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プロローグ
久しぶりに小説業に戻ってまいりました。
のんびりと気が向いたら更新していこうと思いますのでどうかよろしくお願いいたします。
いつからだろう。
信じる、という事を忘れたのは。
信頼は裏切られ、何度も踏み躙られどす黒く濁ってしまった心は窒息してしまっている。
人が人を裏切り、自己の利益のために他者を蔑ろにし、いつしか星まで蝕んでしまった。
いつからだったか。
人間に対しての憧れを捨てたのは。
薄暗く、ゴミ溜めである最下層に住む人間じゃない生き物は、穴の底から見える最上層に住む人間になりたいとただ憧れ、羨望の眼差しを向ける。
人間にその目を焼かれ、身を刻まれ、害獣として駆除されても尚、上を見る眼の奥底には憧れが輝いていた。
いつになるだろう。
ただ共に生きたいだけなのに。
命を狙われることもなく、静かに生きるということはこんなにも難しいことなのだろうか。
いつの日にかきっと見つかることを信じて、今は鉄のように重い脚を前へ前へと、動かすしかない。