第三章 閑話・休題 災禍の晩餐
暗がりに鬼を繋ぐが如く…
それが鬼なのは間違いないだろう
だがしかし血に飢えたその鬼の名は…
「っはあ はあ はぁ はぁ」
少年は走る あてもなくただ廃墟になったホテルを走り続けていた
「どう……して…」
こうなったのかと記憶を遡る
あの二人、蚊帳ノと雛鳥だったか?に散々な目にあわされた彼は根城にしていた廃虚に戻ってきた
ここはもともとラブホテルだったらしいがバブルの崩壊とともに親会社の経営縮小に巻き込まれて廃業したらしい
ただ、ベッドや設備はそのままになっていて人目にもつかないからよからぬことをする上で東宝していた
他の二人もいずれここに来る
そしたらまた手頃な獲物を探せばいいそう思っていたのだが…
「あら、せっかくいい場所を見つけたと思ったらまさか先客がいたとはね…」
「っ!?」
背後から女の声がして振り返るとそこにはフードを被った全身黒ずくめの女がいた
「ああ、怖がらせてごめんなさい でも安心して大人しくここから立ち去ってくれるなら何もしないから」
「ははっ なんだよアンタこそいいのか? こんな人目につかない廃墟に女が一人って危ないだろ なにされても助けが呼べないんだぜ?」
声をかけられた時は驚いたが目の前にいる女は三十代前後、自分一人でどうとでもなる
それにフードとマスクで顔は見えないがスタイルも良い
このまま縛り上げればあの二人から受けた屈辱も晴らせそうだ
「あらあら 随分と元気が良いのね…」
「アンタこそそこそこの見た目じゃねーか こっちも色々溜まってんだから好き勝手されても悪く思うなよ」
「…でもお友達と一緒じゃなくていいの?」
「おいおい 四人でヤる気か? とんだ淫乱じゃねーか」
まさか相手からそんな提案が来るなんて…
新手の美人局かなにかか?
でも二人が来れば数の有利が取れるしどのみちこちらのものだ
「いいぜ でも後から泣いてもしらねーからな」
「ほんと! ありがとう それじゃ…」
女は胸元を大胆に開け始める…
「おいおい いきなりかよ…」
突然の行動に胸が高鳴りつつも相手に舐められないように平静を保とうとした
保とうとしたのだ
しかし・・・
「お友達まで一緒なんてなんだか緊張しちゃうわね」
女の胸元から出てきたのはさっきまで一緒にいた二人だった
どういう手品か知らないが自分より体格の良い巨漢が二人も飛びだしてきた
だが祖霊所に彼が驚いたのは
「おい… 嘘だろ…」
その二人には両手と両足がなかった
「ごめんなさいね つまみ食いなんてはしたないから普段はしないんだけど」
「どう…して…」
「ああ、ここに来る前に見つけたんだけど二人ともだいぶ暴れちゃってね そのまま収納することもできたんだけど面倒だから邪魔な部分は先に食べちゃったの」
女はかすかに頬を赤らめてそう言った
まるで恥じらいを隠せない少女のような笑み
しかしその両手には肉塊となった巨漢が二人… まだかすかに息はあった
「っはあ はあ はぁ はぁ」
少年は逃げたあの二人と同じようにならないために
「どう……して…」
わけがわからなかった
まるでさっきまでの現実が嘘みたいに、まるで異世界にでも飛ばされた気分だった
「異世界なんて…そんなものないわよ」
「っ!」
目の前に女が立っていた
「いい加減、現実を見たらいいのに…」
「う、うるせえ!」
少年は女に殴りかかった
もしかしたらなにか特別な力に目覚めてこの状況を打開できると思ったのかもしれない
しかし
「えっ…」
そこに地面はなく少年は宙に浮いていた
そして
ゴッ ドッ バン そんな鈍い音とともに肉塊に変わったのだった
「あらあらあなたがこんな所に来るなんて珍しい… どうして殺してしまったのですか? せっかくのご馳走だったのに…」
「・・・・・・・・・・・」




