7話『格闘スキルによる魔力節約』
この小説書き始めてからは、他の方の作品を見ては凄いなぁって感じます。
「あー、いつ来るのかなぁ?」
薄暗い部屋に子供が1人、椅子に座って喋っている。
「うーん、あそこからだと1週間近くはかかるかも……失敗したなぁ。」
こうやって話している姿は落ち込んでいるただの少年に見えなくもない。
「まあ、どっちにしろ僕達の邪魔になりそうなやつは殺すんだけどね!あははははは!」
明らかに普通ではない事を言いながら、楽しそうに笑う少年。
「きっちり殺してあげるよ……このシグマ様がね。」
☆
「スキルとった方がいいよな……」
「……そう、だね。」
Lvが上がったおかげでSPが大量にある。
色々上げておくなら今だろう。
緊急時に魔法を使えるように節約しなければいけない。
フィエナにもアドバイスを貰いつつ、これからに備えるスキルを取っていく。
『MP自然回復LvMAX』『HP自然回復LvMAX』
『身体強化LvMAX』『MP増加LvMAX』
『気配察知LvMAX』『刀術LvMAX 』
『魔力操作LvMAX』『重力魔法LvMAX』
『縮地Lv5』『身体操作Lv5』
『消費MP軽減LvMAX』『必要経験値1/2』
『限界突破Lv1』『状態異常耐性LvMAX』
『魔刃Lv5』『全属性耐性LvMAX』
『全能力補正LvMAX』
残りSP
807→277
今思いつくスキルを片っ端から取っていったがそれでもまだかなり残っている。
だが、無理に使う必要も無いだろう。
さて、目で見てステータスに影響を与えるものを紹介していこう。
自然回復系についてだが、 元々回復するだろう?と思う人も居るだろう。
だが、これを取るとLv1ごとに回復量が一気に増える。
最大まで上げると、1時間で1割ほど回復するというビックリ性能だ。
全能力補正はMPとHP以外をLv1ごとに2割、Lv6からは4割上昇だ。
MP増加はLv1ごとに3割、Lv6からは5割上昇する。
そんな俺の現在のMPはこちら。
MP 18671/240000
倍近くに増えました!さらに、軽減も入って1/10まで必要MPも減ったので効率も上がった。
ところでMPと魔力、どちらで呼ぶべきなのだろうか?と思いフィエナに聞いたところ、魔力と呼ぶのが一般的らしい。
魔力操作の練習とかで紛らわしいから、だそうだ。
これからはステータスを見る時だけMPと呼ぼうかな。
閑話休題。
最後に見つけた必要経験値1/2だ。
『取得経験値二倍』があるので普通の人の4倍の早さでLvが上がる。
その他にも上げたり増やしたりしているので色々見て――
くぅ〜〜
「……今のは、えっと……」
……いこうと思ったが、はらぺこ娘が居るようなのでご飯の時間にしよう。
え?食材何処だよって?決まっている、無限収納だ。
過保護なシエラにかかれば、1ヶ月過ごせる程度の食材は余裕である。
2時間経っても殆ど進んでいない状態だったのを考えると、これはありがたい。
俺は、肉や野菜、魚や調味料を取り出した所で気づいた。
それは……調理器具が存在しない事だ。
「仕方ない……魔法で焼くか。フィエナ、悪いけどもしかしたらあんまり美味しくないかもしれないけど我慢してくれ。」
「……ん、平気。この状況で我儘言ったり、しない。」
俺は空中に、火魔法で火を出す。
ただ、そのまま焼くには俺の手が危ないので空間魔法により食材を浮かせる事にする。
むっ、同時に3つの魔法はきついな。
そう考えた所でいつものあれが。
『スキル【並列思考】を取得しました。』
スキルが魔法の同時発動をサポートする事で負担が減った。
風魔法で1口サイズにカットして……いざ!と豚肉もどきを焼き始めた所、意外な所でスキルの効果が働いている事が判明した。
「……ジュル……美味しそう。」
「凄い美味そうだな。」
それは魔力操作によるものだった。
料理のプロがやっているかのような火加減により肉の美味さを最大限に引き出すことが出来ている。
その後もいくつか焼いて、無限収納から皿を取り出す。……何で食器はあるんだ?いやまあ、別にいいか。
準備もできたので、
「「いただきます。」」
見た目から美味そうな仕上がりになった肉をパクッと食べる。
う、美味い。
魚や野菜も塩と胡椒しか使っていないが、俺が普通に料理するより美味いと思う。
「魔力操作最強か……?」
魔法使いが料理人でも最強になる時代がキタ!と1人で考えていた俺に冷静な意見が1つ。
「……普通に、料理スキル……あるけど……」
「あっ」
そういや、そうだわ。と、恥ずかしくなりつつ料理スキルをLvMAXまで35pで取る。
しばらく俺が作ることになるだろうから、フィエナに不味いご飯を食べさせない為に妥協は出来るだけしない。
残りSP
277→242
「うし、ごちそうさまでしたっと。」
俺は早めに食べ終えたので、MPを回復する為に瞑想みたいな事をしてみる。
『スキル【瞑想】を取得しました。』
まさか、本当にあるとは……
せっかくなのでそのまま続けた結果、フィエナが食べ終えて後ろから抱きしめてくるまでにLvが3上がり、MPは4割まで回復した。
「……そろそろ、出発?」
「ああ、行こう。」
すっと立ち上がり、視線を交わして頷き合う。
俺が空間魔法を解除して歩き出そうとするが……
「……その前に魔石回収しないと、ね。」
出発にはもう少しかかるみたいだ。
☆
「ふう、多かったな。」
300以上はあったと思うし、魔物はかなり馬鹿なヤツが多いようだ。
「……しかも、早速……」
狙ったように魔物が出てきた。
今回はオーク系のやつらなので、スキルを試すのに丁度いい。
今回近接戦闘用のスキルを上げたのは、MPを出来るだけ使わずに倒すためだ。
消費が軽減されたとはいえ、これから強くなっていく敵を全て魔法で倒していては足りなくなるだろう。
黒薔薇を抜いて、構えずに腕をだらんとする。
「ガァァァ!!」
迫ってくるオークの一体を出来るだけ冷静に見て、タイミングを図る。
オークざ手に持った棍棒を振りかぶった瞬間に、残像が見えるような速度で逆袈裟斬りをする。
何故普通に構えて無かったのかと言えば、 自分の通常速度を知るためだ。
現代の高校生が命の軽い異世界に来ても、常に警戒だの即座に反応だのが出来るはずはない。
ならばスキルの力で、後手からでも圧倒出来るようにするのが無難だと考えた。
故に身体強化は使わずに素の動きを試したのだが、結果はご覧の通りオークなら楽勝だ。
次は使った場合を試してみようと思い、MP……いや、魔力を体に纏わせる。
「ふぅ……」
このスキルは魔法の1つなので、魔力操作により細かい調節が可能だ。
今回は限界が知りたいので全力で強化する。
襲ってきたオークの残りは4匹、先程の結果からすると一気に倒す事が出来る。
そこまで考え縮地を使って一瞬で敵の真ん中に飛び込んだ俺は、刀をくるっと輪を描くように黒薔薇を振り抜く。
切られた直後すっと筋が入ったと思えば、オーク達は上下に別れて倒れていく。
そういえば、スキルのおかげか分からないが気分も悪くなっていないな……と考えながら魔石の回収を行う。
この世界でどの程度の強さなのかは分からないし、俺たちをここに連れてきた奴を倒せるとは思えない。
だが、それは辿り着くまでにLvを上げれば解決すればいい。
回収を終えて立ち上がり、フィエナの元に行く。
「……私、何か出来ない?」
「へ?どうしたんだ急に……?」
軽く頭を撫でて癒されていると、急にそんな事を言い出す。
別にそんな事は微塵も思っていないどころか、フィエナのおかげでこんな場所でも冷静でいられたんだと考えている。
そんな恩人とも言えるフィエナは、申し訳なさそうな顔をしている。
「……戦えないし……他に出来ることも無いし……邪魔かもって……。」
そうか……そんな風に考えていたのならしっかり否定してやらないといけない。
「確かに今戦っているのは俺だ。でもさ、ここに来た時生きていられたのはフィエナが守ってくれたからだろう?」
「……あっ…」
何も出来ないと不安に思うばかりに、忘れていたのかも知れない。
実際は命の恩人でもあるし……
「俺はフィエナを守りたいんだ、恋人として。それとも……俺に守られるのは嫌か?」
「……あぅ……い、嫌じゃない。むしろ、嬉しい。」
恥ずかしいセリフだったが、頑張って言った甲斐はあったようだ。
フィエナは照れつつも抱き締めて、顔を近付けてくる。
「……チュッ……大好き。……ふふっ。」
「俺もだ。……でも、いい加減出発しないとな。」
「……ん、分かった。」
このままイチャイチャタイムに入りたい所だが、さっきから全く進んでいない。
いい加減にしないと食料が無くなる前に辿り着けなくなってしまうだろう。
今度は魔物も出てこなかったので、本当に歩き始める。
そこから数十分ほどは、魔物に遭遇せず順調に進む事が出来た。
先程までいた空間魔法でかなりの数が死んでいたのを考えると、近くの魔物は全滅していたのかもしれない。
マップを見ると、結構な距離を進んだようだ。
と、そこで新手の魔物が来た。
「キシャァァ!」
見た目は大きい蛇だが、動きは素早い可能性が高い。
しかし、攻撃を仕掛けようとした俺の動きは止めざるを得なかった。
その理由は奴が吐いた霧のようなものだ。
触れるとまずいかもしれないので、奴に鑑定をして確認しておく。
するとステータスはやはりAGIが高かったが問題はそれではなく、スキルに『石化ブレス』というものがあった。
恐らく、魔物特有のスキルだと思われる。
ここで渋って死んでしまっては元も子もないので、風魔法によりブレスごと奴を吹き飛ばす。
グシャという感じの音がしたので見に行くと、倒すことが出来たようだと確認できた。
そこから先は、違う魔物が出てくるようになっていた。
この空間は下に降りる階段があって、そこを降りていくと魔物の種類が変わるようだ。
マップからするとあと3回ほど魔物の種類は変わるようだ。
ラビットやスパイダー、吸血コウモリやら痺れる鱗粉を撒き散らす蝶なんかも居た。
中でも、こいつが居たのは嬉しかった。
「プギャー!」
豚さんだと思ったか?残念、イノシシさんだよ。……貴重な食料ゲットだな!
サクッと倒せたが、上よりも魔物が強くなっているので経験値も多い。
その逆にいない方が助かる、台所の悪魔も居た。……しかも巨大化のオマケ付きで。
カサカサ……っと音がしたかと思えば、右前方の天井から飛んでくるという登場の仕方。
しかも、それが10回以上は起きたのでかなり気持ち悪かった。
ちなみに、こいつは触りたくないので魔石の回収はしなかった。
「……い、いや……無理、来ないで……!」
獣人のフィエナもゴキさんは無理なようで、珍しく大声を出していた。
それにしても、ここを作った奴は馬鹿なのだろうか?
魔物との遭遇率が高すぎて、チートがある俺みたいなのじゃないとまともに進めないだろう。
あるいはそれが狙いなのかもしれないので、俺には判断出来ないが。
幸い魔力も切れることが無く、フィエナのために休憩を挟みつつも10時間は移動していた。
そうして、進んだ先でたどり着いたのは階段……ではなく、
『この先ボスが出現します。』
と、書かれた看板のある部屋の前だった。
「ボス部屋って事だよな……」
「……ここって、ダンジョン……?」
看板を見たフィエナは、俺とは違いこの場所について考えていたようだ。
「なあ、ダンジョンって何だ?」
ラノベにも出ていたりするが、ダンジョンがある理由が気になった。
「……理由は、知らない。けど、昔作った人がいて魔物が出てくる迷宮なんだって聞いた。」
「そうなのか……出たら調べてみるか。」
今はこのボス部屋が問題なので、考えなければいけない。
「とは言っても、ここしか道ないし入るしかないんだよなぁ。」
「……ファイト、ご主人様。」
そう、ここ以外を通って階段に行く道が存在しなかった。
という訳で、仕方なく扉に手をかけていく。
ゴッゴゴゴっと思い石が擦れる音を響かせながら、扉は開く。
そして、開いた扉の先で俺が見たのは。
「迫力が凄いな……」
「……私の3倍以上はある……」
6メートル近くはある、緑色の巨人だった。
スキルカンストが早いですけど大丈夫です。
そして次回、戦闘を真面目にさせてみます。