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第三章 コミュ障陰キャぼっちでもライブはできますか? 第一節

この場所を守るために闘う


そのためなら孤独でも構わない

 バンドの解散理由にも色々ある

例えば音楽や活動に対する方向性の違い、あるいは人間関係や恋愛感情の縺れが一般的だろう

でもそれはバンドとしてある程度同じ時間を共に過ごした果てに起きるものであって…

結成からわずか二日で解散の危機に至るバンドの場合、その理由はなんなのか

それは…


「ダメだな こんなんじゃ話にならない」

そう言って大倉くんはベースを地面に置いた

「なにがダメなの? ちゃんと音は合ってたじゃん」

「蚊帳ノと廻兎がまるでできてない お前らちゃんと練習してるのか?」

「…」

私は何も言い返せなかった

双葉先輩から教わったコードチェンジはまだまだ不完全だしそもそもコードが抑えられてない部分が多すぎる

音が合ってるように聞こえるのは真凛がキーボードでカバーしてくれているからだ

それに練習も部活の時間しかしていない…

ほんと私ってなにをやるにも中途半端でダメなんだなって思う…


「そういう言い方はないんじゃねーの?」

「あ?」

天城くんは大倉くんに異議を唱えた

「罰に俺も蚊帳ノさんも練習してないわけじゃないし初心者の素人なんだからできなくて当然しょ それにお前は遅刻常習犯だから見てないだけでお前が来る前から練習してるからな もう少し周りを見ろよ いつも言ってるだろ…」

「いつもいつも指図して… なんなんだよ… 時間がないのが分からないのか?」

一触即発…というかもうすでに喧嘩してるようなそんな状態だ

男の子同士の喧嘩とかほとんど初めて見たけどほんとに怖い…

今にも殴り合いに発展しそうで身がすくむ

赤の他人の喧嘩ならここまで恐怖は感じなかったんだろうけど喧嘩の理由に少なからず自分が含まれてる時点で他人事じゃなかった


「二人とも落ち着きなよ こんなんじゃ練習にすらならないじゃん…」

呆れたような真凛の声が二人の会話を遮った

「もういい 俺は帰る… 勝手にしろ」

そう言って大倉くんは荷物をまとめて音楽室を出て行ってしまった

「ちょっと…」

「アイツのことはいいよ それより俺たちも今日は帰ろう…


大倉くんを引き留めようとした綾乃を止めて天城くんは言った

天城くんも後片付けを始めていてこのまま連取を続けられる雰囲気でもない

私たちも片付けを始めてそのまま帰ることになった


 どうしてこんなことになったのか?

私は改めてここ二日間のできごとを振り返る…

ことの発端は二日前、蓮見先輩から告げられたライブについての案内がきっかけだ

私たちは正式な入部の許可と音楽部存続をかけて二週間後にライブをすることになった

当然、残された練習時間なんてほとんどない

その日のうちに曲を決めて練習を始めた

けど私と天城くんそれに綾乃はバンドも楽器も初心者だし、真凛と大倉くんは楽器経験があったけどバンドは始めてそんな五人がまともに演奏なんてできるはずもなくて…

しかたなく個人毎での猛練習が始まった

それぞれが先輩たちに基礎から教わったり独学で練習したりもした

そして今日、初めて演奏をあわせたのだった

私を含めて他のみんなも初めてにしてはよくできてると思ったけど、大倉くんは違った

演奏が終ってから主に私へのダメ出しが続いてそれから何度もやり直した

私も内心、泣きそうになりながら大倉くんに指摘されたところは直したつもりだ

でもそれでも足りなくて…

ついに怒りを通り越して呆れに変わった大倉くんの感情は静かに爆発した

それからあの言い争いに発展して今に至る…


全部、私のせいじゃん!?


心の中で叫ぶ


大倉くんに言われた練習をしてないって言葉が胸に刺さる

自分ではやったつもりでも周りが認めなければやってないのと同じで

そもそも才能もないのに努力もしてないし

時間がないこともこのライブの重要性も分かってるのに必死さが足りてないし

まるでなにもできてない

違う、まるで何もしていないんだ…

音楽室を出てから真凛とも綾乃とも一言も話さなかった

いつもは黙っていても話しかけてくれる二人とだ

いつもは気にならない沈黙が嫌に重く、苦しくて…


私のせいでバンドの空気が悪くなって二人に嫌われたんだ…

やっぱりコミュ障陰キャぼっちがバンドなんてしちゃダメだったんだ…

今にも泣き出しそうな感情で歩く

もう何もかも忘れていっそ何処かに消えてしまいたくなる…

あてもなく真っ白な視界の中で歩いていたら誰かに呼び止められた


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