表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/38

魔物に狙われた街

「そっちへ行ったぞ!」


 けたたましい声が聞こえ、震え上がる。


 そっちとは、間違いなく、わたしのいる方向(こちら)のことだ。


 少しずつ大きくなる足音と普通ではない息遣いが徐々に近づいてくるのを感じ、自分の体が爆音を奏で続ける心臓に乗っ取られたのかと思えるほど大きく揺れる。


 歯を食いしばらなければ涙が溢れ落ちそうだ。


 怖くて怖くて仕方がない。


 祈る思いであらかじめ曲がり角に垂らしておいた化粧水の水滴を眺める。


 その成分には起爆処置が施されている。


 起爆といっても、わたしの魔力を含んでいるだけなので、ほんの小さなものだ。


 それでも足止めくらいならできる。


 ぐっと踏ん張り、目を見張る。


 お願い、お願い、どうか……。


 無理なら逃げればいい。


 その存在が角に差しかかったときにでもすぐに走り出せば、きっと逃げ切れる。


 大丈夫。絶対だいじょ……


「ぐあああああああああーっ!!」


 そのとき、目にも止まらぬ速さでそいつらやってきた。


 悲痛な叫び声もお構いなしにまわりの人間を弾き飛ばし、一気に距離が縮めてきたのだと全身で悟った。


 もう少し後方にいるとばかり思っていたため、思わず腰を抜かしそうになる。


 逃げ切れるだなんて、よくもまぁ言えたものだ。


 少しずつ崩壊されていく周りの景色をゆったりそいつを眺め、ぼんやり思う。


 ああ、もうだめだ……。


 そう思ったとき、そいつの足元から粒子が飛び散り、溢れんばかりの光があふれた。


 そうよ。負けてなどいられない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ