幽籠花譚<ゆうろうかたん>エピローグ
視点:セラフィナ・ノクティルカ・カンタービレ
最初の弟子があの子で良かった、と思う。
たまたま宿の酒場でゆっくりしているときに喧噪が聞こえてきたものだから、盗み聞ぎをするつもりはなかったのだけどね?
わたしの師匠からは最初に弟子にする子は男の子にしておけって、なぜかすごい圧を掛けられてたから渡りに船ではあったのよ。
理由は聞いても教えてくれなかったけれど・・・。
魔導は発動できていたけれど、『使えていた』わけではなかったのが不思議だった。
あの子の話しを聞いて、わたしや師匠のように魔導を扱える魔導士は少ないんじゃないかと思えてきたから、次はある程度は魔導士として活躍している人を弟子にできたらいいと思う。
そんな人は何かしらの欠陥を持っていると思うので、それを解消してあげればすぐに独り立ちしてくれそうだからね。
こういった気付きも含めて師匠は男の子にしておけって言ったとしたら、やはり凄い人だったのかなって思ってしまう。
ただそれだけじゃないと思うのは、わたしの身の上あってこそなのだろうか・・・。
それにしてもダンジョンにあの子を迎えに行ったときは本当に焦ってしまったわ。
なにせ、あの子たちでは到底敵わないモンスターが複数いたんだもの。
向かわせたダンジョンは本来そこまで難易度が高いわけでも、ランダム性が高いわけでもなかったの。
少し厳しい程度の難易度で仲間を守れたという経験を積めば、そこから自分の可能性を見つけ出し、魔導を使うことになった根幹の願いを探り当てれば、あの子の魔導はそれだけで扱うことができるようになったはずーーーだったんだけどね。
あの子の身体にある一定以上の負荷が掛かった場合は、わたしに連絡が入るのと、その間は呼び出させた魔法生物で対処する二段構えで考えていたわ。
そういう魔道具があったから安心して向かわせたつもりだった。
でも、まさか魔法生物が呼び出されなかったなんて、わたしや師匠が作ったもの以外は信用してはだめね。
さて、今回の反省は終わりにしましょうか。
では、またね?
少しでも興味をもってくれたら評価していただけたら嬉しいわ。
やる気にも繋がるし、読んでくれる方々の期待にも応えていきたいもの。
また会いましょう。