理由があるかもしれない。)
嘉樹の部屋を隅々まで探した。そしたら、クローゼット、いや箪笥の中、とんでもないものがあった。私は一度箪笥の扉を閉めた。そして、一度深呼吸した。
箪笥の中には、血まみれの、漢服と血まみれの小刀があった。
私は咄嗟に声が出た。
「嘘でしょう…」
手の震えがと額に流れる汗が止まらない。
このままにしたら絶対私がやったことになる。
(隠すしかない…)
私は急いで、あまり使わなくなっていた。屋敷の物置小屋の籠の下に隠した。
(証拠隠滅できたことを願うしかない)
ここまで読んでくださりありがとうございます。少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。続きも楽しみにしてください。




