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【コミック全4巻発売中】100日後に死ぬ悪役令嬢は毎日がとても楽しい。  作者: ゆいレギナ
800年前の悪女は

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90/97

800年前の悪女は毎日がとても楽しい①

お久しぶりです。

11月15日に本作コミックスと、他作小説が同日発売するので、

お知らせ&宣伝を兼ねてクロスオーバー作品を書いてみました(両出版社から許可を得ています)


100あくの「ルルーシェ」の憑依した『800年前の悪女』の物語を全4話、お楽しみいただけたらと思います!


「きみは100日後に死に――え、誰?」


 誰と聞かれても、私のほうがお前は誰だと聞きたいんだけどな?


 この稀代の悪女ノーラ=ノーズを呼び出したあなたこそ誰なのだろう? こちとら、800年前に婚約者だった王太子殿下から『失恋した腹いせに僕の真実の愛で結ばれた娘を殺そうとしやがって!』との冤罪で、永久的な封印の刑に処されていた者なのだけど?


 クリスタルの中で封印されていたはずなのに、気が付いたら白くてキラキラふわふわした世界。そして目の前で目を白黒させている長い白髪が綺麗な美青年は……異様に魔力が多いようだね。


 これでも私は、800年前に『大賢者』の称号を冠した大魔法使いである。

 そんな私は総合的に考えて……「なるほど」と人差し指を立てた。


「ここは死後の世界というやつかな?」

「まあ……それに近い夢の世界と言いますか」

「私は死んだの?」

「いやぁ……本当はあと100日で絶対に死んでしまう運命の子を呼び寄せて、ちょっと残りの人生を有意義に過ごせるようにアドバイスとかしようかな~、なんて思っていたんだけど……」


 モゴモゴとした話し方と言っていることが真逆な白い男を、私は思わず鼻で笑ってしまった。


「なかなかに傲慢なお考えだね?」


 すると、彼も私の嫌みに気が付いたのだろう。

 ムッと口を尖らせてくる。


「これでも一応、この世界の神様なもので」


 まぁ、どこか人智を超えたものを感じていたけれど。

 ここで彼の正体を探るのも一興だが、あまり核心を教えてくれるとは思えない。ならば、と私は質問の矛先を変えてみることにした。


「ちなみに、その子の人生はこれからどうなってしまうのかな?」

「え、それを無関係なきみに話す必要がある?」

「手違いを起こしたお詫び?」


 私の答えに、神様はとっても渋い顔をする。

 ふふっ、ちょっとからかいたくなっちゃうかなー。


「てか、あなたが呼び寄せる魂を間違えたから、このまましばらく、私はその子の身体で生活する必要があるんじゃなくて? ただでさえ余命が100日しかないのに、余計にその子が自分の身体で人生を謳歌できる時間が減っちゃうね? 誰のせいかな~、一体誰のせいで、可哀想な女の子が余計に可哀想に――」


 私の涙が効いたのだろう。神様は「きみって性格が悪いね⁉」と半泣きになっていた。性格が悪いと言われましても……そりゃあ『稀代の悪女』ですから?

 

 それはそうと、この神様からの話によれば。

 ここに呼ばれるべき女の子の名前は、ルルーシェ=エルクアージュ。

 十六歳の公爵令嬢で、のちの王太子妃になるはずだった少女らしい。


 だけど彼女が100日後に死んだあと、婚約者の王太子も半身不随になるし、代わりに王位に就いた弟殿下も暗殺者に殺されるし、彼女の家族も没落して人身売買にかけられる運命が待っているらしい。いやぁ、ひどいね!


「こんな悲劇をあっさり一言で⁉」

「だって、私からしたら他人事だし?」

「だったら聞かなきゃいいのに……」


 そう項垂れる神様は、とっても神様らしくない表情の豊かさなのは置いておいて。私は少しばかり考えてから、ひとつ提案をしてみる。


「それなら神様、ひとつ賭けをしようか?」

「いきなり何を言い出すの?」

「もし私が彼女の悲劇を改善できたなら、お願いしたいことがあるのだけど」


 私がにっこりを返せば、神様の声のトーンがより落ちる。


「それでも、彼女が100日後に死んでしまうという運命は変えられないよ?」

「なら、あなたはその少女が悲しい人生の幕引きをして満足なのかな?」


 神様の目が語っていた。こいつ、めんどくさいと。

 まぁ、それに怯む稀代の悪女ではないんだけど。


 神様が質問を返してくる。


「……何がお望み?」

「その子が死後、願ったことを何でも叶えてあげてよ」

「はあ?」


 神様の疑問符に、私は笑みが止まらない。


「それこそ、きみには何にも関係ないじゃないか」

「それじゃあ、神様がその子に愛の告白するよう命じたほうがよかった?」

「はああああああああ? な、なんで、ぼくが? ル、ルルーシェに? 愛の告白を? ぼ、ぼくは神様なんだけどお?」


 だって……ねえ?

 神様ともあろう方が、何の脈絡もない相手にわざわざ余命を教えて肩入れしようとする理由なんてね、他に何があるというのかな?


 まあ、顔を真っ赤にする神様がちょっとだけかわいいから、私もできるだけ恋のお手伝いをしてあげようかな?


「それじゃあ、ちょっとそのルルーシェちゃんの人生を楽しくしてくるねー」

「いや、ほんと! きみは一体何者なわけ⁉」


 その問いかけに、私は思いっきり口角を上げた。


「稀代の悪女、ノーラ=ノーズだよ」


 そして私は、可哀想な女の子の人生をちょっとだけ間借りすることにする。

 ま、あのままクリスタルの中で封印され続けるのも、暇で気が狂いそうだったからね。ちょっとした暇つぶしだ。

  

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