第三章 コミュ障陰キャぼっちでもライブはできますか? 第十九節
君の痛みを和らげるほどボクは強くない
けど君のと一緒に踏み出すことなら…
翌日の学校は本当に憂鬱だった
綾乃はまたも体調を崩したらしくて欠席するって連絡があった
真凛は昨日から連絡がなくて電車でも見かけなかった
いつもなら私を見つけてすぐに声をかけてくれるのに…
ほんとは今日だって昨日のことをすぐにでも真凛や綾乃に話したかった
でもあんなこと… 大倉くんが私たちのことを利用しようとしてたなんて言ってもいいのかと迷った
誰にも相談できなくてただ悶々とよるが明けて今に至る
朝のHRで真凛が忌引であることが知らされた
今日から三日ぐらい休むことになるらしい
詳しい話しは聞けなかったけどなんとなく胸騒ぎがした
けど私にできることは何もないしとりあえずそっとしておくことしかできなかった
昼休みは珍しく一人だった
いや、中学の頃はこれがデフォルトでいたって普通の日常なんだけど…
それでも高校に入ってからずっと綾乃や真凛に助けられていたんだなと感じさせられた
それからただただ時間だけが過ぎて放課後、綾乃も真凛もいないうえ天城くんにも声をかけられなくてとぼとぼと帰路につく
ライブまで時間がない焦りにかられながら俯いて校舎を後にしようとした
「蓬ちゃん? 奇遇だねー」
「あ、えと…」
背後から声をかけてきた人物、それはこの間の遠足で知り合った雛鳥さんだった
「どしたの? なんか思いつめてるみたいじゃん」
「あ、その…」
バンドのこと、ライブのこと真凛のことそれから大倉くんのこと…
本来なら関係のない雛鳥さんにどこまで話していいのか迷った
「なにかあったなら話し聞くよー」
「で、でも…雛鳥さんえを巻き込むわけには…」
「友達なんだからそんなの気にしなくていいんだよ」
その一言で全てが決壊した
「あ、あのね…」
それから今まであったことを全て話した
本当に全部、ほんとはこんなこと雛鳥さんに話すべきじゃないって分かっていたのに
だって離したら雛鳥さんはきっと力を貸してくれようとしてくれる
そうやってまた誰かを頼ってしまう自分の弱さに辟易する
それでも雛鳥さんは私が要領を得ない話し方をしていても一つ一つ丁寧に聞いてくれて
「そっか… なんていうかすごくありきたりなことを言うと大変だったね…」
「うん… それで私もこれからどうしたらいいか分からなくて… 綾乃にも真凛にも相談できなくて…」
「うーん 所詮はボクも部外者だからなー そこまで口だしできないし…」
そう言って悩んだ様子の雛鳥さんは唐突に何かを思いついたように言った
「あ、じゃあさ もう一回、大倉君?のとこに行ってみない?」
「大倉くんのところに…」
正直、昨日の今日で行く勇気はなかった
また昨日みたいに帰れなんて言われたら今度こそ泣いてしまう…
私が不安に思っていると雛鳥さんは
「大丈夫! 今日はボクが一緒に行くよ!」
「雛鳥さんが!?」
「ボクじゃ役に立たない?」
「そんなことは! ない…けど…」
もちろん行くなら一人より二人だ
それに雛鳥さんなら綾乃や真凛と同じくらい頼もしいと思うけど…
「なんていうか… 路地裏とかちょっと危ない感じの場所だから…」
「アングラ系? なら大丈夫だよ ちょっと興味あるし!」
「でも… 私のせいで巻き込んでもし雛鳥さんになにかあったら…」
「もう そういうのはいいんだってば 蓬ちゃんが行く気ならさっさと行こ!」
そう言って私の腕を掴みすたすたと歩き出した
「雛鳥さん!?」
「あんまり遅くなっても面倒だしさ 場所もなんとなく分かるから」
「え、あっ ちょっ 雛鳥さーん 聞いてるー?」
雛鳥さんは平均よりちょっと小柄な私より更に小さくて
細くて柔らかそうなその腕からは想像できないくらいしっかりと腕を捕まれてた
そのまま流れるように電車に乗せられて
行先のメモは一瞬見せただけだったのにまるで暗記してるみたいに電車を乗り継いだ
その間、一度も行先について聞かれなかったからちょっと怖い
雛鳥さんの記憶力がずば抜けて高いのかそもそも陽キャ自体がこうなのか分からないけど
ここまでの行動力といいなんかすごい…
そんなふうにあっけにとられつつも私が感心していたら昨日と同じ路地裏に到着した




