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第二章 コミュ障陰キャぼっちでもバンドは組めますか? 第二十九節

君の思いをカタチにするために

あれ? さっきまでメンバー募集のチラシとかバンド名のことを話してたのにどうして急にバンドリーダの話になったんだろう…


いやいやたしかにそこも気になるけど重要なのはそこじゃなくて…


「あ、えと どうして私?」


あまりにも唐突でしかも予想もしてなった提案に驚く

いずれはバンド名もバンドリーダーも決めることぐらいなんとなく分かっていたけど

それはバンドメンバーが決まってからだと思っていたし

ましてや自分なんかがバンドリーダーなんてするはずがないと思っていて…


「あ、ごめんね 色々と話が脱線しちゃって 順番に説明するね」

「あ、うん…」

「ちょっと前から真凛と話してたことなんだけどバンド名についてはさっき言った通り、バンドの方向性とか音楽のジャンルとかを表すためにも私たち三人で決めてもいいかなって話してたんだ」

その件はさっきも言ってたことだ

自分たちのバンドがどんなバンドなのか、それが分からないといくら勧誘してもバンドに入るのを躊躇われてしまうということ

改めて言葉の意味を租借してもたしかに納得のいく意見だった

「それでバンド名もそうだけどバンドの中でなにか大事なことを決めようとした時に意見をまとめる人が必要でしょ?」

「それは たしかに…」

「それからさっき蓬ちゃんが言ってた新聞委員へのチラシの掲載依頼とかライブの計画とかみんなで強力するにしても代表になる人が必要だよね?」

「それも まあ」

綾乃が言いたいことは分かる

つまりはみんなの意見をまとめて何かにつけて責任者となる『雑用』が必要ということで

「それを蓬ちゃんにお願いしたいの」

「……はい」


綾乃からそれを言われて少しだけ胸の奥が痛んだ

もちろん直接、『雑用係になれ』って言われたわけじゃないけど

それでも何処かそんな気がして…

中学の頃もそうだった

私が消去法で入るしかなかった文芸部には私以外にも同じ学年の部員が何人かいて

ただその子たちはほとんどが幽霊部員みたいになってた

二年生の秋に新しい部長を決める時もただ毎日のように部活に出てるからって理由で部長に推薦されて


そのまま成り行きで部長になった

もう一人の副部長になった子は途中まで色々、手伝ってくれたけどある時からパッだりと離れていって…

文化史の準備とか全部押しつけられて…

だから私はリーダーとか誰かの上に立ってなにかするのが苦手なのに

今回も綾乃と真凛に頼まれたから…やるしかないと思ってしまった


「蓬ちゃん?」

「あ、ごめん…」

綾乃が心配そうに見つめている

たぶん中学の頃のことを思い出してまた表情が曇ったんだろうな

ほんと気を付けないと…

「バンドリーダーのこと嫌だったら大丈夫だからね」

「あ、いえ そんな嫌なわけじゃ…」

こんな私が綾乃や真凛とバンドができるなんて夢みたいなこと何度人生を繰り返したってもう二度と訪れない

だから多少の犠牲や苦境はしかたないことで、私が我慢して真凛や綾乃が喜んでくれるならそれぐらい…

「もちろん蓬ちゃんに任せっきりにしないし私も真凛もできることはするよ けど…」

そこで一度、綾乃は言葉を止めて再び再生した

「私も真凛も蓬ちゃんには我慢して欲しくない」

「あ、えと…」

「この前、三人で遊んだ時もそうだけど蓬ちゃん、無理したり我慢したりしてたよね?」

「あっ……」

言葉に詰まる というかなんて言ったらいいのかが分からなかった

たぶん今、私がなにを言ってもそれは嘘を吐くことになる

綾乃に嘘は吐きたくない…

だからといってこのまま黙ってるわけにもいかなくて


なにかを話そうとしたその時、沈黙を破ったのは綾乃でも私でもなく


「二人とも! はあっ はあっ みっ見つかった! バンドメンバー!」


息を切らして私たちの前に現れた真凛だった


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