Sic serpent fatui
これはこの物語の最新エピソードです。皆さんに楽しんでいただければ幸いです。
ヒロトはデーヴァの宮殿の門前に立っていた。そこには最後の貴族たち、そして自らの力を誇示するかのように豪奢な装飾に身を包んだヴェルストルツェルン公爵が待ち受けていた。宮殿の扉は重く、冷たい金属の匂いが漂う。
「待ってくれ、どうか命だけは――」公爵の声は震えていた。しかし、ヒロトの瞳に情けの光は一切なかった。
「人類は、異なるものを恐れ、憎み、排除してきた。それは変わらない。」ヒロトは冷たく告げる。
公爵の唇が震える。「だが、私たちは共存できるはずだ……デーヴァとエヴォルが、平和に……」
ヒロトの口元に微かに笑みが浮かぶ。それは慈悲でも愛でもない、計算され尽くした冷徹な微笑みだった。
「人は、混沌を恐れる。混沌とは、最も弱き状態、自己すらも見失う状態のことだ。だから人は秩序を求め、自らの同類と異なるものを分けることで、自己の存在を確かめる。」
その声は、まるで宮殿の石壁に反響する鐘の音のように重々しかった。
「その繰り返しが、人間の歴史だ。そしてその連鎖は、止まることはない。」
ヒロトはゆっくりと手を上げる。その手の動き一つで、空気がひび割れ、宮殿の床が微かに震える。
「選択肢は二つしかない。デーヴァがエヴォルを滅ぼすか、エヴォルがデーヴァを滅ぼすか。」
公爵は懇願する。「どうか……私たちを……」
「しかし俺は、エヴォルに共感する。」ヒロトの声は冷たく、鋭く、絶対の意思を宿していた。
そして、彼の口から呪文のような言葉が紡がれる。
「Sic serpent fatui――愚か者はこうして死ぬ。」
その瞬間、宮殿の光が切り裂かれ、暗黒が支配した。公爵とその取り巻きの貴族たちは、冷酷に、容赦なく、歴史の断罪者の手によって倒されていった。
ヒロトの瞳には血も涙もない。そこにあるのは、ただ冷徹な理性と、弱者を守るための計算された暴力だけだった。世界は変わるべき時を迎え、彼はその先導者として立っていた。
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