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【コミック全4巻発売中】100日後に死ぬ悪役令嬢は毎日がとても楽しい。  作者: ゆいレギナ
本編

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26/97

素敵な連休を満喫しますわ⑥

『……きみに何を言ったらいいのか、わからない』

『僭越ながら、申し上げても宜しいでしょうか?』

『ものすごく嫌な予感しかしないけど……聞いてあげよう』


 あれから家に帰った。両親に服装について驚かれながらも、寝室で倒れるように目を閉じて。

 わたくしは久しぶりの神様に申し上げる。


『神様の助言が役に立った記憶がございません』

『ほんっときみはかわいいなー!』


 うふふ。超美青年が目くじら立てる姿、少々そそられるものがありますわね。

 ここ数日、アルバン男爵宅ではほとんどまともに寝ていませんでしたから。だってレミーエ嬢、本当に寝相が悪いんですもの。いびきも掻きますし。……日中しごきすぎて疲れが溜まっているのかもしれませんが、いつかの時にベッドで殿方に幻滅されては、レミーエ嬢が可哀想でしょう? 注意すべく気を張っていたら……わたくしの方が寝不足になってしまいました。


 でも、とても充実した連休でしたわ。

 久々の神様との茶会も楽しいですしね。


『そんなことより如何ですか? わたくしの用意したお茶は』

『別に、こんな気を使わないでいいのに』


 むすっとしながらも、神様はわたくしの用意したお茶を飲んでくださいます。

 枕元に置いておいたら、本当に持ってこれたんですの。それをティーセットを抱えて立ち竦んでいたら、見かねた神様が素敵なテーブルセットを用意してくださいました。ふふっ、椅子の座り心地もいいですし、テーブルクロスのレースが綺麗ですわ。


『明日はお茶菓子も持ってきますわね』

『だから、別にいいって』

『ふふふ』


 わたくしも紅茶を舌鼓。さすが夢の世界というべきか、お湯を沸かして随分経つというのに、いつまでも適温。ずっと芳醇な香りを楽しめるというのは至高ですわね。

 そんな優雅なお茶を楽しんでいると、神様がチラチラとわたくしを窺ってくる。


『なんですか?』

『いや……自分の助言は役に立たないようだから』


 ……あら、拗ねてましたの?

 その様子も可愛らしいですが、神様としては如何なものでしょう?


『役には立ちませんが、聞かないとは言っていないですよ?』

『きみ、ほんとーにかわいいね!』

『お褒めいただき光栄ですわ』

『嫌味だよっ‼』


 わかってますわよ、そんなこと。

 でもね、わたくしも意地悪していいと思いますのよ?


『でも、神様もわかっていたのでは?』

『なにが?』

『ザフィルド殿下のことですわ』


 レミーエ嬢へのいじめの一連を、わたくしが犯人であるかのように偽り。そして、わたくしを階段から突き落とした。

 まぁ、階段の件は他の者を雇ったんでしょうね。さすがにザフィルド殿下が近くにいたら、わたくしも注視しますもの。関与しているのかとカマをかけたら、当たったようですが。レミーエ嬢がやったと思わせて、本格的に対立させたかったのでしょうか? そしてサザンジール殿下の不貞を公にして、自分が王位を継ごうとしたとか?


 わたくしは飲みかけのカップをソーサーに置く。


『そんな殿方をわたくしに勧めたのですよ? 少々趣味が悪いのでは?』


 神様なのだから、ザフィルド殿下の思惑もわかっていたのでしょう?

 そう問えば、神様はむくれた様子で視線を逸らす。


『そうでもなかったんだよ。彼のきみへの気持ちは本物だし、きみが彼を受け入れてあげれば、とても大事にしてくれたんだ。本当……人が変わったと思うくらい、真面目にさ?』

『階段から突き落としたひとが、ですか?』

『あれも、実は弟王子が受け止めるつもりだったんだよ。ただ、たまたま近くにいた兄王子がきみを助けようとして……まぁ、失敗したんだけど。兄王子が下敷きになってくれたから、きみも大きな怪我はなかったでしょ?』


 え、知らない……。知らないですわ……。

 サザンジール殿下が、わたくしを助けようとしてくれたの? もしかして、わたくしのお見舞いに来てくれていた時、顎に怪我をしていたのは……そのせいだったとか?


 わたくしは開けた目を閉じることができない。


『わたくし……お礼を申していませんわ……』


 それなのに、わたくしはあのお見舞いですら『デート』と揶揄して、胸中で罵ったの? 


『一度、兄王子と話してみれば? 弟王子の謀反疑惑もあるし、あの令嬢ちゃんにも懇願されてたでしょ。思いの外、いい結果になるかもしれないよ』

『そう……ですわね』


 本当は、最期の時に。言いたいことだけ言って、さよならをするつもりだったの。

 だって……醜いところを見せたくなかったから。嫉妬も。怒りも。悲しみも。そんなの美しくないでしょう? 婚約者である彼の前では、最期まで完璧な淑女でいたかったから。だから、わたくしは――。


 それでも、あと二十七日。

 残りの人生としては短いけれど、このまま避け続けるには少し長い。


『考えてみますわ』


 そう応えると、含み笑いが聞こえる。当然、目の前には神様しかいない。


『ど、どうして笑ってますの⁉』

『え? だって自分の助言、役に立ったでしょ?』


 う、うわぁ~。腹立ちますわっ! この流れを作るために、会話を誘導したんですの? 手のひらで踊らされるなんて、恥ずかしいじゃありませんか⁉


『か、神様風情が生意気ですわよ⁉』

『あはは~。神様風情って暴言は初めて聞いたなぁ』

『もうっ‼ 役に立つかどうかは、これからなんですからねっ!』


 そう――これから。殿下と話して、どうなるかなんてわからない。

 ただわたくしが知っていることは――二十七日後にわたくしは死ぬ。ただ、それだけ。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 弟殿下には、生きていてほしいなぁ・・・ お兄ちゃんの片腕であって欲しいと思ってしまう、 弟も兄もルルージュが居ない世界は罪悪感と絶望感で生きなくてはならないと思うと 兄と弟はルルージュの事…
[良い点] 面白くて毎日の楽しみにしています。結末の想像が全くつきません! ワクワクしながら毎日のぞいています。
[一言] うんうん。サザンジールとはちゃんと話すべきだわ。
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