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この異世界はどこかズレている!  作者: 正妻キドリ
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冤罪栗まんじゅう

「お腹が空いたデース!」


アリッサはそう言って、お腹を押さえた。


「なんか、買って食えばいいだろう?」


俺は、そう言って他所を見たが、あることを思いつき、再びアリッサの方を見た。


「あ、そういえばアリッサさん。あなた、お金はいくら程お持ちです?もし、宜しければ少しお貸し頂けないだろうか?バイトしてすぐ返すから。」


「ワターシもお金持ってないデース。遠い所から来たからその道中で全部ないなったデースヨ。」


「お前も無一文かよ。俺も栗まんじゅう一つがやっと買えるくらいの金しか持ってない。これじゃあ、何も出来ないぞ。」


「ノーノー!何もできなくないデース!栗まんじゅうが買えマース!」


そう言ってアリッサは、真っ直ぐ指を差した。アリッサが指を差した方には、まんじゅう屋があり、その隣には宿屋があった。


「あ、宿屋だ!」


「ちょっと待つデース!おまんじゅうが食べたいデース。お腹すいたデース!シラヌイに奢って欲しいデース!」


「なんで、俺の有金をお前の腹を満たす為に使わないといけないんだ!ダメだ!」


すると、アリッサは俺の手を掴んで自分の肩に持っていった。そして、俺をじとっとした目で睨んで言った。


「このまま大声出してもいいデースカ?」


宿屋に着いた。


俺は、宿屋に入って真っ直ぐに宿主の所に向かった。後ろからは、栗まんじゅうを食べながらアリッサが付いてきた。


テーブル越しに宿主の前まできた俺は言った。


「すいません。この宿で1番安い部屋は幾らで泊まれますか?」


頬杖をつきながら座っているガタイの良い宿主は、少しだけこっちを見て答えた。


「1番安いのは、一泊で3000ジパングだ。」


「…3000ジパング?」


なんだ、ジパングって?お金の単位って、ジャポニカじゃないの?


俺は、じいさんを呼んだ。


「おい、じいさん!」


すると、さっきと同じく、椅子がガタッと動く音が聞こえてきた。


「なんじゃ!?世界が滅亡したのか!?」


「だから、よく眠れるな!この短時間で!しかも、滅亡してから目覚めるのおかしいだろ!…まぁいいや。3000ジパングっていくらだ?」


「1ジパングは100ジャポニカじゃ。つまり、3000ジパングは300000ジャポニカじゃな。」


もう、それジャポニカいらないだろ。ジパングだけでよくないか?


俺は、宿主の方を見て言った。


「いやー、今お金がなくてですね。後で払うんで今日だけ泊めてくれませんかね?ハハッ。」


それを聞いた宿主は、険しい表情になり、頬杖を止め、指をバキバキと鳴らしながら答えた。


「この宿に泊まった後、半年は病院に泊まることになると思うが、それでいいか…!」


俺は宿主のあまりの威圧感に「で、ですよねー…。」と言いながら後退りした。


すると、アリッサが俺の後ろからひょこっと出てきて、宿主に言った。


「ワターシは、お金ありマースから泊めて欲しいデース!」


アリッサは、さっき持っていないと言っていたはずのお金を取り出した。


「お、おい!アリッサ!お前さっき金ないって言ってただろ!なんで持ってるんだ!?」


「あれは嘘デース!大きいお金崩したくなかったノデ、シラヌイに払ってもらいマーシタ!」


「てめぇ!ふざけんじゃねぇ!もう50ジャポニカしかないんだぞ!俺の4950ジャポニカを返せ!」


「そんなの元々ないようなモンデース!諦めてクダサーイ!」


取っ組み合いを俺とアリッサは始めた。それを宿主は黙って見ていたが、暫くしてから鬼の様な形相で口を開いた。


「お前ら…宿の中で騒ぐんじゃねぇ…!」


凄い威圧感に俺達は借りてきた猫の様にシュンとなった。


泊まれないなら別の所を当たってみるか。それともアリッサの金でもくすねてやろうかな、なんて考えてた時、2人の少年が宿の中に慌てて入ってきた。


「大変だ!レイ君が森の中に入っていっちゃった!」と1人の子が叫んだ。


「なに…!?」


宿主は、驚くと同時に焦りの表情を見せた。


「あの森では最近、凶暴な獣が出ると言われてる…!クソッ!」


宿主は、勢いよく立ち上がりそのまま宿を飛び出して行った。


一瞬の出来事に俺は唖然としていた。


すると、宿主が座っていた場所の後ろにある扉から1人の女性が出てきた。恐らく、宿主の奥さんだろうと見受けられるその人物は、恐る恐る子供達に尋ねた。


「今の話は本当…?」


子供達は、勢いよく大きく頷いた。


それを見た奥さんは、俺達の方を見て言った。


「すいません!あなた方は冒険者様ですか?なら、レイと…うちの主人を助けていただけませんか!?あの人は、あんな強面だけど実は一度も喧嘩すらしたことないんです!」


あの威圧感で!?そんなツッコミを心の中でした後、俺は奥さんに答えた。


「わかりました!でも、僕は少し実践経験があるだけで冒険者ではありませんので、他の戦える人にも救援を要請して下さい。」


そう言うと俺は、宿の外に駆け出した。と、それを見てアリッサが俺に付いてきた。


「アリッサ!お前は危険だからここにいろ!」


「チンピラにボコされたのを実践経験に数えてイル、戦闘初心者を1人で行かせられないデース!それにワターシは実践経験ありマースヨ!」


アリッサは、こっちを真っ直ぐ見ながら言った。


「好きにしろ。」と言って俺はアリッサと共に宿を飛び出した。




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