第15章 その2 目指せレベル10!
その2 目指せレベル10!
大公殿下との昼食の後です。
叔父様と大公殿下はお二人でお話。
これは大公殿下の強いご指示もあり、叔父様も同意しました。
不安が強かったんですけど。
わたしはその間、王女殿下とお茶を戴いたのです。
ですが、この庭園も立派過ぎて・・・いろいろ落ち着かないわたしです。
メイドさんたちも遠ざけてます。
幸いというべきか、くつろいだ王女殿下は・・・なんとヘク女の水色の運動着!
くつろぎ過ぎでは?
ビジュアル的には違和感はなくとも、立場的にはあり過ぎです!
「うん?・・・クラリス。なんです、不思議な生き物を見るような目で?」
・・・ご自宅では学校運動着という王女殿下は希少動物に値すると思うんですけど、さすがに口には出せません。
目に出ちゃったのは、わたしの乙女としての未熟さです。
ですが、そのおかげで多少緊張がほぐれ、王女殿下とお話ができたのでしょう。
わたしたちは先日のガクエンサイや巨人災禍のことを語り合い、いつしか互いの魔術の師について話題が移っていました。
「ゲルマイル師は、とても立派な師です。魔術のことにお詳しいのは当然ですが、人としても高潔で尊敬できる・・・見習うべきお方・・・なのです。」
さすがに王国屈指の魔術師です。
弟子にも、一つ一つの所作から心がけから入念にお教えになるとか・・・どっかのひきこもりに見習ってほしいものです。
ところが
「ねえ・・・フェルノウル師は、どのようなご指導をなさっているのですか?」
ええ?
言っていいんですか?
・・・いえ、王女殿下は叔父様に対してお目が曇りすぎ。
ならば正直にお教えした方がよろしいのでは?
そう思ったわたしは・・・
「叔父様・・・いえ、フェルノウル師は、人として見習う部分に、いえ、それ以前に常識に乏しく、加えてよくひきこもるのです。ですからあまり日常のことをこまごまと指導してはくれません・・・」
この段階で、王女殿下の紅色の瞳は、大きく見開かれています。
「ですから、叔父様はわたしにとっては生きる上での反面教師なんです。」
クスッ。
いま、俯かれて顔をお隠しになりました。
「例えばこんなことがありました・・・」
わたしが子どもの頃の、エピソード・・・実験に失敗して、黒いガスを辺りに発生させて、迷惑をかけた人から逃げ回る叔父様を説得し、一緒に謝りにいった話・・・を言い終えると。
クククッ・・・うつむいたまま肩を震わせる殿下。
その調子です!
「あと、あの人、極度の女性嫌いだったんです。おまけに初対面の人相手には全然口もきけなかったんです。だからわたし、子どもの頃からいつも通訳として付き添って・・・」
「あはははは!・・・もうやめて!お腹が痛いです!あなたは一国の王女を笑い死にさせるおつもりですか!・・・くくく・・・。」
何事かと駆け付けたメイドさんたちを仕草で追い払い、王女殿下はしばらく笑いをこらえます。
これなら・・・やっと叔父様の本性に気が付くことができたでしょうか?
「はあ~・・・こんなに笑ったのは生まれて初めてかもしれません。なんて・・・面白いお方・・・。」
そう言えば・・・殿下はわたしたちと同じ初年度生ですが一つ年下。
笑った殿下は、まだ14歳相応のかわいらしさです。
「ですけど、クラリス?あなた、大事なことは隠してますね?それは門下生でもないわたしに全てを話せとは言いませんけど・・・」
「それが、一番大切なことは、叔父様、もう話しちゃいましたから。」
「え?奥義を、ですか?」
「奥義って言うほどのモノでは。ただ、「魔術は人の意志を空間に刻む技」。もう叔父様は殿下に話してしまいましたし。」
「それは・・・確かに。その一言でわたしは自らの意志を、達成したい思いを思い浮かべ術式に反映させるようにしました。それが術の完成イメージを高め、術の威力を強めた・・・あの対抗魔術戦の3戦目に結びついたのです。」
・・・それ、わたしたちがボロボロに負けた試合ですけど。
やっぱし、です。
叔父様の裏切り者!
「でも、それだけではないのでしょう?他にもっとあるのでは?聞かせてください!」
そう乞われたわたしは、まぁ、わたしにとってはありきたりなことをお話しました。
それは、魔法文字一つ一つの意味を知ることであり、その変遷を理解することであり、そのイメージを固めるための正確な詠唱や術式所作であり・・・
「待ってください!あなたは、いえ、あなたエス女魔の生徒たちは、そんなことを教わっているんですか?」
「・・・あまり基本的過ぎますか?ですが、基本だけは十分に教わりましたけど後は自分で自分のやり方を探せって、ご本人はすぐに引きこもって、放置です。おかげでその後はみんなとっても大変でした。でも質問や助言、相談には必ず答えてくれて。それに、わたしたちや教官全員に同じ魔術教典を作ってくださったんです。「スターシーカーの魔術書」を基にしながら、「レインウッドの呪文大全」なども参考にして再編集したものです。わたしたちは全員同じ教典で授業することでその効率は大いに上がり、加えて貸与された教典での自学自習のおかげで遅れ気味の生徒も・・・。」
つい叔父様を擁護するような口調になってしまいました。
さっき少々ホントのことを言い過ぎたので・・・。
「・・・なんて生徒を信じていらっしゃるお方。」
ええ?!
そう来ましたか?
擁護し過ぎちゃった?
これでは元の木阿弥です!
ちなみに木阿弥さんというのはツツイというお家の影武者さんで、当主が交代したので、影武者を首になって元の身分にもどったからこう言うそうです。
要は、せっかく「正しい叔父様」像をお教えしたのに、失敗して逆戻りです。
「後で、その魔術教典をお見せくださるように師にお願いすることにいたしますわ。」
ちなみにこの「お願い」はあっさり通り、というか、叔父様が献上することになります。
「クラリス・・・ゲルマイル師に限らず、魔術の、いえ、学問の師弟とは、師の言うがまま一言一句たがえず一挙一動見習うことが常識です。もちろん、わたしは、ゲルマイル師の教えが正しいのはわかっているです。ですが・・・時々息が詰まるのです。師の教えは常に正しく高潔で、師の申される通りのことを全てやっていけば間違いはないのでしょう・・・詠唱、所作、魔術への取り組み方・・・全て。でも・・・ですが、それでは「わたし」は何なんですか!師の人形なんですか?わたしの「意志」はないんですか!」
殿下は、時々無性に生きることが、魔術を学ぶことが苦しくなられ、そんな時につい「秘密法廷」を行ってしまうっていう・・・そんな事情がありだったのです。
だからっていいご趣味とは言いませんけど。
叔父様は後で「反抗期かねぇ」っておっしゃてました。
「フェルノウル師にお教えいただいたのは、わずかな言葉です。ですが、わたしにとっては・・・とても尊い瞬間でした・・・クラリス。わたしは・・・一年後期でレベル10になって見せます。今なら、自分の「魔術」への道が見える気がするから・・・。」
初年度一年間で、過去最高記録はレベル8への到達。それを二つ上回って見せると殿下は言うのです。
その瞳には、もう迷いはありませんでした。
ひたむきにわたしの目を見つめて。
「あなたはどうなのですか?あれほどの方に導かれているあなたが、レベル8かそこらで終ることはあり得ませんよね?」
それは、それまでおぼろげに感じていたわたし自身の目標でもあったんです。だから!
「殿下!」
・・・・・・レリューシア王女殿下と、いま、わたしは初めて手の握り合ったんです。
そして・・・わたしもレベル10を目指すのです。
そうでなければ、この王女殿下のお気持ちにも、今まで魔術書すらろくに持てず、個人的な師事もできなかったクラスメイトたちにも、申し訳がなさ過ぎるのです。
何より・・・いつか叔父様に必ず追いついて、ともに世界の深淵を覗くためには、こんな所で満足していられないのです!
そして・・・それから、また数日。
「ちょっと・・・飛ばし過ぎじゃない?」
「頑張りすぎですわ!」
「無茶。」
いいえ、これくらいで負けられないんです。
もう、一瞬だって立ち止まれないんです!
そう思ったわたしは、みんなを引き離し、一人前に進むんです。
ここは学園の野外演習場です。
湖岸の大公邸を訪れてから数日が過ぎ、気がつけばもう12月です。
長い二学期もようやく終わりが見えてきました。
我がエスターセル女子魔法学園では、4月初~7月末までが1学期、8月中~12月末までが2学期、1月中~3月末までが3学期です。
ちなみに魔術師としてのレベル認定だけは9月末と3月末の年二回なんです。
ちなみに各学期の間と、魔術師レベル認定の後には休暇があります。
もちろん、二学期が終わると冬季休暇です!
しかし、最後の難関、期末試験が・・・。
しかも、ウチの学園では筆記だけでなく、実技試験があります・・・いえ、むしろ実技試験こそ重視されます。
さすがは実戦重視の軍学校なんです。
そして先月始まったばかりの「基礎体力向上」もしっかり試験があったりします。
わたしたちの身体能力を試験するということです。
「は~・・・何が悲しくて魔法学校に入ったのに4kmも走んなきゃなんないのよ・・・めっちゃ心外よ!」
座り込んだエミルの叫びは、みんなの心の声です。
「確かに・・・あ!?いいえ、何を言うんですか、エミル!エクスェイル教官の授業なんですよ!?」
美少年教官目当てのシャルノ以外のみんなですけど。
「・・・ツライ。」
見かけによらず身体能力に長けたリトですら、この始末。
みんなバテバテ。
いえ、わたしだって疲れていますけど。
「・・・クラリスは元気ですね?一番早かったのに。」
「そうそう。すごいとばしてアルユンもぶっちぎって!」
「・・・レンはもう死んじゃうの・・・。」
なんとか長距離走では首位を奪取したわたしです。
バランス感覚でも首位でした。
しかし筋力では断トツでジーナ、柔軟性ではシャルノ、短距離走ではリトに首位をとられています。
悔しいんです。
本気で全部首位を目指したのに・・・。
「クラリス様?」
メルになんか、こんな顔を見せられません!
平気な顔をして立ち上がります。
「メル。叔父様はお元気ですか?また「術式の書方」の講義をお休みになられましたが?」
まったく、あの方のひきこもり癖は治りません。
あんなに強い人だったのに。
「・・・ですが「魔術原理」の方はなんと二週間で一度も休まず、先日も試験監督まで・・・」
「何のフォローですか、それは。」
たかが二週間、しかも二種類の講義の片方を休まないのを褒められるって、どんな重病人か社会不適応者か・・・・あ~後者でしたね、叔父様は。しかも年季のお入りになった。
ここ数日、共に外出したなんてありえない経験をしたせいで、つい忘れてしまいます。
「クラリス様・・・ご主人様は・・・」
珍しく殊勝な口調になってわたしに話しかけたメルです。
なんでしょう?
つい身構えてしまいます。
でも、その前に・・・。
「おっと、メル。今は休憩中かい?」
そのお声!?
振り向いたわたしとメルの眼の前には
「叔父様?」
「ご主人様!?」
・・・当のご本人がいるんです。
「おじさん!試験の手伝いに来て・・・」
ジロリ。
エクスェイル教官は叔父様ににらまれて口をつぐみます。
後日知ったことですが、実技系の試験は監督が多い方が助かるのです。
ですが試験期間中は他の教官方も問題の作成や採点、総合評価などをするのに忙しく、なかなか立場の低い講師に手伝いに来てはくれないのです。
そこで、困ったエクスェイル教官がつい、旧知の叔父様を頼ってしまった、と言うことなのです。
「えっと、フェルノウル教官。お手伝い感謝します!」
それでなくても子ども時代から叔父様に恩を感じているエクスェイル教官です。
叔父様ににらまれると、もう大変。
直立不動の姿勢なんです。
「・・・エクスェイル教官、言っておくが、僕は男に「おじさん」扱いされて喜ぶような特殊な趣味はない。自分がちょっと若くてイケメンだからって、「おじさん」扱いはやめてくれ。」
生まれて間もないわたし相手に「叔父様」って呼ぶよう散々洗脳した特殊な趣味の持ち主が、どの口でおっしゃるのでしょうか?
しかも若くて美男子の同僚に露骨に嫉妬してるんじゃ?
ま、それでもこれはこれで一安心です。
決してわたしは「腐っている」わけではありませんが、先日のサムライさんとの一件で、つい妙な想像が働きそうだったので。
それに・・・大公殿下とも、なんだかアヤシイって、ちょっと・・・。
「で、キミたち。まさか長距離走なんて頑張ったって、魔術士に何の役に立つもんか・・・なんて考えてないよね?」
みんなドッキリです!
エミルなんて口を押えて飛び上ってます。
あのきれいなお嬢様顔のなんて無駄遣い、資源の浪費も極まりないんです。
「やれやれ・・・もともと人族は天性の長距離ランナーなんだけど・・・もっともひきこもりで運動不足の僕が言っても説得力ないか?でもね・・・10月の戦場実習の報告書、読ませてもらったんだが・・・キミたちは戦場に赴く前に、たった一日歩いただけでボロボロだったそうじゃないか?ま、予想はするべきだったけど。」
グサッ、です。
思わず一斉に胸を抑えるわたしたちなんです。
初日の30km行軍で、足の皮はめくれ、かかとは炎症、ふくらはぎにも激痛が走り、膝はガクガク・・・加えて全身疲労の極致でした。
「いいかい・・・ほとんどの戦いは、戦場にいる時間より戦場まで移動する時間の方が長い。まして魔法兵なんて術式を唱え直接戦闘を行う時間なんてほんのわずかだ。」
人の失態を指摘する時の容赦のなさも、この人の特殊な趣味なんでしょう。
それでもわたしたちはその言葉の正しさを理解できないほど愚かではないのです。
「そして、キミたち魔法兵は魔力が尽きたら軽歩兵以下。戦場で思いっきり魔法を使ったらアッと言う間にただの足手まといになるんだよ?そのうえ、戦場に着くまで、荷物も装備も軽くて負担も少ない。そのキミたちが、だ。戦場に着く前にボロボロになって戦闘不能者が続出?それじゃあわざわざお荷物になるために戦場に来るみたいなもんじゃないか?」
ただ・・・叔父様の指摘が厳し過ぎるのは・・・きっと魔術関係の時。
自分が使えない魔術を使える者には、つい遠慮がなくなると言うか、嫉妬交じりになると言うか・・・そんな感じだと思います。
そんな子どもみたいな感情。
今のお顔もですけど。
「さらに言うなら、魔術を行使するためには、敵との適切な交戦距離を保たなきゃいけない。だから戦況によっては、けっこう細かく移動することもある。だから、ぼうっとしてると味方が間合いをとってくれるのに甘えて自分で動かないから他の兵に嫌われたりする。いくら貴重な魔法兵だからって、自主的に動ける判断力と体力が必要だ。それが分からない新米魔法兵は自分だけじゃない、味方も殺すんだ!」
ですが・・・一番は、ご自分のつらすぎる従軍経験を思い出し、わたしたちをそんな目に合わせたくない、と心配してくださっているのです。
この人には似合わない険しい目も厳しい口調も、全部わたしたちのため・・・ま、それが丸わかりなのは、所詮は叔父様なんです。
「悪魔」のような主任には悪辣さで半歩及ばないのです。
いえ、及んで欲しいとは決して思いませんけど。
「覚えておきたまえ。戦場で戦うだけが戦争じゃないんだ・・・それなのにセイン・・・いや、エクスェイル教官はキミたちに情けをかけた。本来長距離走は8kmで実施、加えて長距離行軍15kmの試験を行うべきところを彼は授業が始まったばかりだって、他の教官を説得して、今回は4km走だけにとどめたんだ。それだけキミたちが未熟、ということだ。」
単に魔術を使うだけなら魔術師。
しかし、国に認定され、軍人として戦場に赴き魔術を行使する者は魔術士なのです。
わたしたちは魔法兵、つまり魔術士。
だから、この日叔父様がわたしたちに投げかけた言葉は「魔術士」失格、ということなのです。
「ですが、フェルノウル教官!生徒たちは本格的な身体能力向上訓練を始めたばかりです。いきなり成果は・・・。」
エクスェイル教官殿が、落ち込むわたしたちを見かねて、かばってくれます。
ちょっと意外です。
少し前までは、強圧的で、悪い意味で主任の真似をしていたように見えていたんですから。
シャルノなんか目を輝かせて、そんなエクスェイル教官に見とれています。
やれやれ、ですけど。
「・・・ああ。だから、僕もキミの意見に反対しなかったし、今だって別に彼女らの体力に文句をつけてるわけじゃない。」
「失格宣言」までしておいて?
「・・・すまなかった。エクスェイル教官。キミに文句を言ってるわけじゃないし、生徒をくさしているわけでもない・・・ただ、ちゃんと考えてほしかったんだ。できれば、教官に言われてからじゃなくて、自分たちで。あの戦場実習での経験を活かす術を、ね。」
そう言って、叔父様は、エクスェイル教官とわたしたちにあらためて「言い過ぎた、すまない」って頭を下げられました。
もっとも叔父様の発言のどれ一つ間違ってはいなかったし、珍しく語気が荒かったのもわたしたちを真剣に案じたから、そうみんなわかっていたのです。
だから、その後の試験は、もう全員真剣そのもの。
リトにレン、アルユンという一部のフェルノウル派の生徒なんか、もう死に物狂いです。
特にもともと身体能力に定評のあったリトは跳躍と反射神経でも首位。
わたしは僅差で敗れてしまいました。
結局、総合首位はリト。
次点がわたし、つづいてジーナ、シャルノ、ヒルデアとなったのです。
「さすが、リトです・・・正直悔しいです。」
もし叔父様があんなことを言わなかったら、リトが油断して・・・、なんてイヤなことまで考えてしまいます。
「・・・危なかった。クラリス、すごい気迫だった。」
だから、そう言ってくれるのは、少し心苦しいんです。
「確かに・・・一学期までのクラリスとは体力的にも随分伸びましたね。わたくし、追いぬかれてしまいました。リトも更に伸びて・・・これから自分を鍛えなおしです。」
「そうだよ、リト、すごかったし、クラリスはあのジーナまで追いぬいて、めっちゃがんばったじゃん!わたいなんか、もう全然だよ~。」
一学期、入学当初にも簡単な体力測定がありました。
短距離走と筋力、反射神経だけでしたけど。
その時はリトとジーナとシャルノの三強でした。
それと比べれば、確かにどんな実習の時間でも全て全力で挑んだ成果が出たんだと思います。
ですが・・・
「叔父様に言われるまで、わたし、考えてませんでした。あんなに戦場実習で苦労したのに、自分で考えて何かに取り組もうって・・・この授業も、叔父様に指摘されるまでこんなに大事だなんて考えもせず・・・」
わたしはまだまだなんです。
これでは、あの人に追いつけない、一緒にいられない。
また叔父様に守られてばかりなんです。
ですから
「次の魔術詠唱で、勝負です!」
自分からみんなに宣戦布告をするんです。
油断もなにもない真剣勝負をするために。




