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第三章 コミュ障陰キャぼっちでもライブはできますか? 第九節

その人は天使のようで…

放課後、私は綾乃から教えてもらった住所を頼りにある場所に来ていた

ちなみに綾乃は休んでいた時の補習で来れなくて真凛も家の用事で来れなかった

つまり私一人だ

そう私一人で天城くんの家の前に立っていた(どうしてこうなった!?)


お昼休みの作戦会議で天城くんに協力してもらうため直接お願いすることになったんだけど…

生まれて初めての男の子の家、それも一人でである…

正直、行くのを明日にして綾乃か真凛と来ようかとも思ったけどライブまで時間もない

それに一応、自分からバンドリーダーに立候補した以上こんなことで怖気ずく若江にもいかない

今にも逃げ出しそうな心をなんとかか振りほどいてここまで来たんだけど…

私は綾乃からもらったメモを二度見した

スマホで検索してみるけど住所は間違ってないんだけど…目の前にあったのは


「天草商店…」

どこからどうみてもお店だった

万屋よろずやと呼ばれるタイプのお店だろうか?

店の外にはたわしとか箒みたいな掃除用品が並んでいてチラリと見える店内にはトイレットペーパーみたいな日用品から雑貨までいろんなものが売られている

ホームセンターに近い品揃えだけどお店自体は大きくなくてお客さんもいなかった

どことなく既視感があるのはなんでだろう…

でもここが天城くんのお家には見えないし…

かといって補習中の綾乃に確認することもできなくて…


「えっ 蚊帳ノさん!?」

立ち尽くしていた私の背後に声がかかる

「あ、えと こんにちは…」

こんな時、なんて言っていいのか分からなくて

笑えばいいと思うよって私のなかのイマジナリー碇君に言われて従った

「えーと なんで?」

碇君のバカ! 笑ったらなんかすごい複雑そうな顔をされたじゃん!

イマジナリー碇君に罵声を浴びせるもだって君は綾波じゃないじゃないかってマジレスされて負けた…

自分の中のアニメキャラにまで負けるなんてレスバが弱すぎる…


「あ、そのごめんね急にちょっとその…色々話したいことがあってねほんとは綾乃か真凛と来るつもりだったんだけど二人とも用事があって来れなくて…」

早口でわけの分からいことを話してしまった…

こんなことならいっそ黙ってたほうがよかった気がする…


「あーなるほど… なんとなく分かった」

「あ、その ごめんねほんとに… 都合が悪かったら明日また出直すから…」

「いやいや 女の子にここまで来させて自分の都合で帰らせるとかありえないでしょ ただまあ…」

そう言って天城くんは自分の足元を見る

「にいに その人だーれ?」

小さな女の子が天城くんの足元から顔を出した

「あ、えと…」

「にいにのカノジョ?」

「ちょっ違うからな!?この人は蚊帳ノ蓬さんっていって俺と同じバンドのメンバーな」

天城くんは女の子のそう言った

五歳ぐらいだろうか 身長は天城くんの膝ぐらいでまだ幼い

幼稚園の制服を着ていて頭には黄色の帽子を被っている

そしてカワイイ… いや決して私はロリコンじゃないしこれは子猫とかをみて全人類が抱くのと同じ感情なはずだ そう、決してロリコンではない

「ああごめんなウチのガキが変なこと言って… コイツは天城蛍あまぎほたる、俺の妹なんだ」

「もうホタル、ガキじゃないもん! おこさまなのはにいにのほうでしょ!」

「あーはいはい悪かったな…」

天城くんの態度はどこかそっけなかったけど決して無碍にしてる感じでもなかった

「にいに、カノジョのまえでカッコつけてる!」

「違うからな!? 色んな意味で! 大体、蚊帳ノさんは…」

天城くんはそこで口をつぐんでこちらを見やった

「ああごめん、今日は親の代わりに蛍を迎えに行く日でさ… それで部活にも行けそうになかったんだ…」

「あ、ううん もともと今日の練習はなかったから大丈夫だよ それと話したかったことはそれじゃなくて…」

「まあこんなところで話すのもアレだからさひとまず家に上がって行きなよ」

「……あ、えーと…」

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