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第三章 幕間 西からの来訪者

蚊帳ノ蓬…


今度こそあなたを…


空港に降り立つ

おおよそ五年ぶりの日本は懐かしいような初めて来た国のような不思議な感覚がした

東京の羽田空港に到着したが目指すべき場所は東京ここではない

キャリーケースを引いて出口に向った

そこに停まった一台の車、黒塗りの乗用車だ

大きさはそこまで大きくないし特に目立った様子もないが車体のエンブレムを見ればわかる通りの高級車

実際、何人かの人はその車の価値が分かるようで足を止めてそれを眺めていた

彼女が車の前に立つと運転席から一人の男が降りてきた


「お待ちしておりました お嬢様」

「ひさしぶりネ 坂本さかもと かわりないヨウでナニよりだわ」

「お嬢様は、日本語がますますお上手になられたようで何よりでございます」

坂本は恭しくお辞儀しながらそう言った

「当然でしょう これから日本の学校に通うノだから これぐらいできないト」

所々、発音やイントネーションが怪しいところもあるが及第点だろう

ここに来るまでにクリアしなければならない条件が多かったことを考えても十分以上に上達したと思う


「それではこちらへ」

坂本に促されて車に乗り込んだ

「それでこれから何処に向うのかしら?」

「東京駅にございます それから新幹線を使って新潟に向う予定です」

「そう…」

「旦那様のご指示で十三時発の車両が貸し切りとなっておりますのでご安心下さい」

「…そんなことしなくていいのに」

過保護な父のせいでまた余計なことをされた

幼いころ誘拐未遂にあって以来、父は自分に対して過剰なまでに気を遣う

そのせいで周りから好奇の目で見られることも絶えないのに…

「旦那様としても大切な一人娘であられるお嬢様が心配なのですよ」

「だからってやり過ぎよ…」


それからしばらく経って東京駅に着く

それから荷物を持って新幹線のホームに向った

「いよいよネ」

何年もこの時を待ちわびた全ては彼女に会うためにそして

「今度こそ、蓬を私のお嫁さんにしてみせるんだから!」

拳を高く突き上げて少女は決意をあらわにした

新しい台風の目がここに生まれたことを件の少女はまだ知らない…

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