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第三章 コミュ障陰キャぼっちでもライブはできますか? 第五十四節

触れた手の先


傷と記憶…

「ムリムリムリムリムリムリムリ!」

本日三度目の…以下略

私は全力で拒否しているけどメイリンちゃんは両手に泡を乗せて迫ってきている

「観念してくだサイ!」

「でもメイリンちゃんさっき身体洗ったことないって言ってなかった!?」

「たしかにそうデスが… でもメイリンのはじめてを蓬にもらって欲しいんです!」

「ちょっ 言い方!」

そこだけ切り取ったらとんでもない勘違いが生まれそうな言い方だ

しかもお風呂場でお互いに裸という状況で変な現実味が増す…


「ささ、座って下さい」

「いや え ちょっ…」

私の抵抗も虚しくお風呂用の椅子に座らされた

正面には私の全身を映せるぐらいの大きな鏡がある

「うわ…」

メイリンちゃんと比べたらあまりにもお粗末な身体に思わずため息が出る…

「蓬の背中… この線って…」

「それは…」

色々ありすぎてそこまで気が回らなかったけどメイリンちゃんが不思議そうに見つめるそれは手術の時にできた傷跡だった


胸と背中あとお腹にもあるその傷跡は私にとってトラウマでありコンプレックスだった

小学校と中学の修学旅行のお風呂で運悪くそれを見られた時に上手く誤魔化せなかった記憶が蘇る

メイリンちゃんになんて説明すべきか戸惑っていると

「痛くないですか?」

「あ、うん…」

背中に柔らかくてしなやかな指先が触れた

メイリンちゃんは優しく丁寧に背中をなぞってくれた


「じゃあ次は正面ですネ!」

「……あ、うん」

正直、すごく気持ちよくて寝不足ぎみな私は思わず寝てしまいそうになっていた

というか寝てた…

「じゃあ失礼しますネ」

「うん… って え!?」

メイリンちゃんにされるがままだった私は目の前の状況に驚愕する

椅子に座った私の正面に膝立ちの状態のメイリンちゃん

その両手には変わらず泡が乗っている…

「いや… その さすがにこれ以上は…」

椅子から落ちそうな勢いで後ろに下がるけど背後にはさっき私の醜態をさらした鏡…

行き止まりだった…

「安心して下さい 痛くはしませんヨ」

「いっ いや ちょっ…」

メイリンちゃんの両手が私の脇腹に触れた

くすぐったくてこそばゆくて変な笑いが洩れそうになる

なんとか笑いを堪えているとそのまま上のほうに…

「ちょっ さすがにそこは…」

呟くような私の声は届いていなかったらしい

そのままメイリンちゃんの細い指が触れて…


「ねえなんか触り方が…」

「蓬のおっぱい…」

メイリンちゃん私のない胸を揉んでいた…

メイリンちゃんに揉まれたら私の胸ももう少し成長するかななんて考えが一瞬過ったけどそんな考えはすぐに消え去った

「うっ ちょっと これほんとにやば…」

脇腹の時とは比べ物にならないほどの感覚が襲う

さっきまではなんとか声を抑えられていたけどこれ以上はムリだった

(自主規制)みたいな声が洩れる一夫手間でメイリンちゃんの手は止まった

「ふー 満足、満足です!」

「はぁ はぁ はぁ… 危なかった…」


なぜか満足そうなメイリンちゃんはシャワーの温度と勢いを調整している

「じゃあ流しますね」

「う、うん…」

ここでもなにかあるのでは?と身構えていたけど特にそんなことはなくメイリンちゃんは普通に泡を流してくれた


「あ、ありがとう…」

「いえいえ メイリンも楽しませてもらいました!」

最後の一言が気になったけどつっこまないでおこう…

なんて想いながら椅子から立ち上がったらめまいがした

「それじゃあ次はお風呂に…」

「ごめん メイリンちゃん 私、ちょっとのぼせたみたいで…」

「ほんとですか!? それはいけませんね 身体は洗ったので早く出ましょう!」

「うん… ごめんね…」

こうして私は人生における最大のピンチをなんとか乗り切ったのだった…




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