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第三章 コミュ障陰キャぼっちでもライブはできますか? 第二節

あの雨の匂いを溢さぬように


「蚊帳ノ、大丈夫か?」

振り返るとそこには二年の竹本惠たけもとめぐみ先輩がいた

どうやら校門のすぐ前まで来てしまってたらしい

「あ、えと すみません… 気が付かなくて」

「だろうな うち履きのまま外に出てるし」

「へ?」

足元を見たら本当にうち履きだった

自分の奇行に更に消えてしまいたくなる…

「あ、これは その…」

「まあ気にしなくていいさ とりあえず校舎に戻るか」

そう言って先輩はロッカーの前まで付き添ってくれた


「すみません… 帰るところだったのに…」

「気にするな 時間を潰してただけだからな」

そう言いながら先輩は自販機からペットボトルを取り出した

「とりあえず中庭にでも行くか」

「あ、はい…」

私たちは中庭のベンチに座った

ここは以前、大倉くんと知り合った場所で今ではあの時のことを重い出して後悔してしまう… 

私なんかと知り合わなければ大倉くんも天城くんもバンドに入ることなんてなくてこんな喧嘩にはならなかったのに…

「随分と病んでるな」

「あ、えと すみません…」

「別に謝ることじゃない 大方、大倉龍弥のことだろ?」

「あ、えと なんでそれを…」

蓮見先輩や双葉先輩と違って滅多に部活にこない竹本先輩が大倉くんのことを知っているなんて少し意外に思った


「まあ オレもベースとしてサポートで外部のバンドに顔をだすことがあるから知ってるんだが… バンドクラッシャーだからなアイツは…」

「え!?」

「大倉龍弥がサポートで入るとバンドが潰れるんだ 実際、俺も何度か目撃した」

「あ、えと そう…なんですね…」

大倉くんのことはつい最近みなってやっと知ったぐらいなんだけどまさかそんな異名で呼ばれてたなんて…

というか竹本先輩が知ってて他のバンドにも入ってたことがあるなんていったいいつからベースをしてるんだろう…

大倉くんへの謎は深まるばかりだった


「アイツは不器用だけど必死なんだ…」

「…はい」

私のには先輩の言ってることが分からなかった

だけど理解できなかったわけじゃなくて…

「音楽に本気で向き合ってる…」

「違うな」

違った…

何だろう結構、本気で言ったからすごく恥ずかしい

穴があったら入りたい… 三百メートルぐらいの墓穴に…


「アイツが本気なのはたぶん、音楽部のほうだろ みやび先輩のために」

「雅先輩ですか?」

聞いたことのない名前だ

三年生…いや音楽部に三年生はいないはずだしだとしたら

「三年生になるはずだった人だよ オレたちの一つ上の先輩だ」

「そうなんですか? 蓮見先輩たちは今までそんなこと…」

何も話してはいなかった

こちらから聞いたこともなかったけど三年生の先輩はいないとしか聞いてなかったし

でも『雅』という名前には何処か聞き覚えがあるような無いような…

れんたちは話したがらないだろうからな まあいずれ知ることになるだろうが亡くなったんだよ…」

「えと… すみません…」

「気にしなくていい 恋たちが話すよりマシだからな」

これ以上は聞けなかった

本当はどうして大倉くんが音楽部を守ろうとしてるのか、雅先輩となにがあったのか知りたかったけどこれ以上は踏み込めない

踏み込んではいけない気がした


「まあアイツになにを言われたか知らないが大体検討はつく」

「その、練習のことなんですが…」

「だろうな まあそもそもギターなんて一週間かそこらでできるものじゃないが…

アイツに打ちのめされてもまだバンドをやるつもりなら恋を頼るといい」

「蓮見先輩をですか?」

以前、蓮見先輩に聞いた話だとギターはできないって言ってたけど…

「アイツは色々やってるがもとはギターボーカルだったからな まあ早くに挫折したが、楽してギターを弾く方法なら知ってるはずだ」

「それって…」

「まだ校舎にいるはずだから呼び出しとくわ 音楽室で待ってて」

「あ、はい…」

そう言われて私は音楽室に戻ることになったのだった… 

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