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第13章 その3 「基礎体力向上」の傾向と対策

その3 その3 「基礎体力向上」の傾向と対策


 今日は11月19日です。

 

 「巨人災禍」から四日目。


ちなみにガクエンサイ再開予定まであと3日というところ。


 そして、エクスェイル教官復帰の当日です。


 市街再建のお手伝いも次第に慣れ、クラス全体では、かなりの成果を上げることができるようになりました。


 とは言え、生存者の発見と救出という2班の得意な作業に限って言えば、学園周辺では成果は上がりません。


 ほとんど救出済みなのです。


 なので、今日は遺体の収容作業が多く、かなり精神的に参りました・・・。


 で、今は例の如く4校時。休憩室で足湯に浸かっているとこです。


 これ、もう欠かせません・・・。叔父様の「仕事」の中でも出色のでき映えでしょう。


 そんな中、疲れをいやすべく、いつもの無駄話です。


 これは、実はムダじゃないくらい疲れた精神の回復に効果ありだと思うんですけど。


「デニー、年齢詐称?」


 わたしはリトとデニーにはさまれた流れで、つい昨日の一件を話すことにしたのです。


「リト・・・詐称は勘弁してください。」


 ですが、積極的に偽ったわけではないし、特に責めるつもりではないのです。


 だから


「それくらいにしてあげましょう。リトだって言いにくいことなんかあるでしょう。」


 そうかばったのです。


 ですが、わたしの言葉にリトは首をかしげます。


 その動作はお人形さんみたいでかわいいのですけど


「まさか、ないんですか?リトには隠し事?」


「うん。ないと思う。」


 ・・・これはこれで女子としては問題があるのかもしれません。


 そう言えば、素足を見せるのもこの子は平気です。


 羞恥心があやういのです。


 それとも、食文化と同様、住居や衣服も違っているのでしょうか?


 なにしろこの子は「魚は生が一番おいしい」なんて言う子ですし・・・。


「いや、いくらなんでもこれは怪しいですよ・・・では、わかりました!この探偵デニーがリトの秘密を探り出してご覧に入れましょう!」


 ポカ、です。


「痛いです!何をするんですか、クラリス・・・」


「当たり前です。お友達の秘密をかぎだそうなんて。」


 どっかの悪い新聞記者の影響でしょうか?


 いえ。


 この子の場合はモトモトなのでしょう。


 間接的にはデニーをミステリーの出界に引きずり込んだ叔父様のせいかもしれませんけど。


「まったく、もう・・・ですが、2班は小柄な子ばかりでしたけど、平均年齢も低かったんですんね。」


「うん。納得。」


「え!?・・・ええ。」


 ・・・このデニーの反応はおかしいのです。


 意味もなくメガネの位置を直しています。


 どういうことでしょう?


 レンが13歳。


 デニーまでが14歳だったんです。


 わたしやリトを含めてみんな15歳のクラスなら、2班の平均年齢は最低で当たり前・・・って、


「え?」


「まさか?」


 わたしがつぶやくと、リトも同じ結論に達したようです。


「わ、わたしは何も言ってませんよ!?」


 そのリアクションはもはや言ったも同然なのです。


「リルが・・・まさか?」

 



 クラスで前から4番目の身長と言い、顔や言動の幼さと言い、どう見ても年下にしか見えず、わたしはリルの頭をなでてしまったことがあるくらいです。


 本人もよろこんでくれましたが・・・。


 しかし、さっきの、2班の年齢最低説にデニーが疑問を呈した流れからすると、「年上」?


「・・・ありうる。」


 そういうリトの視線は、少し離れたところからこっちに向かってくる、リルの胸に向けられています。


 ・・・リトも気にしてはいたんですね。


 納得です。


 確かに、あの胸は反則です。


 身長だけならリトとリルはほとんど変わらない。


 しかし・・・その部分の攻撃力、いえ、むしろ破壊力とでも言うべきものは、比較すら不可能!


「あれなら・・・二十歳でも。」


 思わずわたしもうなずきます。


 間近で見るその威力に圧倒されるのです。


 そんなわたしたちのすぐ頭の上から声がします。


「リルはまだ16だから。」


 って・・・はい?


「クラリスもリトも、リルの歳の話、してたでしょ?でも二十歳なんてあんまりだよ。リルはまだ16歳。二人と一つしか変わらないよ!」


 座っているわたしたちの目の前にやってきたリルは、元気よく飛び跳ねながら文句を言うのです。


 例によって、そのたびに見事な丘陵が震えていますけど・・・。


 どうやら、わたしとリトの話は筒抜けだったようです。


「・・・二人とも、歳なんて、そんなに気にしないで欲しいな。」


 リルの後ろからレンがぴょこんと顔を出します。


「そうです。黙っていたのは申し訳ありませんけど、でも今更年齢が一つ二つ違ったからって、態度とか、そんなの変えないでほしいんです!」


 デニーもここぞとばかり、言い出します。


 結局3人の勢いにのまれて、わたしは言い訳、リトは無言です。


「別に態度を変えようとか・・・・」


 したかもしれません。


 確かに。


 ですが・・・


「でも・・・例えば、わたし、以前リルをなんだか年下扱いしてしまったじゃないですか?ああいうのはやっぱり失礼だったかなって思うんです。」


「全然。あの時、ちゃんと言ったよ。リルはいつもお姉さんだから、こういうのうれしいって。」


 ・・・姉妹の間だけじゃなくて、ここでも「お姉さん」・・・気づかなかったです。


 でも、こういう話し方も表情も明るく無邪気で、なんだか「年上」待遇が不当だと言われれば納得です。


「だいたいクラリスにもリトにも勉強を教えてもらってるんだから、それ言ったら二人はリルの先生だよ!先生扱いされたい?」


「・・・確かに。ゴメン。謝る。」

 

 リトは潔いのです。


 そしてわたしも。


「わかりました。では、みんなには今まで通りに接するよう、努力します・・・ゴメンナサイ!」


 素直に謝罪します。


 もう平謝りです。 


 そんな様子を見てエミルとシャルノが


「なんかあった?」


「何をそんなに謝ってらっしゃるのですか?」


 ってやってきたのですが・・・


「なんでもないのぉ」


 ってリルがにっこり。


「うん。」


「はい。」


 レンもデニーも。


 3人とももう赦してくれたみたいです。


 わたしとリトも思わずにっこりです。


 そして5人でケラケラと笑ってしまいます。


 もう、なんのわだかまりもありません。


「ホント、2班はめっちゃ仲いいねぇ。」


「全くですわ。もっとも1班のチームワークも負けていませんわよ。」


 そんなの、負け惜しみにしか聞こえないくらい、その後わたしたち5人は無駄話に花を咲かせて、無駄とは言わせないくらい、精神的な疲れを癒しまくったのです。


 休憩の終わりに、施設・・・主に新設された足湯・・・の管理をしているメルがわたしたちの魔力量を量ります。


 そして、少し驚いて、聞いてきたのです。

 

「・・・クラリス様?この回復率はご主人様の想定を上回っています。どんな特別なことをなさったのですか!?」


 ですが、ふん、です。


 あなたには教えてあげません!


「クラリス、意地悪?」


「わたしの推理によれば、これは嫉妬による対抗心です。」


「しっと?なんだっけ?・・・やきもちかぁ、へぇ~。」


「・・・女の戦いなの?」




 そんな言葉が、言霊にでもなったのでしょうか?


 昼食後の5校時。


 今日初めて開講される「基礎体力向上」の授業です。


 新生エクスェイル教官どのの再デビューでもあります。


 みんな、どんな授業になるか、お手並み拝見という感じだったのですが・・・。

 

「みなさん、あらためて、今日からこの授業を行う、講師のエクスェイルです。」


 そうあいさつする教官の前に並んで座る、コバルトブルーにパールホワイトの運動着をきたわたしたちです。

 

 ここは野外演習場。


 少し肌寒いのですが、昼食後でもあり、運動をするにはいいかもしれないのです。


 そう思いながら・・・


「シャルノ!いい加減機嫌を直してください。」


「ホント。どうしたのよ、これくらいで!」


「らしくない」 


 シャルノは授業前から急速に悪化。処置なしのレベルです。


 わたしとエミル、リトは一生懸命それをなだめているのですが・・・


「では、この授業の助手をしてくださる・・・メルセデス助手です。みなさんもご存じの、フェルノウル教官付きの助手なのですが、教官の許可をいただいて、僕の授業の助手を引き受けてくれるのです。そういう事情ですから・・・くれぐれも失礼のないようお願いします。」


 みんな興味深々です。


 良くも悪くも、ですけど。


 なにしろ叔父様ベッタリのメルです。


 それが、叔父様が「ひきこもってる」中、寄りにもよって最年少教官で美形のエクスェイル教官の助手をひき受ける?


 つい事情を勘繰って・・・


「まさかメル助手、乗り換えたんじゃぁ・・・」


「確かにさえない中年のひきこもりの世話に疲れることも・・・」


「でも、エクスェイル教官って、獣人趣味なの?」


 ヒソヒソヒソヒソ・・・。


 いろんな邪推もはびころうというモノです。

 

 しかも


「じゃあ、クラリスは、もう不戦勝決定ね?」


「だけど面白くはないんじゃない?自分の〇〇が見限られたんだから・・・」


 なんかこっちにまで飛び火してきます。


 さっきからいろいろ聞こえる度に、わたしのこめかみがピクピクするのです。


 まったく!


 だれがだれを見限ったんですか!


 冗談にしても出来が悪すぎ!


「クラリス・・・勝利?」


「リト!あなたまで何を言うのですか!?」


「ですが・・・そう言えばあのお二人はセーメル港で一緒に歩いていました!まさかとは思いますが・・・クラリス?」


 ・・・この詮索好き。


 まぁ、昨日から「閣下」をやめてくれたみたいですから大目に見ます。


 教えてもあげましょう。


「デニー、リトも。ここだけの話ですが・・・」


 と打ち明け話をしようとしたのですが


「クラリス様、授業中なのです。無駄話はいけないのです。」


 って、この犬娘メイド・・・なんですが、今日はメルが運動着を着ています。


 しかも私たちと同じ運動着です。


 そのせいもあって、いつもより新鮮で・・・言いたくありませんが活発で明るい印象を受けるのです。


 叔父様と一緒のメイド服の、かしこまった印象が薄れる感じ。


「皆様、メルなのです。本日より、臨時とは言え、皆様の体力向上のお手伝いをさせていただくのです。」


 例によってお辞儀をすると、頭の上の犬の耳も、運動着のお尻の上から出る犬の尻尾もピョンと動いて愛嬌があります・・・あれはわざとなんでしょうか?


「・・・邪推。」


「クラリスはメル助手には無駄に厳しいですね。」


 ジロリ、です。


 リトは知らんぷり。


 デニーは逃げていきましたけど。


 もっとも一部のメルファンは「かわいい~」ってなってますし・・・ですがシャルノの不機嫌ぶりは、いっそう悪化するんです。


 もう、ギリギリって歯ぎしりです。


 あの伯爵令嬢で、いつもきれいで颯爽としてるシャルノが・・・。エミルがなだめてますけど、ヒルデアなんかは完全に引いています。


「ねえ、クラリス?シャルノ、どうしたの?」


「・・・さっきから変?」


 これはどうしたものでしょうか?


 年齢はともかく無邪気過ぎる二人には、この手のことはきちんと教えた方が・・・


「いいですか、二人とも。女の嫉妬とはああいうことを言うんですよ?」


 さっきのわたしなんてかわいいものなんです。


 なんて教えてたら


「クラリスは最近意地悪ですね。」


「ん。同意、教官いないから?」


 グサッ、です。


 ちょっと自覚があったりします。


 反省です。


 



 それ以降も、準備運動の際にエクスェイル教官がメルに相談に行ったり、ランニングの時に二人並んでいたりするのを見るごとに、わたしより背が高く、すぐ後ろにいるはずのシャルノのほうから「ギリギリ」とか「ぐぐぐぅ」とか、いろんな異音がするのです。


「これを、かわいいと言うべきか、恐ろしいと言うべきか。」


「教官の反応で、その器量やら甲斐性やらもわかるんですが・・・ねえ。」


 性悪商人と悪知恵参謀・・・エミルとデニーが言う通り、エクスェイル教官はまったく気づかない朴念仁ぶり・・・いえ、公平に見て、目の前のことにしかまだ頭が回らないんです。


「しっかし、トロトロ走ってちゃあ、体が冷えちまうぜ。」


 あ、ジーナ・・・そろそろですか?


 やばいです。


「バカね。やるんならあたしを巻き込まないで。一人で突っ走ればいいじゃない。」

 

「いってら~♡」


 なだめる気がないアルユンにファラファラ。


 やれやれです。


 準備運動のランニングですし、


 先頭がレンなので、スローペースは当然ですが、じれて来たジーナが、一人列を乱して前の子たちを追い越していきました。


 「うおおおおっ、俺の前は走らせねえぜぇぇ」って。


 まったくあの脳筋族の戦闘種族。


 さて、これをどう判断するべきかで、「基礎体力向上」の授業の進め方がわかってしまうんです。


 それで、こちらの対応も変わる・・・これは学生と教官の戦い、駆け引きに関わってくるのです。


 なので、教官の・・・正確には助手二人ですが・・・お手並み拝見です。


 教官の言動で、


 明確に「隊列を守る」規律性か、


「意欲を認める」自主性か、


「指示に従わせる」上下の秩序か、


「個々を重視する」能力主義か、


 何を重視するかが見えてきます。


 この辺りはイスオルン主任は軍人で、秩序、規則性をまず教え、その上で自主性、個々の能力を認めていったように思います。


 一方エクスェイル教官は、その辺りが不明瞭です。


 時と場合によって変わったりしました。


 特に、教官の指示を守らせる秩序の維持で、変に強引になったり、逆に弱腰になったり・・・この辺りが年齢と経験なのでしょう・・・。


「フェルノウル教官は?」


「叔父様ですか?あの人は何も考えていないのでは?」


「いえいえ、クラリス。フェルノウル教官殿は個々の意欲を能力を慎重に、見極めて伸ばす素晴らしいお方です!」


 本気?


 このメガネ・・・なにか悪いモノでも食べたのかしら・・・って一緒に食堂で食べた身としては、そこは否定しますけど。


「ん。納得。それは意外に難しいこと。尊敬。」


 リトまで?


 そんな話をついしていると・・・。


「おやめなさい、ジーナ!」


 シャルノが注意しています。


 エクスェイル教官の判断を待てなかったようです。


 しかたないのです。


 シャルノとジーナがもめたら援護に入りましょうか。


 ところが・・・その時、小さな影が!


「ハハハハハッ、うるせえぞシャルノ!俺が一番だぜ!・・・うげげっ!」


 そんな声の一瞬後。


 ・・・ゴキッ・・・バタッ。


 そして、し~ん・・・です。

 

 あ~あ・・・やっちゃった。


 ジーナが一瞬で追いつかれ、一撃で打ち倒されたのです。


「ええええっ~つ!」


 みんなが立ち止まり、驚いています。


 ああ。そうですか?


「えっとですね、みんな。メルはああ見えても体力は常人の数倍あるんです。だからうかつに逆らうと、こうなりますよ?」


 そんなメルに相手をしてもらっていたからこそ、わたしのような武術の心得のない者でも、入学してそれなりに剣を扱えるようになったのです。


 まぁ、感謝はしてますよ。


 たま~に。


「クラリス様、ご解説ありがとうなのです。」


 もっともらしくお辞儀をするメル。


 その耳と尻尾が再びピョンと跳ねるのですが、もうだれも「かわいい」なんて反応できません。


 ぞおおお~っとしてます。


 11月の冷気のせいではないようです。


 なにしろクラス一の長身にして武闘派のジーナを、体重なら半分くらいのメルが瞬殺ですから。


「もっと早く言ってよ!クラリス、あたしも危なかったじゃない!」


「うそ~♡もぅ~ファラ驚いちゃう~♡」


 ジーナとよくつるんでいる二人も、今回自粛してラッキーだったと身に染みているでしょう。


 一緒にやられちゃえばよかったのに、とは言いませんけど。




 しかし・・・この後です。


 倒れてるジーナも茫然とするクラスも放置してメルが叱責を始めてしまうのです。


「これはあなたがちゃんと授業の中で規律や秩序を維持できていないからなのですよ!わかってますか!」


「あ、メル。その辺でやめてあげないと・・・」


「いいえ、クラリス様。ご主人様からもさり気なくサポートするよう仰せつかっておりますし・・・」


 いえいえ、これは全然さりげなくなってないのです。


 だって・・・叱責しているのは同僚でしかも年上の教官なのです。


「メル・・・だから教官殿のお立場もあるので、せめて場を変えて」


 そう繰り返すのですが、案の定です。


「クラリス様のご温情には感謝するのです。でも、弟子の不始末はわたしの責任なのです。この場はお許しいただくとしても、いつまでも甘えさせるわけにはいかないのです!」


 あ~あ、言っちゃいました・・・。


「弟子?」


 シャルノは、実に複雑な顔でつぶやきます。


 知ってしまいましたか・・・。


 そうなんです。


 セイン・エクスェイルは、かつて叔父様から指導を受け魔術師になりましたが、ほぼ同時に魔術を学び始めたメルには全然かなわなくて、嫉妬にかられてメルに嫌がらせをして、ついには決闘し、その挙句に惨敗して、以来「弟子」の身なのです。

 

 エスターセル魔法学院次席のエクスェイル教官ですら、叔父様の愛弟子、12歳にして中級魔術を修めるメルには到底かなわない。


 それはそれで仕方がないんですが・・・。


 それでも生徒の目の前で、年下の半獣人にこうも叱責されれば、彼の立場も・・・そう思ってもう一度メルをたしなめようとするわたしです。


 しかし


「いや、フェルノウルくん。これは僕の力不足、覚悟も足りなかったから起こったこと。メル師匠が怒るのは当然だ。僕の面子なんか気にしないでくれ。」


 ・・・へぇ、です。


 随分彼も変わったものです。


 まぁ、弟子がそう言うのは当然で、師匠が怒るのも、当然のこと。


 魔術のことではありませんが、師匠と弟子の関係は厳しいのです・・・叔父様という魔術師でない師匠を持つと、例外に染まってしまいそうになりますけど。


 結局この日の授業は、みんなでメルがエクスェイル教官を罵倒するのを見ていることで終ってしまいました。


 エクスェイル教官、次の日から ひきこもったりしないでしょうか?


 


 ですが、これ以来、エクスェイル教官の授業を、みんな真剣に受けるようになったと思います。


 一撃でのされたジーナはともかく、あれほど生徒の前で面罵されても口答え一つせず、メルに言われるままわたしたちに向かい合うようになったエクスェイル教官を、バカになどできようはずもありません。


 まぁ、もしもそんな愚か者がいたとしても、そんな人は


「あなたはもっと真剣におなりになるべきです。いえ、教官やメル助手に変わってわたくしがお相手します!」


 って、ミョ~に張りきり出した一名に、怒られること必定になったのですから。


 要は「基礎体力向上」の授業は、当のエクスェイル教官殿以外の、助手と面倒くさい約一名を意識して受けなければならない、という、とりあえず結論です。


 しかも意外に厳しい・・・。


 ですが、思わず別な感想も漏らしてしまいます。


「シャルノったら、あんなダメな人がいいなんて・・・苦労しますね。」


 物好きですね。


 ホントに。


 ついつぶやいたわたしです。


 しかし


「・・・それ、クラリスが言う?」


「ホンマや、シャルノもあんたにだけは言われとうない思うで。」


 言われても反論できない、悔しいわたしなのです。


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作者:SHO-DA 作品名:異世界に転生したのにまた「ひきこもり」の、わたしの困った叔父様 URL:https://ncode.syosetu.com/n8024fq/
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