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第三章 コミュ障陰キャぼっちでもライブはできますか? 第十節

他人なんて気にするな 自らの願いのために征け

という感じで私は今、天城くんのお部屋にいます… どうしてこうなった!?

しかも畳の上に座っている私の足、その上になぜか蛍ちゃんが乗っていた…

「なんかごめんな 蛍がここまで懐くとは…」

「あ、ううん 全然大丈夫…」

「おねーちゃん、きょうはとまっていくの?」

「と、泊まってはいかないかな~ お家の方にも迷惑だろうし…」

やや見上げるみたいな感じで上目づかいに言われて思わずうんと言ってしまいそうになる

というかここが天城くんのお家だからなんとか理性が保てていただけで綾乃か真凛のお家ならヤバかった… 恐ろしい幼女の魔力…

「こーら あんまり蚊帳ノさんを困らせたらダメだろ」

「えー にいにだってきたいしてたんじゃないの?」

「だからそーゆーのじゃないんだって… とにかく、俺と蚊帳ノさんはこれから大事なお話があるから向こうで遊んでな」

天城くんのはそう言って扉のほうを指さしたすると

「やーだー おねえちゃんとあそぶのー」

「え!?」

突然の申し出に思わず飛びのきそうになる 

でもいけない今、私の足の上には小さな天使が乗っているのだ

こんな穢れだらけの悪魔以下…下級魔獣にも満たないゴミが傷つけてはいけない

すんでのところで踏みとどまると天城くんは立ち上がった

「蛍、蚊帳ノさんは俺に会いに来たんだからわがまま言うな」

「やーだー にいにのカノジョじゃないんでしょ ならほたるとあそぶの!」

「あーもう 蚊帳ノさんだって忙しいんだから」

そう言って天城くんは蛍ちゃんに近づいた

蛍ちゃんはだって…と言いながら今にも泣き出しそうだった

「ね、ねえ蛍ちゃん、実はおねえちゃんもすごーくあそびたい気分だな~なんて」

「蚊帳ノさん?」

「ごめんね天城くん… お話するのはその後でもいいかな?」

「でも…」

私は天城くんに口だけでほんとごめんと表した

正直、天使の涙なんて見たくないし涙を流す理由が私とか耐えられない…

それにこんな風に私を慕ってくれる人は初めてで…

その思いを無碍にするなんて万死に値する

天城君はそんな私の顔を少し見てから

「分かった… 蚊帳ノさんがいいなら少しだけだからな…」

そう言って私と蛍ちゃんが遊ぶのをしぶしぶ許可してくれた


 それから一時間ぐらいだろうか私と蛍ちゃんは一緒に遊んだ

人形を使っておままごとをしたり子供向けアニメの話しをしたり…

なんだろう、ものすごく心が洗われた気がする


これが天使の力…

それから疲れてしまったのか蛍ちゃんは寝てしまって、そのまま天城くんがお布団の上に寝かせてくれた


「ほんとありがとな 蛍と遊んでくれて」

「ううん 私も楽しかったよ」

疲れるどころか元気をもらった感じがした なんなら寝顔すら天使に見えてくる…

「まさかあそこまで蛍が懐くとはな…」

「そうかな 誰にでもじゃないの?」

「まさか 蛍は人見知りでさ、幼稚園でも一人遊びが中心らしいし俺の中学の友達とかもまともに話さなくて… だから助かったよ」

初めて会った瞬間から蛍ちゃんが人見知りしてるように見えた瞬間は一度もなかった

むしろ遊んでるときの感じは陽キャそのもので…

「助かったってそんな… 私は何もしてないよ…」

「いや、そんなことないよ うち、両親が忙しくてさ蛍の遊び相手なんて俺ぐらいなんだけど俺も女の子の好きなこととか大して知らなくて… だから蚊帳ノさんに遊んでもらえて蛍も嬉しかったと思う」

そんな風に言ってもらえたなら私が勇気を出してここに来た意味も少しはあったのかな

なんて思いながら本来の目的を取り戻す


「あ、えとそれで今日、ここに来た理由なんだけどね…」

「龍弥についてでしょ?」

「へ? …ああ、うん」

私が言おうとしてたことを言い当てられて面食らってしまう

「朝霧から聞いたよ まだアイツ…俺らのことバンドメンバーだと思ってるんでしょ?」

「…違うのかな?」

「俺が言い出したことだけどあくまでお試しだしそれに…蚊帳ノさんも楽しくなかったでしょ?」

「……」

たしかに天城くんの言うとおりだ

ほんの少しの時間だったけど大倉くんとバンドをしてて楽しいって思ったことは正直、一度もない… でも…

「私はまだ二人のこと何にも分かってない…」

「分かってないって…分かる必要なんて…」

「あるよ! 私は大倉くんがどうしてあんなに必死なのか何にも分かってなかったそれに大倉くんだって…私がどれだけ本気だったのか分かってなかった」

そうだ大倉くんはなにも分かってない

コミュ障陰キャぼっちで誰かに否定されることが極端に怖くて、そのくせ今までまともに何かを成し遂げようと努力なんてしてこなかった人間が何度ダメだしされてもどれだけ泣きそうになっても必死にくらいついた私の気持ちを

それを伝えないままこのままお終いなんてそんなの


「私は…悔しい」

「蚊帳ノさん?」

「私はこのまま大倉くんからまともに練習もしてないようなそんな人間だと思われたままなのは嫌だ」

これも私の本心だ

大倉くんのことを知って雅さんのこととか音楽部のこととかどこかで力になれること、分かり合えることがあるって思ってるのも本心だ

今やっと理解した

私は大倉くんを知って大倉くんに知ってほしいんだ


とても欲張りでとても自分勝手でどうしようもない私のわがまま


「私は私のわがままに天城くんを巻き込む」

「……」

「だからここで契約しよう」

「契約?」

頭の中は真っ白だった 自分がなにを言っているのかよくわからない

もとからノープランでここまで来たからもうどうにでもなれって感じだけど

「私は私のわがままに天城くんを巻き込む、その代わり天城君のわがままに私も付き合う」

「それって俺がもし彼女になれって言ったら付き合うの?」

「……あ、えっと」

まさかのカウンターでダウン寸前に追い込まれる

だって天城くんは私にそんな気はないはずだし…でもこんな私のわがままに巻き込まれるならいっそ少しでもいい思いをってことで…

「まあ そんなこと言わないけどさ 蚊帳ノさんがそれぐらい本気なのは伝わったよ」

「……はい」

天城くんは少しだけ考えてから言った

「分かった 蚊帳ノさんのわがままに巻き込まれてあげるよ」

「っほんとにいいの?」

「まあ蛍の面倒も見てもらったし、アイツのこと見放さないでくれる人はそうそういないからさ」

天城くんはそう言って笑った

その笑顔がどこか安心したようなそんな気がして…

「ところでさっきの付き合ってくれるのかって話しだけど」

「あ、あれは…その…」

忘れかけていたけどそういえばそんな話しになってたな…

ヤバい… さすがにこの流れで断れない…

「アレ、冗談だから」

あ、冗談か…とほっとしたのも束の間


「だって蚊帳ノさん、綾乃のことが好きでしょ?」

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