第三章 コミュ障陰キャぼっちでもライブはできますか? 第十一節
その思いは何処へ届くのか
「どうして…私が綾乃を好きだって思ったの?」
また冗談だろうか… 相変わらず人の顔を見て話せないから天城くんの表情は分からないけど少なくとも声色からは感情が読み取れなかった
でもどうしてこんなに心音がうるさいんだろう…
「どうしてって なんとなくかな? 蚊帳ノさん、朝霧のこと視線で追ってること多かったし話してる感じとかさ」
「あ、えと 綾乃は普通に友達…だよ」
綾乃は友達だしたしかに好きって感情はある
でもそれは友達としての好意であって恋愛的なものじゃないはずだ
あれ? でも…
「蚊帳ノさんにとって恋愛的な好きと友達としての好きってどう違うの?」
「あ、えと…」
上手く言葉にできない…
自分でもたったさっき気が付いたことだけど私は恋愛感情が分かっていないんだ
言い換えるなら友達と恋人の境界線が分かっていない…
それってつまり私が綾乃に抱いてる好きっていう感情が他の人から見たら恋愛的な意味なのかもしれなくて…
「蚊帳ノさん?」
「うっ ああ…ごめん」
天城君の言葉に頭が追いつかなくて思考が完全にパンクした
「なんか困らせてごめん」
「あ、ううん 全然そんなことなくて… ちゃんと自分の気持ちが理解できてなかった私の問題で…」
「そっか まあでも、もし本当に朝霧が好きなら早いとこ伝えたほうがいいと思うよ」
天城くんは麦茶の入ったコップに口をつけながら言った
「朝霧もモテるから割と告られてるみたいだし」
「そうなの!?」
「まあラブレターが多いみたいだけど、それでも男女問わず人気はあるな」
綾乃がモテるそう聞いた瞬間なぜかは分からないけどモヤモヤした
本当なら友達がそれだけ好かれている、愛されていることを喜ばないといけないのに
「朝霧は全部断ってるらしいから今のところは大丈夫じゃない?」
「え、ああ うん まあ私としては綾乃がモテるのはいいことだと思うし全然、気にしないけど…」
「気にしないわりにはだいぶ動揺してないか?」
「そんなこと… ない… です…」
なんだかますます私の綾乃に対する気持ちが恋愛的なものだと思われてそうだな
「で、龍弥のことだったか?」
「…あ、うん…」
唐突に話題を度されて反応が遅れる
まあたしかにこっちが本題だったけどさ…
「アイツの行きそうなとこならなんとなく分かる… つかそこでしか会えない」
「大倉くんて幻のポ〇モンかなにか?」
「まあすぐに逃げられるって意味なら間違いじゃないかもな」
大倉くんが逃げるイメージは全然想像できないけど…
でも学校では中々、遭遇しないしここは天城くんの情報に頼るべきだろうと思った
「それで大倉くんがいそうな場所って…」
「少しい遠いんだがここだ」
そう言って天城くんから私のスマホにメッセージが届いた
「それとなるべく誰かと行ったほうがいいかもな 俺は妹の面倒見ないとだし一緒にはいけないが…」
「ありがとう でも大丈夫だよ」
天城くんの提案はありがたいけどこれ以上、男の子と二人っきりは身が持たない…
蛍ちゃん(私の天使)が一緒ならともかく大倉くんに会いに行くのに巻き込めないし
それに住所を見る限りそこまで遠くないから一人で行っても迷子にはならなそうだし
「まあ蚊帳ノさんなら大丈夫だと思うけど、とにかく気を付けて」
「あ、うん…」
天城くんにそういわれると只事じゃない気がしてきた
「大倉くんの家って、そっちの方じゃないよね…」
「ああ 龍弥の家じゃないか安心して それにアイツの家は複雑だけど一般的な家だよ」
「そうなんだ…」
まさかこの短期間に男の子の家に二回も行くことになるなんて…
「あーでも 今教えたのはアイツの家じゃなくてさ」
「そうなの?」
「ああ アイツ基本、家に帰らないらしいから」
なるほどそれなら安心…できないな
家に帰らないとか不良じゃん!? ますます心配なんだけど!?
「えっと 私一人で大丈夫かな?」
「まあ普通なら女の子一人で行かせないけど… 蚊帳ノさんなら大丈夫じゃない?」
その信頼はどこから来るんだろうと思いつつ私は一人で大倉くんのところへ行くことになった…




