第三章 コミュ障陰キャぼっちでもライブはできますか 第二十五節
担手は此処に在り
基は魔女の意思を継ぐ者
それから三日後、ライブの日を迎えた
真凛は家族の件で昨日まで学校を休むことになっていた
綾乃は一昨日から登校していて天城くんと綾乃、そして私の三人で練習を続けた
大倉くんは練習に来なかった
天城くんが声を掛けてくれてたみたいだけどなぜか忙しいらしい
そんなこんなでものすごく不安だったけど…
「おはよー」
「あ、真凛! おはよう! その…大丈夫?」
いつもと変わらない様子で挨拶をする真凛に綾乃が返事をした
「心配掛けてごめんね 県外のおじいちゃんが亡くなってさ それで三日も学校来れなくてごめんね」
「ううん でもほんとに大丈夫? 無理しなくて大丈夫だからね」
「大丈夫、大丈夫 まあおじいちゃんも歳だったしさ それより蓬は大丈夫だった? 廻兎と大倉のことまかせっきりにしちゃって…」
「あ、うん こっちも大丈夫だよ 天城くんのことは説得できたし大倉くんも…」
申し訳なさそうにこっちを見つめる真凛にそう答える
真凛だって色々あって大変なはずなのに…
それでも私のことを心配してくれる真凛はやっぱりすごいなと思う
「そっか… うん…ありがとね」
「私は何も…」
「真凛は今日のライブ出れそう?」
綾乃が真凛に問いかけた
真凛の実力なら演奏は問題ないはずだけど…
あれ以来、ほとんど合わせられてないから心配だった
「大丈夫! 二人とも…あと廻兎と一応、大倉も頑張って頑張ってきたんだから アタシだって頑張るよ!」
手のひらを握り胸の前に出した真凛はいつも通りの真凛だった
「おはよー みんな席に着け~」
「ヤバ! 先生来たじゃん じゃあまたね」
「あ、うん」
先生が教室に入って来たので私たちはそれぞれの席に戻った
それからいつもより何倍も早く時間は過ぎていく
あっと言う間に放課後…
いよいよライブの時間になった
音楽室に入ると五人ぐらいのお客さんがいた
今回のライブは生徒会の人と希望する一般生徒が来ることになってる
ニ、三人いるかどうかなんて言われてたから予想よりも多くて緊張する
「蓬? 大丈夫?」
「へ? ああ うん…」
緊張して黙りこんでいたら真凛に声をかけられた
「とりあえず準備しよっか?」
「うん…」
アンプの電源を入れてシールドを挿しギターをチューニングする
いつも通りの作業のはずなのにどこかぎこちない
綾乃は蓮見先輩からライブの段取りについて説明を受けてる
今回のライブは先輩たちの手助けは最低限のものになる
だから途中でミスっても取り返しがつかない
だった一曲、MCもなしほんの数分の時間
そんな一瞬で永遠のように感じる時間…
たぶん今までの人生で一番、緊張してた
「大倉はまだなの?」
「ああ 連絡はしてるんだけどまだ既読がつかない…」
真凛が天城くんと話している
その話声の一つ一つに反応して心音が早くなる
大倉くんが中々、来ないことも不安を積もらせた
「時間も押してるし どのみち十分後には始めないとマズイな」
蓮見先輩の声が届く
なにか答えないと…… でも言葉が出てこなかった
こんな時、どうすれば…
「蓬ちゃん」
「!?」
優しく誰かの手が背中に当たった
振り返ると綾乃がいる
「大丈夫… せっかくのライブなんだから楽しもう…なんて言っても私もめちゃくちゃ緊張してるし難しいかもだけどさ…」
その手はかすかに震えていた
「でも… 失敗しても後悔しないように… 頑張ろう」
綾乃がいて真凛がいる緊張してるのは私だけじゃなかった
失敗してもそれでも
やりきったって言えるように
「…うん やろう」
私はステージに立った




