あなたはここに属している
これはこの物語の最終回です。皆さんが楽しんでくれたら嬉しいです。
戦いは終わった。
ヒロトはエヴォルへと戻る道を歩いていた。空にはまだ硝煙の匂いが漂い、遠くには瓦礫の山が連なる。しかし、彼の心は奇妙な静寂に包まれていた。戦いの結果、勝利は確かに手に入れた。だが、それだけでは満たされない何かが胸に残っていた。
「――俺は、ここに本当に属しているのか」
その問いは、幼少期の記憶と重なった。日本での孤独な日々。虫を踏みつぶす子どもたちを打ちのめしたあの日。社会から異端として扱われ、誰からも受け入れられなかった自分。自分という存在の輪郭が、常にぼやけていたあの感覚。
エヴォルの大地が広がる中、彼の心はまだ完全には定まらない。彼は社会に属したことがなかった。人々は常に彼を異物として扱い、自己の輪郭を確認するための対比対象として彼を拒絶した。だから、自分自身の存在は未だに曖昧で、霧の中に浮かぶ影のようだ。
だが、そんな思索の中で、柔らかな手が彼の肩に触れた。振り向くと、そこに Milagros が立っていた。
「ヒロト……大丈夫。あなたはここにいるべき人よ」
その声には、戦いで得た勝利や恐怖、死に触れた現実の重みすら吸い込むような、穏やかで絶対的な安らぎがあった。
「もし不安なら、目を閉じて、私を信じて……」
ヒロトはその言葉に、初めて自身の存在を肯定される感覚を覚えた。長い孤独と冷徹な戦いの末、ようやく彼の魂は、どこかに根を下ろすことができたのだ。
数か月後、エヴォルの村は穏やかな日常を取り戻した。子どもたちは笑い、森は静かに風に揺れる。ヒロトは Milagros と手を取り合い、彼女の温もりを胸に感じながら、初めて自分の居場所を知ることができた。
そして、二人は結ばれた。戦争の傷跡と、異なる存在として生き抜いてきた孤独を背負いながらも、互いの存在が確かな希望となった瞬間だった。
ヒロトはもう孤独ではない。曖昧で不確かな存在だった自分も、ここにしっかりと立っている――Milagros がその存在を認め、抱きしめてくれる限り。
彼の目には、戦いで見た恐怖も、社会に拒絶され続けた記憶も、すべて過去の影として映り込む。しかしその影の中で、初めて暖かな光が彼の心を満たしていた。
皆さんがこの物語を楽しんでくれたら嬉しいです。最初からこの物語を読んでくれた皆さんに感謝します。皆さんのおかげで、私は自分自身を信じることができ、作家になるという夢を実現できると信じさせられました。本当に感謝しています。




