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第三章 コミュ障陰キャぼっちでもライブはできますか? 第二十七節

全部、上手くやれてると思っていた


けど始めからなにもかも間違えていたなんて


この時の私は理解ってなかったんだ…


「で? なんでここなの?」

すごく怒った様子の双葉先輩が蓮見先輩と向かい合っている

「いやー ここなら桜も参加できるかなー なんて…」

「できるわけないでしょ バイト中なんだけど?」


ここは少し離れた駅前のカラオケボックス

いい店があるから連れててってやるよとキメ顔の先輩に連れて来られたここは双葉先輩のバイト先らしい

「まあまあそう硬いこと言わず… 桜だって急なバイトでライブ見れなくて心配だったんでしょ?」

「学生六名様フリータイムでよろしいですかー あとドリンクバーはあちらセルフです」

「ナチュラルに無視された!?」

すごく不満そうな先輩は棒読みでレジを操作していた

それからマイクとコップの入ったカゴを手渡して

「ライブ見れなかったのは残念だし心配だったけど店長がぎっくり腰で早退したんだからしょうがないでしょ? うちだって人手不足で忙しんだから いった いった」

手をで蓮見先輩をはらいながらそう言った

「もー分かったよ で今日は何時まで?」

「はぁ 八時まで でもその子たちは適当なタイミングで帰しなさいよ」

「はいはい 分かってるって」

そうして私たちは今度こそ案内された部屋に移動したのだった


それから先は蓮見先輩が中心となって打ち上げが始まつた

主に先輩と綾乃が歌って真凛と天城くんが盛り上げるような感じだ

私葉というとそもそもカラオケすら初めてでなにをしたらいいか分からず部屋の隅でみんなの様子を眺めていた

それでもみんなとこうしてこの場所に居られるのが楽しくてこれはこれでいいかなって思ったりもして…

ただ同じように部屋の隅にいた大倉くんが終始、不満げな様子だったのは気になったけど


「じゃあみんなお疲れー 私はこの辺で桜のこと待つけど気を付けて帰るんだよー」

「はい! ありがとうございました!」

蓮見先輩と別れて私たち一年生組は帰路についた

「いやー ライブも無事に終わってよかったね」

「ほんとほんと 大倉が来ないときはどうなるかと思ったけどちゃんと来てくれたし」

綾乃と真凛が並んで話している

話題に上がった大倉くんは無言のままでなんだか気まずかった

「さてと 時間も遅いし真凛、送って行こうか?」

「大丈夫 それより綾乃のこと送ってあげなさいよ」

「私も大丈夫だよ」


二人に振られた天城くんは私のほうに近づいた

「蚊帳ノさんは? 大丈夫?」

「えと… はい… 大丈夫です… すみません」

天城君の誘いが百パーセント善意なのは分かるしそれを断るのは申し訳ないけどさすがに男の子と二人きりはまだなれなかった

「いいよいいよ ほらこないだのこともあったから心配しただけだから」

私に気を遣わせまいとフォローしてくれる

「すみません…」

私はそう答えることしかできなかった 

それからすぐに駅についてみんなと別れた

「蚊帳ノ!」

改札に向って歩いていると後ろから声をかけられる

「え、あ、はい…」

振り返るとそこには大倉くんが居た


改札の手前、少しくぼんだスペースに連れていかれた

「悪いな どうしても話しておきたいことがあって…」

それまでのどこか不満そうな表情と違ってどこか真剣な彼の顔に息を呑む(怖い)

「俺も上手く言葉にできないから順を追って説明する」

「はい…」

「とりあえず今日のライブはよかったと思う…」

「あ、えと…」

てっきり全然ダメだったぐらいは言われると思っていたから驚いた

大倉くんに初めて褒められた気がする

「お前もそうだが廻兎も朝霧もよくあの短期間で仕上げたと思う」

「ありがとう…ございます…」

これまでの大倉くんからは考えられないほどのベタ褒めだ

この数日でなにがあったんだろう…


「ただ…小林は弾けてなった」

「へ?」

その言葉にフリーズする 真凛が弾けてなかったって…それは…

「お前らは気づいてないみたいだが小林はほとんど弾けてなかった おかしいだろ」

「あ、えと… 大倉くんは知らないかもだけど…実は…」

「三日前から休んでた それも身内が亡くなったことで」

「あっ…」

真凛が精神的に厳しい状況だったことそれを伝えようとしたけど大倉くんは知ってるみたいだった でもどうして?

そもそもクラスの違う大倉くんがどうしてそれを知っていたんだろう


「これを見ろ」

そう言って大倉くんは自分のスマホを私に見せた


そこにはニュースサイトが映っていて見出しにはこう書かれていた


『天才ピアニスト小林成実、廃墟で死亡』


そしてその記事の一番最後に書かれていた文字を見て完全に思考が停止した

『なお、現場からは遺書とみられるものが見つかっており警察は自殺と断定している』


「これって… でも小林って苗字の人はたくさんいるから真凛には関係ない…」

「いや 小林の演奏は亡くなった成実さんの弾き方と似てるところが多かった それにあいつの叔父がピアニストだってことは廻兎から聞いてたから間違いないだろうな」

「……」

「よくもまあそんな状況で弾けたものだと思うが… 俺ならまず無理だからな」

あの時、真凛は亡くなったのは遠方に住むおじいさんだって言ってた

でもそれすら私たちに気を遣わせてないように吐いた嘘なんて…


「私ってバカだな…」

「待て」

思わず真凛のもとに行こうとした私の手を大倉くんが掴んだ

「今、なにをしても逆効果だ」

「…そう かも知れないけど…」

それでもなにかしないといけない気がした

どうしてそう思ったのかは分からないけど… それでも

「俺が他の誰でもなくお前にだけこのことを話したのはお前があいつにとって大切な人間だと思ったからだ」

「あ、えと…」

「朝霧より冷静に動けると思ったところもあるが… とにかくこのことはまだ本人には何も触れるな あいつから言い出した時に下手に驚いたり動揺しないように伝えただけだからな」

「うん… 分かった」

なにもできないのはもどかしいけど大倉くんのいう通りだった

真凛が嘘を吐いてまで隠そうとしたことを私が勝手に掘り起こしていいはずがない

大倉くんは私が真凛から話を聞いたときにちゃんと話を聞いてあげられるように教えてくれただけだから…

「だからあいつのこと頼んだぞ このままだとピアノすら辞めかねない…」

「…うん 私にできることはまだ何もないけど それでも 真凛のために…」

「でもまあ同じバンドのことだ なにかあればお前も俺を頼れよ」

「…それって」

「…だから これからもバンド続けてやるよ お前と雅のために」

真凛のことは気がかりだったけれどこうしてようやく大倉くんが私たちのバンドメンバーに加わったのだった


そしてもう一つの物語も動き出す・・・

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