混沌の渦〜ヒカリノトビラ〜
混沌の渦〜ヒカリノトビラ〜
制作:Gift Of Memories
シナリオ;やんちゃ
キャスト
ヴェール(佐倉伊織)
ラスティ(月城鏡夜)
リベリオン(やんちゃ)
ヴェール:私の中に記憶が渦巻いている。黒い記憶だった。
何もかも捨ててしまいたい、そんな思い出、消し去ってしまいたい過去
リベリオン:何もかも忘れてしまえばいい、そうすれば君は楽になれる、そうだろ?
ヴェール:声に導かれるままに吸い込まれていく、まるで混沌の渦のように…
リベリオン:ようこそ、帰路の旅路へ。君は帰ることが出来る、そう、お望みの場所へ
ヴェール:目の前が薄れつつある…どうなっている?あなたは誰だ?ここは?
リベリオン:私はリベリオン。ここは君の記憶と今の空間の狭間だ
君は迷っている、これからを生きることを。私はそれを少しお手伝いしよう
ヴェール:夢を見てるようだった…けど、これはまさしく現実、そう思える確信があった
ヴェール:私の手助けをしたとして、あなたに得はあるのか?
リベリオン:それが私の仕事だ。過去の傷を癒すとまではいかないかもしれないが、人は
前を向いて歩いていかなければいけない
ヴェール:逃げていると言いたいのか?
リベリオン:そうじゃない。ただ、振り返ることは悪くはない。しかし、それだけでは立
ち止まってしまう。君が渦に巻き込まれないように助けたい
ヴェール:渦?何を言っている。不思議な人だな、あんたは。
リベリオン:呼び戻そう、君の過去を、そして、今度は光を見て進めるように…
ヴェール:(真っ白になっていく。光が私を包んで、そっと消える
まるで呼び戻されるかのように。眩しく、柔らかく閉じていく)
(過去)
ヴェール:さよならは済んだよ、私、ちゃんと言えたから
ラスティ:そっか…なぁ、ヴェール、きっと、あの人もお前のこと好きだったよ
ヴェール:私は…あの人が大好きだった、全部、全部好きだった…
人を想う気持ちはどうしてこんなに大きい、私の中で膨らんでいく
あいつを、許せない、一生恨んでも恨みきれない。
私は、まだ戦わなきゃいけない、あの人の為にも、私自身の為にも
ラスティ:(彼女の中で溢れ出る気持ちを俺は受け止めきれなかった
あまりにも悲惨な運命と残酷な真実を目にして、立っているので精一杯だった)
ヴェール(私は強き剣士だった、誰にも負けない、そんな女剣士だった
大切な人を失い、戦うことにしか生きられない日々だった
でも、それから私は、何もかも壊れていった。全てが怖くてたまらなかった)
ラスティ:大丈夫?少し疲れてるみたいだけど、無理はするなよ
ヴェール:あぁ、平気だ、私にとって、これくらい、うっ…
ラスティ:ほら、今日は休んだほうがいい、最近寝てないんだろ、頑張りすぎだ
ヴェール:くっ、この程度で負けるわけにはいかないんだ
ラスティ:もう、君を見てると辛い、そんなに頑張らなくていいんだ
辛い時は辛いって言っていいんだ。もう、苦しまなくていいんだよ
ヴェール:ラスティ、あぁ、すまない
ラスティ:俺が助けるから、ヴェールは俺が守るから、だから、ちゃんと休んでろ
ヴェール:あぁ、分かった、助かる。なぁ、ラスティは、大切な人を失ったことあるか?
ラスティ:そうだな、あるよ。俺は家族だな
ヴェール:家族、居ないのか?そう言えば、お前のことあまり知らないな
ラスティ:話して無かったよな。俺は小さい頃、両親を失った。目の前で殺された
ヴェール:そうか、お前も、辛い思いしてたんだな
ラスティ:この時代に生きてる限り、誰かしら何かを背負ってる、そうだろ?
ヴェール:あぁ、確かにそうだ。この戦いの時代、気楽に生きてる奴なんて居ないのかも
ラスティ:だな。ヴェール、元気だせよ、一緒に生きよう。これからをさ
ヴェール:もちろんだ。ん?どうした?
ラスティ:い、いやさ、俺、ヴェールのこと好きだから、な、なんて言うか、な?
ヴェール:あ、あぁ。私は、二度と人を愛することは無い。そんな気がする
あの人より好きな人なんて、一生現れないと思う
ラスティ:う、そう、かな。そんなことないかもしれないよ
ヴェール:無い。言い切ろう、私は一生人を好きになることはない
ヴェール:(いつまで生きられるか分からない。そんな日々を過ごしていた
生きている意味があるのか、それすら私には分からなかった
今、私が死ねば、何が残るだろうか?私は後悔するだろうか?)
ヴェール:(そして、その後、ラスティは遠い所へ行ってしまった
私を守ろうとして、消えてしまった。また、失った。私のせいだ
全部、私のせいだ、どうして何一つ守れない、何一つ、残らない)
(現在)
リベリオン:記憶は戻ったのかい?
ヴェール:もう、何度も見た悪夢だ、毎日のように思い出す
リベリオン:君にはまだやらなきゃいけないことがある。失ったのは君のせいじゃない
ヴェール:でも、でもな
リベリオン:何もかも背負う必要はない。もう君だけが苦しまなくていい
ヴェール:私は…あの人を愛した、本気で、、な、、でも、全部、失った
どうして、大事に思えば思うほど遠ざかる?なぜ、こんな風に失う
教えてくれ。私は何か間違っていたのか?守りたかった、側に居てほしかった
リベリオン:君は何一つ悪くない。悪く、ないんだよ
ヴェール:お、お前は…
ラスティ:ヴェール、もう悲しまないで。みんな見守ってるから
あの人も、きっとヴェールに生きて幸せになってほしいって思ってるから
ヴェール:ラスティ。ごめん、守れなくてごめん
ラスティ:君はきっと幸せになれる。深い闇を見なきゃ本当の光は輝かないよ、きっと
ヴェール:あぁ、私はずっと後悔していた。閉じこもってしまっていた
この扉を開けるのが怖かったんだ。また、大切なものを失ってしまう気がして
でも、何一つ無かったんだな、それは自分で作り出してた闇だった
ラスティ:うん、大丈夫。ゆっくりでいい、進んでみて。きっと光は溢れてる
ヴェール:私は、これからは守りぬく。傷ついても立ち止まりはしない
ラスティ:うん。扉、開けてみるかい?
ヴェール:(闇に閉ざされていた心に、開けた扉から、光が差し込んできた
そうか、外はこんなに明るかったんだな、そうだな、カーテンしてたら
明るい朝でも分かんねぇよな)
リベリオン:渦巻いた闇は、消えていく。断ち切れたみたいだな
ヴェール:もう、大丈夫。私は迷わない。助かった、ありがとう
リベリオン:ありがとう、か。君には似合わない言葉だな
ヴェール:う、うるさい
リベリオン:ははっ。私の仕事も終わったようだ、これからは歩けるよう願っている
ヴェール:それにしても何者だ?あんた
リベリオン:君を愛する者だよ。道標にはなれたかい?
ヴェール:うっ、まさか、あんた
リベリオン:また、誰かを愛せたら良いね。きっと出来るよ
ヴェール:うっ…ありがとう。
リベリオン:きっとまた、会えるよ
ヴェール:(不思議な出来事だった。夢のような出来事だった
でも、真実なんだ。私にはそう感じられた、信じられた
これからはちゃんと歩けるから。待っていてほしい
心閉ざしてる人が居るならば、どうか一歩進む勇気を…
きっとそこに、ヒカリノトビラは開いているから)
END