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第三章 コミュ障陰キャぼっちでもライブはできますか? 第三十九節

今の私にできることは…

「あ え、ちょっと…」

抱きついてきたメイリンちゃんに驚いた私は後ろによろめきながらなんとか転ばないように耐えた…

「そのー メイリンちゃん?」

「やっぱりメイリンのコト 見つけてくれるのは蓬なんですネ…」

彼女の声と息が胸の辺りに伝わる

その熱と振動に鼓動が妙な高まりを覚えつつも私はそっとメイリンちゃんを引き離した

「あ、あのねメイリンちゃん、ここって一応立ち入り禁止だからさ 怒られる前に戻ろう」

「戻るってドコにですか?」

「あ、えと…」

目を赤く腫らしたメイリンちゃんが上目遣いに聞いてきた

鼻声で子供みたいに泣いたままの彼女を見ると言葉に詰まった

みんなも心配してるだろうから学校に戻るつもりで話したけどメイリンちゃんからしたら学校に戻るのは気まずいことに気が付く

「その… お家に帰るみたいな?」

「メイリンのお家… 一人でですか?」

「うっ…」

さすがにそんなふうに見つめられると一人で帰ってねなんて言えなかった

普段なら頼まれても気が引けて家まで送るなんてしないんだけど この時の私はというと

「分かった… 私がお家までついていってあげるから だから泣かないで ね?」

「ほんと… ですか…?」

まだ涙を浮かべたままだけど少しだけ安心したみたいにメイリンちゃんは言った

「う、うん それでメイリンちゃんの家って…」

「メイリンのお家は… ここカラ、ちょっと… 遠いです」

「そうなんだ 電車に乗るの?」

「イイエ 迎え、ヨビます…」

メイリンちゃんは私から離れると制服のポケットからスマホを取り出してどこかに電話をかけた

それからしばらくして私のそばに戻ってくると

「お迎え… もうすぐ来マス」

「そうなんだ あの… 急に私まで付いて行くのは迷惑じゃない?」

「大丈夫デス 車、大きいから 蓬も乗れますよ!」

「う、うん…」

なんとなく話が嚙み合ってない気もするけどここでやっぱり一人で帰ってなんて言えなくてメイリンちゃんが良いならと受け入れることにした

したんだけど…


 メイリンちゃん家の車は大きいらしい

その情報だけで私は勝手にファミリーカーみたいな車を想像してた

そもそも普段家族が乗ってる車が軽自動車だからそれぐらいしか想像できなかった


けどやってきた車はというと…

「リムジンじゃん!?」


コンビニの駐車場に停まったその車はあまりにも場違いな気がした

一般的な車の二倍以上はありそうなその車は車に詳しくない私でも分かる車種…

いわゆるリムジンだった

「お待たせしました お嬢様」

車から降りてきた黒服の男性は恭しく一礼した

「いいえ よくここが分かったわネ」

「失礼ながらお嬢様のスマホの位置情報を確認致しましたので」

「そう パパが勝手につけたものダケドこういう時に役立つならまあいいわ」

メイリンちゃんはさっきまでとは別人みたいに淡々と話している

私があっけに取れれていると男性はこちらに気が付いたようだった


「あちらの方は先ほどお嬢様がおっしゃっていた…」

「ええ、蚊帳ノ蓬… 私のフィアンセよ」

なんかすごく発音よくフィアンセとか言われた気がする

いや、きっと聞き間違いだ 聞き間違いだよね!?

「これは失礼しました 私、虞美玲ユゥ・メイリン様のお世話係を務めております坂本と申します 以後、お見知りおきを」

「あ、えと 蚊帳ノ蓬です…」

坂本と名乗ったその男性は私に向って深々と頭を下げた

ッそれからリムジンのドアを開いて言った

「お二人ともお疲れでしょう どうぞこちらにお乗りください」

「ええ そうするわ さ、乗りマショウ 蓬!」

「ええっと あ、はい…」

あまりにも現実離れれした状況にたじろぐものの今更、引き返すことなんてできなくてリムジンに乗り込んでしまった

それから坂本さんの手によってゆっくりと扉が閉められる

そして運転席に坂本さんが乗り込むと静かにエンジンがかかった音がした

「それでは出発します」

「ええ おねがい」

メイリンちゃんの一言とともにリムジンは動き出した


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