表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/38

第二章 コミュ障陰キャぼっちでもバンドは組めますか? 第四節

あの時握ったキミの手の熱を今でも覚えてる


その温もりをずっと感じていたくて


もっとキミに触れていたかった

思わず綾乃と声が重なりお互いに顔を合わせた…

バス停に近づくにつれてだんだんとその大きさに気が付いてたけど改めて見るとほんとに大きかった

「二人ともここに来るのは初めて?」

「まあ そうだね… ここまで大きなショッピングモールって東京にしかないと思ってたから… 結構驚きかも…」

綾乃は建物を見上げたままその衝撃から抜け出せてないらしい、かくいう私も…

「ほんとに大きい…」

開いた口が塞がらなかった


「二人とも驚きすぎ… でもまあ確かにちょっと遠出しないと中々ないからね…」

真凛は見慣れたようだったからそこまで驚いていなかった

「とりあえず、入ろっか」

「そうだね ここで立っててもしょうがないし」

「そそ 蓬も行くよー」

「あ、はい…」

あっけにとられつつも先に進んでいる真凛と綾乃について行く

中に入ると煌びやかな装飾とどこまでも広がる店内が目に映った…

「とりあえず洋服から見に行こっか」

「そうだね 洋服だとどこにあるんだろう?」

「二階のほうがファッション関係のお店が多いいかな」

「じゃあまずは二階だね」

私が驚いている間に二人はすたすたと歩いていく

あれ? なんか忘れられてない?

人も多いしこのままだと迷子になると急ぎ足で追いついた…

「二人とも夏服が見たいんだっけ?」

「あ、うんそうだよー」

「かわいい系とか大人っぽい感じとかどんな服が見たいとかある?」

「私はかわいいより大人っぽいかんじかなー 蓬ちゃんは?」

「へ?」


急に話題が自分に振られて驚いた

というかそもそも服の種類とか系統とかわかんないし…

そもそも自分にどんな服が似合うかだって…

こんなことなら普段からファッション雑誌くらい読んでおくべきだった…

「私は特に… どんな服が似合うかも分かんないから…」

「あんまり服とか興味ないの?」

「あ、えと まあ今まではそうだったんだけどいい加減、高校生だしそろそろ服ぐらい自分で選べないとかなって…」

真凛に聞かれて思わずほんとのことを答えてしまった…


「そっか… ならアタシが色々、教えてあげよっか?」

「え、いや でも せっかく遊びに来たのに悪いし…」

「大丈夫だよ アタシは夏服、もうネットで注文してるから買うつもりなかったしそれなら蓬の服を選んだほうが楽しいしさ」

突然の真凛の申し出に思わず戸惑う

こういう時にまず遠慮…という名の断りや否定をするのが私の悪い癖だ…

「綾乃もそれでいい? 蓬とアタシで別行動になりそうだけど…」

「全然、大丈夫だよ 私もわりとすぐ決まっちゃうからそしたら合流するし」

「オッケー じゃあそーゆーことで」

真凛に押し切られてしまった…

私のせいで綾乃が一時的にでも単独行動になるのは申し訳ないな…

三人グループの欠点というか…

もともと自分が一人になるつもりだったからなおさら罪悪感は大きい


二階に到着したあと、合流地点を決めて解散した

「ほんとすみません 私なんかのために…」

「いいんだって アタシがしてくてするんだからさ それより蓬はどんな服がいいとかあるの?」

「特にこれといっては… できれば明るい感じがいい…かな…」

「明るい感じかー あ、じゃああそことかどう?」

フロアの真ん中より少し奥のお店を指さして真凛が言った。

「あそこならわりとなんでもあるし どっちかっていうとかわいい系だよ」

「えと じゃあ そこで…」

なんにも分からないからただ真凛の提案に従う

そうして立ち止まったのはいかにもアパレルショップなお店だった

普段、ごくまれに行く量販店的なお店とは違う…

そういうところですら緊張するのにいきなりこんなガチのアパレルショップに来るとは…


「とりあえず適当に一周してみて気になる服は試着してみよっか」

「えと、はい」

ヤバい 試着とか十五年間、一度もしたことない…

「アタシも蓬に似合いそうな服選ぶけど、蓬も気になった服があったら言ってね」

そう言って私たちはお店の中を周った

もちろん気になる服どころか狭いけどたくさんの洋服で入り組んだ店内で迷子にならないよう、真凛についていくのに精一杯だった。

ここで迷子になるとむしろ遭難に近いだろうなとも思う…

そんな中でも真凛は次々に服を手に取っていき、だいたい五分くらいで一周した

それだけの短時間で真凛の両手には服がたくさんかかっていた…

「さすがにカゴに入れるべきだったなー それじゃ試着室、行こっか」

「えと、あ、はい」

「そこまで警戒しなくて大丈夫だよー そこまで高い服は選んでないし」

そう言って試着室に向かいだす。


私が警戒してるのは試着の量なんだけどな…


幸か不幸か、ほとんど開店直後の店内は空いていておかげですぐに試着室に通された

一番端の個室に入り、真凛から服を手渡される…

「じゃあとりあえずこれから着てみて」

「あ、はい…」

渡されたのは花柄のワンピース… といってもそこまで派手すぎずそれでいて明るさの感じられるデザインだった

「えと、着てみました…」

「オッケー どれどれ…」

さすがに着替えぐらいはスムーズにできた 

試着室のカーテンを開けるのは少し怖かったけど相手が真凛だから大丈夫…たぶん

「まあまあ いい感じだね じゃあ次はこっちね」

そう言われて次の服を渡された

半袖のパーカーとパンツ… ちょっと動きやすそうな感じで好印象…

「着ました…」

「うーん なんか違うかな… じゃあこっちもお願い」

私は良いと思ったけどオシャレ女子の真凛的にはダメだったらしい

やっぱりファッションはよくわからない…

その次のその次もトータルで十回くらい試着した…

その中で真凛のオーケーが出たのは三回…

「やっぱりあんまり似合う服もない…よね…」

思わず呟いてしまった

「うーん というより方向性の問題かもね 蓬ってほんとなら基本、なんでも似合いそうなんだけどさっきのところは少し子供っぽかったかなって…」

「そう…なのかな でもやっぱり私の見た目の問題じゃ…」

ダメだ また弱気になってしまう

「そんなことないよ! 蓬はすっごくかわいいし 全然大丈夫! あ!」

すると閃いたように真凛がスマホで何かを調べ始めた

「ねえねえ 一度、綾乃と合流しない?」

「えと それはいいけど」

なんならこのまま時間を無駄にするぐらいなら私の服選びはこれでおしまいでもよかった


「オッケー じゃあ綾乃のとこに行ってみよー」

軽く拳を掲げるポーズをして真凛が歩き出した

真凛において行かれないように私も後をついていったのだった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ