第二章 コミュ障陰キャぼっちでもバンドは組めますか? 第二十七節
愛は軈、憎しみになる
なら憎しみはなにに変わるのだろうか…
月曜日、長い一週間の始まりとなる憂鬱なその日の放課後
桜水高校生徒会室には三人の生徒がいた
それぞれ履いているうち履きのいろが違う
赤いうち履きを履いているのは一年生で庶務の雛鳥詩草
緑のうち履きを履いている二年生、会計の田村松子
青いうち履きの三年生、生徒会長大道寺司
以上三名が会議用に並べられた生徒会室に集合していた
「それで話とはなんだ?」
「そうですね、本来であれば定例会議の前の忙しい時間にわざわざ時間を作るなんて反対なんですが」
メガネをかけた二人の上級生に睨まれたその生徒はしかしいつもと変わらない軽薄な態度で話始める
「まあまあ 二人ともそう睨まないでくださいよ~ せっかく音楽部を潰すネタを持って来たのに」
雛鳥はこの状況でもなお物怖じすることなく語った
「音楽部を潰すつもりはないが… 例の写真のことか」
「ええまあ あの写真、結局のところ体験入部禁止の日に一年生が音楽室に入っただけしか写ってなかったですよね~ だから生徒会的には武器にならないと」
「そんな写真が!?」
前回、蚊帳ノたちを盗撮した写真について知らなかった松子は声を上げて驚いた
「ああ たしかに言ったな データ自体は残っているが生徒会として違反行為を証明するにあたらない以上、議題に出すつもりはなったが」
「でもそれに違反行為の照明が加わったらどうなります?」
違反行為の照明…
口に出すのは簡単だがこの問題は数学と違ってそう簡単には照明に至らないはずだ
だからと生徒会である司がこの話を一蹴しようとした時だった
「この三人がこの日のうちに入部届を出してましたって言ったらどうします?」
「っ…」
思わず言葉が止まった
たしかにそれなら違反行為の照明に繋がる
なぜな入部届は書類として保管されており生徒会にはその閲覧権がある更には
「体験入部もなしに音楽部に入部するなんておかしい…」
そう呟いたのは松子だった
彼女はメガネを指で上げると続けて言った
「たしかにその日、入部届を出しただけという可能性はゼロではありませんがでも…」
「体験入部禁止期間中に体験入部を行なった可能性は大いにあるか…」
二人は入学早々に生徒会に入った雛鳥の仕事の出来に思わず関心する
他の委員会や部活に比べて内申点が高いためそれ目的も生徒かと思っていたがどうやらそうではなかったらしい
生徒会が風紀の乱れやルールの逸脱、問題行動から敵視していた音楽部を潰すための武器をこの短期間で用意してくるとは
「まあどうするかはお二人に任せますけど 必要な条件は揃えたんで潰すなら今ですよ」
「…分かった だがどのような対応をとるかはこのあとの定例会議で決めるそれでいいな?」
「……分かりました」
自分のしたかった事を後輩に先を越されて松子の心中は複雑だった
しかし背に腹は代えられないし音楽部を本気で潰すなら今しかないのも事実
だからこそこのチャンスに賭けることにした
一方で雛鳥は…
「さてはて まずはここからか 必ず炙り出してやる…」
生徒会室を出る間際、そう呟いたのだった




