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第二章 コミュ障陰キャぼっちでもバンドは組めますか? 第十六節

「まさかドラムやったことがあるとはねー」

蓮見先輩は真凛を見ながら感心したように言った

「いや~ ほんとちょっとだけかじっただけですよ~」

謙遜してるけどなんかバスドラムも使ってたし私より動きが派手でかっこよかった


「じゃあ次はベースもしてみよっか」

そういうと先輩はドラムの左脇にあるアンプに近づく

「これがベース ギターよりも少し大きくて弦が四本」

そうだったんだ… 

一応、音楽部には入部してたけど未だにギターとベースの違いが分かっていなかった

「ベースの弾き方はギターと似てるんだけど、今回はベース特有の弾き方で教えるね」

そう言って私はベースを受け取った

「弦の抑え方とかフレットについてはこないだ、桜から聞いてて知ってると思うけどまずは左手で三弦の三フレットを抑えてみて」

「あ、はい」

私は言われた通りに三弦の三フレット目を人差し指で抑える

ギターの弦の五倍は太い弦だ

しかもネックが長くてけっこうしっかりと腕を伸ばさないと届かなかった

「右手は薬指と小指を曲げて、伸ばしたままの親指をピックアップにかけてみて」

言われた通りの形にしてみる

右手の形はたしか外国で数字の三を表すのと同じ形だった

それから親指をピックアップ… 

たしか音をひろってアンプで大きくするためのマイクの出っ張りに乗せる

ギターのとは形が違って細長い長方形になっていた

「お、良い感じ そしたら人差し指と中指を交互に動かして三弦を弾いてみて」

蓮見先輩から言われた通りに弦を弾く

すると今度はドーン ドーンと鈍いおとが響いた

ドラムより音は小さいけど身体への響きかたはドラムより大きかった

「なんかめっちゃ響かない?」

真凛が驚いたように言った

「そうなんだよねー ベースってめちゃくちゃ響くからさ… おかげでこないだも生徒会に怒られたし…」

「そうなんですか?」

「そうそう まああれは男子が悪かったんだけど…」

なにやらベースの音でトラブルがあったらしい

私もギターの音とか気を付けないと…


「じゃあ次は真凛ちゃんやってみようか」

「りょーかいです」

私は真凛にベースを渡した


なんとなく真凛ならベースもできそうだなと思ってたけど意外にも苦戦しているようだ

弦が抑えにくかったり、右手の動きが追いつかないらしい

「いやー 大変なんですね」

「まあたしかにムズイよねー ギターよりは簡単そうだけど」

ギターより簡単…なんだろうか

正直、私にはどっちも難しく感じたけど


「ところで真凛ちゃんたちのバンドはまだベースとドラムが決まってないんでしょ?」

「そうなんですよー アタシ達の学年、なかなかベースやドラムに興味ある子いなくて…」

どうやら真凛はほかのバンドメンバーも探してくれていたらしい

「そっかー まああとは他校の生徒とか …男子とか?」

「あ、男子には声かけてなかったかも…」

男子というワードに一瞬、動揺する

てっきり真凛と綾乃と三人でバンドをすると思っていたからその可能性は頭になかった


たしかに生徒数の少ない学校だし、他校から探すにしても限界がある

それに今日、すこしだけドラムやベースをしてバンドでの重要性もわかったつもりだ

けど…男の子と一緒にするのは怖いな…


「蓬はどう思う?」

真凛に聞かれて一瞬、フリーズしてしまう でも

「男の子と一緒は緊張する…けど ドラムとベースも大事だから…」

すごく曖昧な返事になってしまった

「そっか まあ今日は綾乃もいないからまた後で考えよっか まだまだ始まったばかりだしさ」

「あ、うん ごめん…」

真凛に気を遣わせてしまって申し訳なかったけどちょうどここで話もおわり、今日は帰ることになった


その日の帰り道、駅まで歩いていると遠目に学ランの生徒を見つける

桜水高校おうみこうこうでは珍しいけど同じ学校の生徒でそれも少しだけ見知った相手だった

名前は知らないけど先週、何度か昼休みに中庭で一緒になった彼…

長身で少し怖いけど悪い人じゃない(たぶん)は背中に何かを担いでいて…

「あ、ベース…?」

なぜだかそれがベースだと直感的に感じたのだった…

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