第23章 その11 問いと答え
その11 問いと答え
おそらくは、クロちゃんにつれてこられたこの場所がどこなのかわからないまま。
もともと日蝕が終わらない暗闇の中で辺りの様子も見えないのです。
ですが……目の前にいるのは間違いもなく。
「叔父様!」
そうです。
闇に融け込むような黒い髪、そしてコアードみたいな黒の上下に教官マント。
黒いシャツにはワンポントに白いネクタイ。
そして、なぜか体の脇の二本の白線……。夜の色のような瞳を大きく見開いて、わたしを見つめるのは、まさに叔父様なのです。
「クラリス?なんでこんなところに?……しかもその、傷だらけのヨロイ姿……。」
肩と脇腹の切り傷は戴いたポーションで治しましたが、ヨロイのダメージは残ったまま。
「そうか……きちゃったのか……戦いに。」
そして悲し気につぶやかれたそのお声。
「……はい。戦って、そして……」
言えません。
ある意味ではコアード以上に、女のわたしが戦うことを嫌がる叔父様なのです。
わたしが軍人を目指すようになってから、何度衝突したことでしょうか。
そして、わたしが同じ人族を殺めたことを知れば、間違いなくわたし以上に傷ついて悲しまれる叔父様なのです。
「……クラリス。」
そして、傷つき疲れ、うつむいたわたしをいつだって優しく抱きしめてくださる叔父様なのです。
わたしが思春期に入ってからは、ご自分からは滅多に触れたり抱きしめてくださったりしなくなって。
それでも今みたいな時は、きっと抱いてくださる……そう思っていたのに。
「……だから僕は、キミが、キミたちが戦うことに反対したんだ。同族相手に、しかも直接剣をとって戦うなんて……学園長たちもわかってたはずなのに。」
叔父様は悲しそうにつぶやかれただけで、抱きしめてくれない。
わたしは裏切られた気がしたのです。
だからでしょう。
本当は自分から抱きつきたかったのに、こう叫ぶだけ。
「叔父様にはおわかりにならないんです!男である叔父様には、女のわたしたちが、この王国で夢をかなえるためには戦わなくてはいけないということが!戦って覚悟を示さなくては、誰も認めてはくれないのです!」
「戦うことが覚悟なのかい?人を傷つけ、時には仲間や自分が死ぬような戦いでも?」
「……さっき、わたしはコアードの兵士たちを殺しました。」
若い時の叔父様を、あのアントを思わせるようなコアード兵を。
言うつもりはなかったこの事実を、しかしわたしの口は吐き出してしまったのです。
押し殺していた想いは一度放たれるや、止められず。
「ケーシェは危うく死ぬところでした。」
顔色が見る見る白くなり、体温も失っていくケーシェを見て感じた絶望を。
「わたしたちを救援にきてくださった職員の方が……戦死して……。」
庭師のヤージンさんの遺品も預かりました。
話をしたことはないけれど、いつも中庭の東屋に集まるわたしたちです。
あの庭はヤージンさんが手入れしてくださったのです。
そんな方を失った。
今までは気づかなかったのに、胸の中にはあの日蝕のような黒い穴があったのです。
そしてわたしの中の光も暖かさも吸い込まれている、そんな喪失感。
声に出してしまうたびに、次々とわたしの中に沸き上がる重く苦しい思い。
「それでも戦わなければ、学園が潰されてしまうんです!どんなに理不尽でも相手がわたしたちを認めない、それだけじゃなく、願いをもつことすら許さない!だったら戦う以外に何ができるというのですか!?」
「自分の主義主張を貫くために戦う覚悟?それはコアードのヤツラと同じじゃないか。」
「……違います!わたしは……」
わかってくれない?
なんで叔父様にわかってもらえないのでしょう?
冬季実習ではイスオルン主任と謀ってコアードをおびき出すことまでしたくせに!
「大丈夫だ。こんな日蝕の中でキミたちが戦うことはない。キミたちが傷つき、同族を殺めて苦しむことはない。僕に、僕たちに任せておけばいい……キミの過ちは僕が償う。キミの罪は僕が許す。そしてキミの夢は僕がかなえてみせるよ。」
叔父様はどんなにわたしが罪を犯しても必ず許し、守ってくださる。
それがうれしくない訳がないのです。どんな時でもわたしを愛してくださる叔父様なのです。
でも今は素直に聞くことはできないのです。
「違うんです。だって、わたしの過ちも罪もわたしのものです。あの日の誓いだってわたしのもの。いくら叔父様にだって、わたしのものを全て背負わせるわけにはいきかないのです。」
先日漠然と思っていた想い正体はこれ。
それは今日、学園防衛戦への参加を決めた時に、初めて実感できたことなんです!
「でも……キミがこんなに苦しんでいる。なにもしないで見ているだけなんかできないよ!……それに、転生しても中途半端に前世が残って、今生でも半端な僕なんだ。前世に未練はないけれど今生にもどこか執着できないままなのさ。そんな僕の夢はキミの夢をかなえることなんだ。」
それは何度も聞いた言葉です。
叔父様のわたしへの愛情をうれしく思い、でも、違和感は今も消えないままのです。
「……叔父様。わたしの夢はわたしがかなえてこそ、意味があるのです。たとえ大切な叔父様でも、叔父様にかなえていただいて、わたしが指をくわえて見ているだけなんて、そっちだっておかしいです!」
そんなわたしを、瞬きして見つめるだけの叔父様です。
悲しそうな、そのお顔を直視することはできず、そむけたわたしです。
「にゃあ……」
クロちゃん?
さっきまで大人しかった小さなネコが、わたしの足もとで、なんだか不満そうに鳴いています。
わたし、どこか間違っているんでしょうか?
……いえ、「今はそんな話をしてる場合じゃない」って言われたような気がします。
まあ、学園は戦闘中ですし、仲間のネコさんたちに救われたのにこんな話しをしてる場合じゃないのかもしれません……そう思い、深呼吸をして切り替えようとしたわたしです。
ですがクロちゃんは、そんなわたしから離れ、ションボリなされた叔父様の足もとに行ってしまうのです。
叔父様ご自身は、クロちゃんが自分の側にやってきたなんてことに全く気付きもしませんけど。
「にゃあ、にゃあ」
それに、なんだかわかりませんが、「落ち着けば」って聞こえた気がするのです。
足元で何度も鳴かれてようやく気付いたのでしょう。
「え?……あ、猫?しかもこいつ、前に捕まえて首輪をつけた?」
何気なくネコに触れようとした叔父様ですが。
「にゅああ!」
「いて、またひっかかれたよ。」
ホントにこの人はネコに嫌われてばかりです。
よほど前世でネコを虐待でもしていたのでしょうか?
でも、ウマにも嫌われて馬車にも乗れない叔父様ですから、原因は別にあるかもしれません。
イヌ、いえ、犬娘にだけはムダに好かれていますけど。
なんて思い浮かべたのが失策なのでしょうか?
「クラリス様!?なんでここに……」
ちぇ、です。
いえ、舌打ちはしませんけれど、当の犬娘メイド教官の声がするのです。
「またご主人様にマーキングをしようとしているのですか!?もう、やはりこれではご主人様のいろいろなものが危ういのです!」
それでも叔父様との深刻で激烈ないさかいが中断されたことは、わたしの心をいろんな苦悩から一時的に開放してくれたのかもしれません。
そう思ってメルに目を向けたのですが!?
「あなたじゃあるまいし!……って、メル、あなたこそなんて恰好ですか!?」
うっすらとした中、近づくその姿!
肩は丸出し、太ももはむき出し!
胴体こそ黒っぽい布に覆われていますけど、そのラインは丸見えなんです!
しかも胸のあたりの白い布には「メルセデス」ってわざわざ魔法文字で真名ですか!?
「ほとんど裸ではないですか!なんてはしたない……叔父様、こんなところでこんな格好のメルと二人きりで、何をしてたんですか!」
こんなところがどこなのかも未だわからないわたしですけど。
「クラリス様?ここは室内演習場の三階、プールなのです。メルは、4月から皆様がここで水上水中戦闘訓練を行う際に着用する、学園制式水中運動着、通称すくうる水着の試着をしているのです。」
それを……わたしたちが着るんですか!?
そんな裸みたいな恰好で訓練!?
「叔父様、いやらし過ぎです!……はっ!まさか、またわたしたちの『ふぃぎゅあ』を!?」
ガクエンサイの「制式戦闘衣ばあじょん」、冬季実習後につくられた「冬服ばあじょん」に続いて、今度は「水着ばあじょん」を?
この人の闇は日蝕の暗闇よりも深いのです!
「にゃああ」
ほら、メルの格好を見てクロちゃんも「えっち」って言ってます……多分。
おそらくその、プールの訓練なんかも叔父様はしっかり覗きに来られるに決まっているのです!
「あのね、どうせ僕は4月には退官してる!そんな疑惑に満ちた目で見ないでくれ!」
「にゃああ?」
クロちゃんはそんな叔父様に呆れたのか、どこかに行ってしまいました。
どこか?
そう言えば、ここは……落ち着いて周囲を確認します。
ここには工事の後も入ったことがなかったのでわかりませんでしたが、確かに大きな部屋の……メルの話が本当なら室内演習場と同じ床面積のはず……中央には、何か、液体がある?……これがプール?
「ああ。僕はここで実験をしていた。メルはそのお手伝いさ。水着の試着は、ついでだよ、ついで。」
……完全に疑惑が晴れたわけではありませんけれど……まあ、さっきの再開よりは余程マシなのです。
それにここは、冬のはずなのになぜか暖かく、あんな恰好のメルでも寒くはないのでしょう。
精霊を使役した空調が使えない今、温度管理はどうしているのでしょうか?
「実験ですか?こんな、学園が襲われている最中に実験!?」
そんなわたしの質問に、ゆっくりとお答えになった叔父様です。
そして、その答えは予想の遥か彼方なのです。
「これは、月を呼ぶ実験なのさ。」
そんな意味不明で必然性も感じられない答えなのです。
「ツキって、叔父様の前世の世界にあった、毎日姿を変えて夜空を飛ぶという……」
星とは到底思えない。
「そんな言い方をされたら、まるで魔獣にしか聞こえないね。」
まあ、そうとしか思えませんし。
「だから違うんですか?」
「全然違うはずなんだけど……この世界じゃどうなんだろうね。」
そんなこと、わたしに聞かれたってわかるはずはないのです。それに……
「なんでこんな時に?下ではみんな、わたしだって戦ってたんですよ!叔父様はわたしたたちを……」
どうなってもかまわないのですか、そう言いかけて口をつぐんだわたしです。
叔父様がわたしを、生徒のみんなを見捨てるわけは絶対にないのです。
でも、それならなんで?
「…‥そうだね。戦いはおっさんたちに任せてる。僕じゃ足手まといにしかならない。だから、僕は僕のできることをするだけさ。」
まぁ、冷静になればそうですけど。
叔父様は軍の学校に勤めていらっしゃるのにも関わらず、戦争嫌いの軍隊音痴なのです。
「僕の前世じゃ、日蝕と月には密接なかかわりがある。だから、はるか昔に隠れて消えたこの世界の月を呼びだせば、日蝕は終るかもしれない。これが最善策さ。」
呼び出すなんて……やっぱり魔獣の扱いでは?
よく言っても精霊とか?
それに、叔父様は今、日蝕を終わらせる、そう言ってるのでしょうか?
魔術すら使えないままの叔父様が、こんな怪異を、たった一人で?
「あと腹案として、日蝕が終わらないとしても……実は僕の前世の月は魔術と深いかかわりがあるんだ。だから」
「それ、ネコを捜してた時にもそんな話をしてませんでしたか、叔父様?」
なんでもかんでも魔術に結び付けてしまう叔父様ですから、信ぴょう性は薄いのです。
「まあ、そうなんだけどさぁ…‥‥クラリス、信じてない?」
だって叔父様の実験ですよ?
子どもの頃から幾度失敗に巻き込まれて、逃げたり謝ったり、そんな想い出に満ちた叔父様の実験!
「何をどう信じたらいいんですか……。」
もう、わたし、どうすればいいんでしょう?
いえ、もうプール(こんなところ)より最終防衛拠点のみんなのところに行った方がいいんでしょうか。
レンやリル、大丈夫でしょうか?
いつの間にか、さっきまでの苦しさが薄れていたことにも気づかず、そんなことを考えるわたしです。
「あなたたちは、なぜ猫を嫌がらないのですか?そして、なんで月をよみがえらせようとしているのですか?」
うす暗い館内で、そんな声が響いたのはそんな時でした。
聞きなれない、中性的な声ですけど?
「ネコでも妖獣でも、この世界の一部じゃないか?」
なのに驚きもせず、当たり前のように返事をなさる叔父様です。
いつも通り、何も変わらない、いつもの叔父様なんです。
だからこの、とっさの返答はただの本心なのです。
「だいたいさぁ、コアードたちが唱える堅苦しい世界は、まるで魔術も怪異もない、僕のもといたつまらない世界じゃないか?せっかく認識の違いで分化して、こんなに面白い世界になってるのに。」
なにが面白いですか!
魔術に偏執的な興味がおありなだけの変態のくせに、なんて不謹慎!
思わず「規律委員」のヤフネみたいに叫びたいわたしです!
「今なら、術式の使えない僕でも、この世界をあるべき姿に戻す手助けくらいはできる。月があるのが、世界本来の姿のはずで、だったらせっかくのこんな機会だし」
だから、なにがせっかくの機会なんですか!
いつもと違う日蝕は、いつ終わるかもわからなくて不安なわたしたちなのに!
そんな中でずっと戦って、傷ついて!
そんなわたしを慰めてもせずにこんな実験!?
「……魔術師でもないあなたが、世界を戻す?そのためには猫にも頭をさげて?」
不思議そうに響く声は、一種の思念かもしれません。
どこから聞こえてくるのかもわかりませんが、はっきりとその意思を伝達しているのです。
「僕は自分にできないことを知っている。昔は悩んだけど、できないことはできないし、だったらできる人に頭をさげるのは当たり前だろう?」
「でも、叔父様、人じゃないんですよ?ネコなのに?」
「だからクラリス、猫だって人族だって、この世界の一部なんだよ。それに猫は、人族の街の霊力を純化してくれる。猫が起こした怪異とは、そのほとんどが人族の歪んだ願望を映しただけさ……僕の調査の結果だけど。」
この歪んだ人の調査なんかをどこまで信用していいんでしょうか?
なのに声の相手は笑ってる?
「……よくも調べたものです。いえ、調査結果そのものよりも偏見を捨てて調査したこと自体が、ですけど。」
「それだけが僕の取柄だからね。この世界にある偏見から、異民の僕は無縁で自由なんだ。」
絶対ウソ!
魔術とかメイドさんとか、ケモノ耳やケモノ尻尾とかを偏執的に愛してるだけの変態なのに。
おそらくは犬娘に飽きて、次は猫娘を狙っているのかもしれません!
「……しかし、猫の呼び声だけでは、未だ月の復帰は一瞬だけ。ここ数日では、姿を現すことすらできません。それをあなたはどうするというのです?」
「ああ。それは任せてくれたまえ……そのための実験じゃないか。」
何が起こるかわからないから、うまくいくかどうかわからないから実験する?
「……そう言ってるよう聞こえますけど、叔父様?」
「困るなあ。僕のことを一番知ってるキミが信じてくれないと。」
「どの口でおっしゃられるのです?一番知ってるからじゃないですか。」
誰よりも信じてはいますけど、それはこんな場面ではないのです。
実験なんかは論外です。
なのに、この人は!
「だって、言ったじゃないか。術式が使えなくたって、僕は世界を変える魔術師だって……そうなってみせるってね。」
思いっきりじと~と見つめてしまう、正直者のわたしですけど。
「少なくても、今より悪くはならないことは保証できる。」
なんて自信満々。
こういう時は、大丈夫かもしれません……多分ですけど。
「にゃあ」
あれ、クロちゃん?
さっきまで響いていた声が途絶えると、いつの間にか小さなネコがわたしの足もとに?
「もう、どこに行ってたんですか?シツケの悪いイヌに食べられたかって心配しましたよ。」
思わず抱きあげてしまうわたしです。
「メルは薄気味悪いネコなんか食べないのです!」
なにか聞こえてますけど、するぅです。
「猫……ひょっとしてキミは猫たちの使いなのかい?」
そんな意味不明のことを言いながら、クロちゃんに手を伸ばした叔父様ですけど。
「にゃああ!」
「いた!」
また引っかかれて……この人、まだこりないんでしょうか?
ホント学習能力低すぎです。
しかもネコたちの使い?
……相変わらず意味不明なのです。
「夜空に浮かぶ月と、水面に映る月。ホンモノはどっちだと思う?」
何も映らない暗いプールの水面を前に、なんでそんな話しなんでしょう?
今は、空にお日様も、そのツキとやらもありませんけど。
「……普通なら夜空に浮かぶツキとやらがホンモノなのではありませんか?」
「さすがはクラリス。実に正しい答えだね。」
むやみにわたしを褒めたがる過保護な叔父様ですけど、これはひどすぎる質問です。
思わず口がとんがった自覚があるのです。
「だけど、実像と虚像は、時に関わり合い、時に反転することもある。少なくても無縁ではないんだよ。」
また怪しげな認識論?
わたし、それ、苦手なのです。
「そして、つくられた像が、依り代となって、真の存在を呼び出すのに使われることもある。」
まあ、そこはわかるのです。
ある種の術式は、人に直接かけるのではなく、その形代に行使されるのですから。
偶像崇拝とは少し違うのです。
「だから、僕はこのプールに調合した薬液を見たし、融かした卑金属を混ぜてある。細かい成分や配合はキミにも言えないけどね。」
……ええと?
魔術のことならなんだって、聞かれなくたってわたしに話したがる叔父様が、言えない?
「これから、失われた南方の秘術を用いて、黄金の円盤を錬成するのさ。」
「それ、ひらたく言えば錬金術ですか!」
「あのね、黄金をつくる行為そのものよりもだね……」
「だって金ですよ?叔父様、ホントに錬金術なんか使えたんですか!」
「だから、金をつくるよりも真理の探究とか、魂の階梯を……」
「金!ホントに金なんですね!」
「……聞いてる?聞いてないだろ?だから女の子に錬金術の話は厳禁なんだ。」
それは女性差別なのです!
叔父様は女性を大事にしてはくれますが、軍人になるなとか、戦うなとか、意外に差別的で、実は主任ともどもコアードの思想に一部近いのです!
とはいえ、これは王国錬金術協会の立場でもあり、若いころの叔父様の体験談でもあるそうですけど。
「だって、金とか宝石の話しをすれば、あとはナンニモ聞かなくなるんだから。」
……まあ、わたしも少々我を忘れていたことは認めますが、それはきっと女子に限らないのです……多分。
「水面にできた円盤が、あるものを呼び水にして、空に真の円盤を映す……つまりは虚像と実像を反転させる、原理を簡単に言えば、そんなところかな……ホラ、彼らも手伝ってくれるそうだ。この街を守り、人族の虐待を止めさせて、共生できる未来のために。」
いつしか、プールの周りには、黒くて小さなネコたちがたくさん!
まるでヘクストスにいる全てのネコが集まってきたみたいです。
「この世界の猫が黒猫しかいないのにも、きっと意味があるはずさ。ねえ、そうなんだろ?」
「にゃああ」
叔父様の問いかけに答えるように鳴いたのはクロちゃんですが、その声は「さあね」ってとぼけてるように聞こえたのは、わたしの気のせいなのでしょうか?




