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第二章 コミュ障陰キャぼっちでもバンドは組めますか? 第九節

まさかこんなところで会うなんて思ってなかった


アイツになんて言うべきだ?

三人でお昼ご飯を食べ終えてフードコートをでた直後、私たちは呼び止められた

「あれ? 真凛に朝霧さんと蚊帳ノさんじゃん!?」

振り返るとそこには同じクラスの天城廻兎あまぎかいとくんがいた

初めて同年代の男の子と休日に会った

天城くんはパーカーにジーパンのラフな格好でなんとなく男の子って感じがした

「あれ廻兎じゃん! どうしたの?」

「いやー ちょっと待ち合わせでさ…」

天城くんはどこか気まずそうに答えた

「なになに? もしかしてデートとか?」

「え、天城君って彼女いたの?」

真凛と綾乃が反応する

「いや、そういうのじゃなくて 相手も男だし」

「彼氏?」

「蚊帳ノさんまでそっちでイジルの!?」

つい思ったことを口にしただけだったけど失敗した…

「普通に中学からの友達だよ…あんま素行がいいやつじゃないから言いずらかっただけ」

「そうなんだ…」

天城くんは学校でも社交的で男女問わず友達が多い、いわゆるコミュ強陽キャリア充だけど見た目はそこまで派手じゃないし悪い友達と付き合うイメージはなかった

「それにもし彼女なら昼飯でフードコートは来ないし」

「そうなの?」

綾乃が不思議そう尋ねる

「中学生カップルならまだしも高校生ならもう少しオシャレなとこ行くかなって」

「でもアタシたちもデートだけどフードコートで食べたよ」

デート そういえばそうだったな…

改めてデートであることを思い出して妙に動揺する

「まあ女子同士ならいいかもだけど男にはプライドとか色々あるからさ」

「そうゆーものかね…」

真凛にはいまいちピンとこないらしい

私もピンとこなかった


人が多くて落ち着かなかったけど初めてきたフードコートは楽しくないわけじゃなかったし ごはんもおいしかったし…

正直、今までぼっちだった私には何もかもが新鮮で楽しかった


「急に引き留めてごめんな 真凛たちもこれから用事があるんでしょ?」

「ああ、うん これから三人で楽器屋さんに行くつもり」

「楽器屋!? なんで!?」

私たちの行先を聞いたとたんやけに天城くんは動揺した

「ああ アタシたち音楽部入ったからさ それで必要なものを買いに」


「そうだったのか… まあいいや」

少し表情が曇った気がしたけど天城くんはいつものように明るく笑った

「大丈夫だと思うけど この辺、ナンパしてるやつとか見かけるから気を付けて」

「まあいくらアタシたちがかわいくてもさすがにそれはないと思うけど…」

「何かあったら連絡もらえれば俺も動けるからさ」

そういって天城くんはスマホを見せた

「はいはい たっく随分と心配性なんだから…」

そう言って私たちは天城くんと分かれた

分かれたすぐあとにふと天城くんのほうを見るとどうやら誰かと電話しているようだった


「真凛って天城君と仲良かったの?」

綾乃が真凛に問いかけた

「え、ああ こないだの体育でちょっとね…」

そういえばこの間、私と綾乃が見学してたときに何か話していたような…

「でもすごいなー 男の子と話せるなんて 私ほそういうの苦手だから…」

なんて綾乃は言っているが嘘である 

普通に男子から話しかけられても受け答えできているしこれはただの謙遜だ

「そんなことないよ アタシなんて弟と話すのと対して変わらない態度だし 蓬も弟くんがいるんだよね? なら蓬もわりといけるんじゃないの?」

「え、あ いや 弟とクラスの男の子は違うから… 私も苦手…かな…」

そもそも十五年間生きてきてまともに話した男性が弟ぐらいな私と小中学校でも男女問わずにコミュニケーション取れてきた真凛とはスペックが違う

だいたい弟だって年下かつ家族だから何も気にせず話せるだけで…

ほんとに男性は苦手…


「まあでも苦手なものって人それぞれあるよね…」

綾乃がぽつりと呟いた

なぜかわからないけどその表情はどこか悲しそうで

「まあ苦手なことなんて誰にでもあるんだしさその分、得意なことを伸ばせばよくない?」

得意なこと… 私にはないな

人に誇れる特技とか…

欠点ならいくらでもあるけど


そんな話をしながら歩いていたら目的地に到着した

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