表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミック全4巻発売中】100日後に死ぬ悪役令嬢は毎日がとても楽しい。  作者: ゆいレギナ
番外編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/97

蛇足「敵情視察と参りましょう」を神様は見ていた①

こちら表紙イラスト公開記念の蛇足となりまーす!


 ――彼女が死ぬまで、あと50日。


『聞いたよ。剣の稽古に飽き足らず、今度は畑作りも始めたんだって?』


 余命半分を切ろうとしているのに、彼女は相変わらず毎日を楽しそうに過ごしていた。

 ……いや、毎朝婚約者から『悩みはないのか⁉』と待ち伏せされる毎日が楽しいのかと問われれば、ビミョ~であるとは思うんだけど。


 それでも、昼休みに剣の訓練をする彼女は、たしかに楽しそうで。


『じゃあ、剣はもうやめるの?』

『どうしてですの?』


 弟王子からの当然とも思われる質問に、ルルーシェ心底心外だとばかりに疑問符を荒立てていた。


『わたくしは飽き性ではございませんのよ? ちゃんと最後まで剣の道を極めさせてもらいますわ』

『最後って……具体的にいつまでって決めているの?』

『……少なくとも、ダンスパーティーまでは』


 ……おや、珍しい。

 いつも頑なに余命の件を隠しているのにね。期日のことをうっかり話してら~。


 それに、彼女は気がついているのかいないのか。表情はまるで動かさず、素振りを続けているも――弟王子が、彼女の剣に自分の鞘を合わせていた。ルルーシェもかろうじて剣を落とさないあたりを見ると、一応訓練の成果は出ているみたいだね。


 会話の流れ的に、それを喜ぶ暇はないようだけど。


『ダンスパーティーって……再来月だっけ? その時に何かあるの?』


 それに、彼女がいつもどおり笑って誤魔化す選択肢を選んだようだけど。

 ……僕は言ってしまってもいいんじゃないかと、ふと思った。


 勿論、始めは頭が狂ったかと心配されると思うけど。この王子なら。

 ある意味“狂っている”彼女に慣れているようだから、取り合うようで、取り合わない。そんな絶妙な距離感であと五十日を過ごせる――そんな未来が“視えた”。


 あ、いいじゃん。これ。

 この弟、色々と難ありではあるけど。それは全部、兄に劣るという劣等感ゆえ。本当に欲しい物が手に入らないという諦めがゆえだから。そこで、“好きなひとからの気持ち”という一番欲しかったものが手に入れられたら…………うん。悪くないと思う。


 そんな僕の思惑をよそに、ルルーシェはこれ以上口を割らないようだけど。

 だから、気の利く弟王子は彼女に嫌われないために、話を逸らす。


『まあいいや。でも、それなら剣の稽古よりそろそろやるべきことがあるんじゃないの? こないだの祝日に、兄上たちは服飾店に行っていたようだよ』

『兄上たち・・?』


 あ~言ってたね。父王からの課題という名の公務の一貫で。

 レンタルドレス……なかなか悪くないアイデアだと思うよ。それこそ庶民も“ハレの一日”のためなら奮発するだろうし。あの兄王子も、生真面目すぎるところがなければ、発想が軽くていい王子になれると思うんだ。


 ……兄弟仲良く支え合っていけたら、の話だけど。

 生きるのって、難しいね。


『もしルルーシェさえ良かったら……僕がドレスを贈ろうか?』

『え?』


 だから、ルルーシェもまた。せっかくの提案を無下にしてしまいそうになるけど。

 そこは、女慣れした弟王子の方がウワテみたい。


『とりあえずさ。兄上たちがどんなドレスを頼んだか、見に行ってみようよ。普段王室が使わない店みたいだからさ。多分、兄上からの依頼には真っ先に取り掛かっていると思うんだよね。仮縫いくらい出来ているんじゃないかな?』

『それは……そうかもしれませんが……』

『自分で用意するにしろ、そうでないにしろ。どうせならもっと『上』のドレスを着たいものじゃないの?』


 女心的にはさ、と口角をあげた弟王子の顔……男からしたら、無性にムカついたりもするんだけど。


『それとも週末付き合ってくれたら、素振りだけでなく体捌きも教えてあげるよ――て方が、興味がそそられるかな?』

『あら。さっきの不甲斐なさで合格でしたの?』

『辛うじて剣を落とさなかったから……最低限ね。体捌きで避け方や受け身を教えた方が、僕も合法的にルルーシェに触れられるから役得だし?』

『まあっ⁉』


 ルルーシェはまんざらでもなかったみたいだから。


『ご一緒してくださる?』


 と、嬉しそうにそのやり取りを楽しんでいた。




 あーあ。僕も彼女と同じ時を生きていたら。僕が彼女を、こうやって喜ばせられたのかなって。

 その考えを、僕は頭を振って掻き消す。


 僕は、もう死んだモノ。

 彼女に何も望んじゃいけない。彼女から、何かをもらってはいけない。

 ただ、僕は傍観するだけ……。


 それなのに。彼女の眩しい毎日を見ていると、なぜだろう――僕は悔しくって堪らないんだ。

活動報告に本作の表紙イラストを公開しております。

もうほんっっと、ルルーシェが美しいので。

ぜひぜひ御覧になっていただけたらと思います!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらの作品が気に入ったなら、絶対好きだと思います!
【カクヨムで新作投稿しました】             「雑草令嬢は溺愛より欲しいものがある!」

a
コミックス全4巻発売中!
100日後に死ぬ悪役令嬢は毎日がとても楽しい。④
 

3ige30sr6higa29dt29ko0iotq_lk5_s0_13s_qphf.jpg
Amazonはこちら





【書籍全2巻発売中!】 100日後に死ぬ悪役令嬢は毎日がとても楽しい。

fv7kfse5cq3z980bkxt72bsl284h_5m4_rs_13w_9uuy.jpg
Amazonはこちら
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ