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第二章 コミュ障陰キャぼっちでもバンドは組めますか? 第二十一節

きみを独りぼっちになんてさせないから

翌日、遠足当日

一年生は体育館に集合することになっていた

全員、体操着に着替えてステージの前に置かれたホワイトボードに注目していた

今日の遠足ではA組とB組で二人一組のペアを組んで行動sる

ちなみにペアはくじ引きでランダムに決まっているらしく私たち生徒は当日まで分からなかった

ホワイトボードの周りはかなり混雑していて歓声や悲鳴みたいな声が聞こえてきた


「よもぎー おはよ!」

「あ、えと おはよう…」

真凛に声をかけられた

真凛は普段と違って髪をポニーテールにしてピアスも外していた

「今日はピアスしてないんだね…」

「まあさすがに登山だしね~ メイクも最低限にしてきたし」

「そうなんだ…」

てっきりいつもみたいな格好で来ると思っていたから少し驚きだった

「蓬は誰とペアか見た? アタシはなんか男子とだった…」

「あ、私はまだ…かな」

人が多いホワイトボードの前には中々近づく気になれなくてまだ確認できてなかった

それに

「私、登山には参加しないし、綾乃もお休みだから一人かなって…」

一年生は全部で八十六人と偶数だけど登山に参加しない私を除くと奇数になる

そうなれば当然、登山中のペアを組めない人が一人出てくるわけで…

でも今回は残念なことに綾乃がお休みだから私と綾乃を除いたらちょうど偶数になる

だからたぶん、私はペア割りには入ってなくて他の人たちだけでペアになっていると思ったのだ

「あ、そっか 綾乃もいないから… でも頂上で合流はするんでしょ?」

「ああ うん 一応、ロープウェイで頂上には行く予定…」

「ならアタシのとこに来たらいいよ たぶんアタシのペアの男子も他の人のとこ行くだろうしさ 別にずっとペアで行動しなくちゃいけないわけでもないし」

「うん… ありがとう…」

真凛がそう言ってくれて助かる…

頂上で誰もぺがいないと不安だし、知らない人と一緒よりも真凛となら安心できる


そんな話をしていると先生から集合の合図がかかり移動する

ステージの前に集まった私たちは改めて、今日のスケジュールの確認と注意事項の説明を受けてから校門前に停車したバスに乗り込んだ

バスはクラスごとに一台ずつ用意されていて席は決まっていた

私は後ろのほうの一人席になっていて真凛は酔いやすいからと前の席になっていた

目的地名では三十分ぐらい、話し相手もいないからただ景色を眺めて過ごす


思ったよりも早く津横着…

降りたあとはペアごとに集まって最終点呼をした後で登山開始だ

私はペアの子がいないし登山にも参加しないから先生にどうしたらいいか確認しようとして…


「ねえねえ 君が蚊帳ノさん?」

「へ?」

突然、背後から声を掛けられて振り返る…

そこには女の子が立っていた

私と同じくらいの身長で体系も変わらない、けどどこか幼さがあってどちらかというと陽キャな感じのオーラがした

「あ、えと…」

「いやー 挨拶が遅くなってごめんねー あ、ボクはB組の雛鳥詩草ひなとりしぐさ ボクとか言ってるけどちゃんと女の子だから安心してね」

私の目の前に一歩、踏み出した彼女はにっこりと笑いながそう言った

「あ、 あの…」

「ん? あ、先生からまだ聞いてなかったのかー ボクが君の今日のペアだよ なんかB組でも急に休みになった子がいて色々あって今日の朝、急にペアにされたみたい」

話すスピードは普通なのに次から次へと情報が入ってくる…

「あ、でも 私、登山は…」

「ああ 大丈夫! 蚊帳ノさんのペアの子はもともと登山に参加しない予定だったから! ちなみにボクも登山とか運動とか苦手だから回避出来てむしろラッキーって思ってるし!」

私が全部の言葉を言い切る前に話そうとしてることを予測して話してくる…

陽キャのコミュニケーション能力…怖い…


そうこうしている間に点呼は終了していたらしくみんなは登山口に向けて歩き出していた

「んじゃ ボクたちも行こっか」

「あ、えと どこに…」

「神社だよー この山の麓にあるね なんかそこで色々みてレポート書かないといけないらしいからさ」

そう言って雛鳥さんは私の手を掴み、神社のある方へ向けて歩き出した

彼女の手はどこか冷たくて真凛とは違う感じがした

それに真凛みたいに陽キャなのに…

どこか寂しそうな気がしてどことなく親近感があった…



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