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【コミック全4巻発売中】100日後に死ぬ悪役令嬢は毎日がとても楽しい。  作者: ゆいレギナ
小噺

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88/97

ヤンデレとはなんですか?①

「ヤンデレ」がテーマの新作を始めたので、宣伝がてらそんなSSを書いてみました!

「ルルーシェ様! ヤンデレってご存知ですか?」


 放課後の淑女教育の合間に、レミーエ嬢がそんなことを言ってくる。

 まったく……わたくしに懐いてくれたのは……まぁ、可愛くないこともないんだけど。それでも、その話題は未来の王太子妃として相応しいものなのかしら?

 

 その“ヤンデレ”というのが何なのかわからないことには、指導の仕様もないのだけど。


「ヤンデレ?」

「なんかクラスの子たちが話していたんですけどね、巷ではそんな男性が流行っているらしいですよ! こう……溺愛を超えた先にヤンデレがある? とかなんとかで、とても女性を大切にしてくれる男性のことをヤンデレと呼ぶそうです!」

「流行り……」


 正直言って、わたくしは流行りというものに疎い。

 次期王太子妃として社交も義務の一つであるから、世情を知るというのも仕事の内ではあるのだけど……なぜだか、こう気安く話しかけてきてくれる令嬢の知り合いって、あまりいないんですもの。わたくしも、今までならこんなふわふわした話題「くだらない」と一蹴してきてしまったせいもあるかもしれないけれど。


 だけど、こうも元野良猫……失敬。友人のレミーエ嬢がニコニコと教えてくださったことを無下にする気にもなれない。わたくしも丸くなったのかしらね?


 わたくしは「殿方に流行りとか古いとか言うのは失礼ですよ」と軽く注意してから、レミーエ嬢の隣の席につく。


「それで? レミーエさんもそんなヤンデレの殿方と親しくなりたいの?」

「え? まぁ……そんな甘~い経験をしてみたくないって言ったら嘘になりますけど……」

「なるほど」


 しばし考えてから、わたくしは“ヤンデレ”に相応しい相手に検討をつけて。


「なら、わたくしに任せてちょうだい!」


 わたくしはにこりと、自身の胸に手を当てた。




「――というわけで、サザンジール殿下。ヤンデレになってくださいまし!」

「はひっ⁉」


 もう、だから公衆の面前でその素っ頓狂な声音はやめてもらいたいのに……。

 だけど公衆の面前で殿方に堂々注意する令嬢もマナー違反ですから、わたくしは咳払いだけで止めて。さっさと本題に入ることにする。


「殿下はヤンデレをご存知ですか?」

「いや、初めて聞いたが……」

「近頃、そんな殿方が女性に人気があるそうなんです」

「なるほど?」


 殿下はしばらく考え込んでから、すごく真剣な顔でわたくしを見つめてくる。


「わかった。一晩時間をくれ。必ずやヤンデレを習得し、ルルーシェを喜ばせてみせよう!」


 何やら、とても高温度の熱意を向けられたような気がしますが……わたくしはそのヤンデレをレミーエ嬢に披露していただき、もっと仲良くなっていただきたかったのですが……。


 まぁ、やる気になってくださったならいいですよね。

 わたくしは「よろしくお願いいたします」とお辞儀(カーテシー)する。


 ♦ ♦ ♦


「――そういうことでザフィルド! 俺にヤンデレを教えてくれ‼」

「え、それを僕に頼むの?」


 その日の夕食時、俺はザフィルドに懇願する。

 あれから、クラスメイト、屋敷のメイドや従者あらゆる人に『ヤンデレ』について聞き込み調査してみたが、今一つ具体的な例が出てこなかったのだ。


 みんな、やれ「王子には似合わない」だの、「そのままで十分素敵です」だの、「どっちかと言えばザフィルド殿下の方が……」だの、煮え切らない返答ばかりだったのだ。


 でも、その中でも一番有用な答えが最後のものだった。

 そう――ザフィルドなら何かヤンデレの秘訣というものを知っているに違いない!

 

 そうとなれば、たとえ弟だろうと、俺は頭を下げる。

 教えを乞う者に兄だ弟だの関係ない。


 だけど、ザフィルドは思いっきり口を曲げていた。


「やだ」

「なんだと……」

「だって絶対面倒なことになるのが目に見えているし」


 ヤンデレとは……そんなに困難を極める技術なのだろうか……。

 俺は運動が苦手だ。そのせいでザフィルドに迷惑をかけたことは数えきれないほどある。だけど……気合と根性で乗馬だけはマスターしてみせた。今回も覚悟だけなら負けない!


「そこを何とか頼む……! ザフィルドにしか頼めないんだ‼」

「そんなに必死ってことは……またルルーシェ絡み?」

「なぜわかった……?」

「いや、わからない方がおかしいでしょ」


 ザフィルドは呑気にサラダをむしゃむしゃと食べながら、大きなため息を吐いた。


「まぁ、いいや。ヤンデレね。ヤンデレ。兄上にヤンデレを仕込めばいいわけね。付け焼刃でよければ、僕が教えてあげるよ」

「そうか、恩に着る! 俺は頼りになる弟を持てて果報者だな!」

「ははっ、そりゃあ良かった」


 軽く笑ったザフィルドは、再びサラダを食べ始める。

 さぁ、俺も体力をつけねば! ザフィルドからの教授を全力で吸収せねば。今日は寝れないかもしれん……俺は厚切りステーキ肉にがっつき始める。

……まさかの終わらないだと??(書いてて自分でびっくりしてます)

明日か明後日に、続きあげますね。


そして新作は

『オノマトペ令嬢の嫌われ大作戦〜ヤンデレ集団から逃げたいので「きゅるるん♡」なノリだけで会話したら余計にモテて困惑している件。ありがとう、元ナンバーワン執事。大笑いしているあなただけが私の味方です〜』という軽く読める中編小説です。

https://ncode.syosetu.com/n2112hx/


下にもリンク貼ってありますので、ぜひ読んでみてくださいね!

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