プロローグ『テンプレに終わりチートに始まる』
初投稿です!
酷いかも知れませんが読んで頂けると幸いです。
女神の名前を、シオラから、シエラに変更しました。
というか、間違えてシエラにしてたのが、しっくり来てたんです。
――つまらない。
小さい頃から、俺はそう思っていた。
学校に行く事も、家で過ごす事も、そんな風に考えていたからだろうか?だんだん不登校になっていき、ついには高校を辞めてしまった。
でも別に引きこもりやニートになった訳じゃない。
バイトを始めて、出来るだけ親に迷惑をかけないようにはしていた。……やり甲斐は無かったが。
それから俺は、本屋で偶然見つけたラノベや、元から好きだったゲームを趣味に生きていた。
とはいえ、別にオタクと言う程は詳しくないし、やっぱり心からは楽しめていなかったのかもしれない。
「初めまして。私は――」
だから、こんな事が現実に起こるなんて思ってもみなかった。
「――君の願いを叶えてあげるよ。」
――あぁ、現実も意外と面白い事があるみたいだ。
今度は、やりたい事が見つかるかもしれない。
☆
とりあえず、そこに行き着くまでの話をしよう。
俺は朝から時間を忘れ新作のゲームをやっていた。
そのせいで、バイトに遅刻そうな時間になって、ようやく家を出ることになってしまった。
普段はゆっくり歩いてる道を駆けていく。
早起きしてゲームをやっていたので、少し体がダルいが、ただ走るだけなら支障はない。
「あっ、くそっ」
しかし、それはフラグだったらしい。
もう少し早めに走れば間に合ったはずの信号に捕まってしまった。……まあ、間に合わなかったものは仕方が無い。
ラッキーな事に、ここは青になるまでが長いので、息を整えることにする。もっと遅くなるというのは、気にしたら負けだ。
「ん?あれは……」
信号が変わるのを待っていると向こうから女の子が歩いて来るのが見える。スマホを見ながら歩いているので赤だと気づいていないのだろうか。
まあ、ここはそれ程車の通りも多くないし、問題ないだろう。と、思っていたのだがどうやらトラックが来てしまったようだ。またしてもフラグ回収。
「あのー、車きてますよー」
呼びかけたのに何故か反応が無い。どうやらイヤホンを付けているようだ。トラックの運転手を見るが、女の子は運悪く見えていないらしい。
「おーい!車きてるって!」
仕方ないので、今度は声を大きめにして女の子に呼びかける。しかし、それでも反応が無い。
――どんだけ音大きくしてんだよっ。
心の中でそう愚痴るが、トラックの運転手は気づかない。
まだ多少の余裕はあるが、女の子はスマホを見ているせいで歩くのがやたらと遅い。
伝えに行くべきだろうか?
そう考える俺の脳裏には、転生物のラノベにある、轢かれそうな人を庇って、死んでしまうというシーンが思い浮かぶ。
「やばっ!」
そんな事を考えていたせいでトラックは女の子のかなり近くまで迫っていた。このまま見殺しにする訳にはいかないので、助けるべく走り出す俺。だが、動き出すのが遅すぎたせいで、このままでは間に合わない。
そう判断した俺は女の子から1メートルの所から全力で前に飛び込む。……だが、
「え?」
寝不足が祟って、上手く力が入らずに、中途半端な勢いで、押し出すように女の子を突き飛ばすことになってしまった。そして、突き飛ばされた子はこちらを驚いた様子で見ている。
だが、そんな事を気にしている暇もないくらいに俺は焦っている。何故なら、女の子を助けられた代わりに俺はトラックの目の前に倒れてしまったからだ。
――間に合わないよなぁ。
半ば諦めた俺は、一縷の望みに賭けて、トラックの運転手を見る。少し前に気づいていたようで、運転手が焦った顔でブレーキをかけているみたいだ。とはいえ、流石にこの賭けは無理があるようだが。
――でも、女の子を助けて死ぬなら、悪くないな。
それを最後に意識は途絶えた。
☆
「あれ?ここは一体……」
「おや、お目覚めのようですね。星乃 渚紗くん♪」
次に目覚めた時、そこは真っ白な世界が広がっていた。
少し混乱したが、話しかけてきた人物を見て、さらに混乱することになる。何故なら、アイドルも裸足で逃げ出すような美少女が俺の上に跨っていたからである。
そうして、何も言えずに固まっていると、
「ん〜?あ、私が乗ってるのはそんなに気にしなくていいよ?」
「いや、気にするわ」
むしろ、気にしないでいられるのは、男じゃない。
「え〜?どうしてかな?」
ニヤニヤとしながら顔を見てくるが、そりゃあ美少女に跨られてたら息子的な意味で問題が出てくる。だが、突っ込みを入れたおかげで少し落ち着くことは出来た。
「やだなぁ、ニヤニヤなんてしてないよ」
「そんな事より、ここは何処でお前は誰だ?」
というか、そもそも俺は口に出した覚えは無い。
その辺りも俺の予想通りなら……
「初めまして。私はシエラ、君の予想通り女神だよ。そしてここは、神界と呼ばれる場所です。」
「やっぱり、思考を読み取れるみたいだな。」
テンプレではあるが、本当に女神っているんだなぁ。
「シエラって気軽に呼んでね♪」と一瞬前の雰囲気をぶち壊したシオラを改めて見てみると、プラチナブロンドで長さは背中まであるサラサラした髪だ。
胸は程よくあるし、くびれとかお尻とかも含め女神という言葉がしっくりくる。やはり、地球じゃちょっと見たことないような美少女だ。
そんな風に観察してると…
「あ、あのね?流石にそこまでじっくり見られてると恥ずかしいっていうか……」
「いや、そうは言うがな。俺の上に乗ってる状態だと自然と目に入るんだから仕方ないだろ。というか、いい加減に降りてくれ。」
そう言うと、何故か名残惜しそうにしながらシオラが正面に立つ。嫌ではないが、流石にあのままだと理性が崩壊する。
「ふふっ。それじゃあ、色々と説明していこうか!」
どうやら、俺の思考を読んで機嫌を直したらしいシオラが説明をしてくれるみたいだ。だが、どうして機嫌を直したのかはイマイチ分からない。
「ああ、それじゃ、そもそも俺がここに呼ばれた理由から頼む。死んだら、皆ここに来るのか?」
「あー、それなんだけどね、君が助けた女の子が居たでしょ?実はその子、凄い重要人物だったのもあって、ご褒美あげようかなって。」
「そうだったのか?でも、それくらいなら、神の力とかで何とかすれば良かったんじゃ?」
そう、神様ならそれくらい何とか出来るはずだ。
「もちろん何とかしようとはしたよ?でもね、あの子は運命に縛られていてどうしようも無かったんだ。」
あー、日本だと厨二病って言われそうなセリフ。
「は?何だそれ。俺は普通に助けただけだぞ?」
「それがそうでも無いんだ。あそこで君が女の子を突き飛ばして、倒れるなんて事は想定外なんだ。」
つまり、あそこで倒れなかった場合は助からず死んでいたと?
「まあ、君がドジったおかげってことだね。」
「それ、何か情けなくないか……?」
ドジって女の子を助け、その代わりに死んじゃったもんな。
「そんな事ないよ。君が助けた女の子は、遠くない未来、地球を救うからね。まあ、今の君に説明するのは少し難しいんだけど。」
「ん?それって……いや、まあいいけどさ。それで、俺にどんなご褒美をくれるんだ?」
どうせ、死んでしまったのだから、聞いても意味は無い。
そんな事よりも、女神であるシオラから何が貰えるのかが重要だ。神様なのだし、良いものをくれるばずだ。
「聞かないんだ……ま、いいけどね。それでね、君へのご褒美だけど……」
溜めを入れられたせいで少し緊張してきた。
転生か?それとも神界で過ごせる場所を作ってくれるとか?
「何でも、君の願いを叶えてあげるよ。」
「ふぁ!?」
「おー、いい反応だねぇー」
何でも?本当に何でも?というか、1つって言わなかったが何個でも良いのか?
「私が出来る範囲なら何でもいいよ。それに1個じゃなくてもいい。それくらい、凄いことをしたからね。」
困惑してる俺の思考を読んで答えてくれるシオラ。
「じゃあ、まずはだな……異世界ってあるのか?」
「うん、あるよ。君が好きなラノベに出てくるような所もある。」
「何で俺がラノベ好きなのを知っているのかは気にしないとして、俺はやっぱり異世界に転生したいな……んーと、こんな感じの。」
上手く言葉に出来なかった俺は、シエラが思考を読めるのを利用して行きたい世界をイメージすることにした。
「オッケー、ちゃんと伝わったよ!それじゃあ、君のイメージ通りの世界の説明、パパッとしちゃおっか♪」
シエラによるとこうだ。
・剣と魔法のよく見るファンタジーな世界
・魔物は害を成すものとされている
・魔王と呼ばれる魔族たちの王がいる
・ステータス、スキルが存在する
・種族は普通の人、魔族、そして数多くの亜人が存在する
・勇者として異世界から呼ばれた人もいる
成人は男女共に15歳
「大事なのはこのくらいかな。それ以外の細かいところは着いてから私に聞いてくれればいいよ!」
ここでお別れだと思っていたのだが……どうやら、俺と連絡がとれるようにするつもりらしい。
「君のステータスは17歳がレベル1の場合の平均値を20倍にしておくよ。」
「まあ、危険な世界なんだろうしその方がいいよな」
「それとね、才能は かなり高めにして、体は17歳で顔もカッコよくして、スキルも覚えやすくして、無限収納を使えるようにして、レベルも上げやすくして、あ、スキルがあっても知識が必要だろうからスキル取得と同時に得られるようにするね。それからそれから……」
物凄い勢いで言われても、覚えられない。
「と、とりあえず落ち着け。な?」
「あ、ごめんね?その、初めてだから緊張しちゃって……何か欲しいものあるかな? 」
「初めてだから緊張しちゃって」にグッとくるものがあったが抑える。そして何か必要なものが無いか考えるが、殆ど言われたので一つだけ伝える事にした。
「お金多少貰えるとありがたいな」
「分かった!無限収納に入れておくね。……それで、どうする?すぐに行っちゃうの?」
「ああ、そうだな。すぐに行きたいな。」
これから新しい人生が始まるんだ、早く行きたい。
「そ、そっか……それじゃあ、転生させるね?たまにはお話してくれると嬉しいな。」
「ああ、もちろん。シエラに貰った人生、頑張ってみるよ。ありがとう、感謝してる。」
そして、だんだんと視界が段々と白く染っていく。
ふと、意識が無くなる前に声が聞こえた気がした。
「私も………から…っててね、渚紗君。だい……だよ」
そして、終わったはずの人生はドジのおかげで異世界で再度始まることになった。
……しかし、本当の始まりが、もう少し先の事であるなど、この時の俺には知る由もなかった。
はい、お気づきかと思いますがシエラちゃんはヒロイン枠です。
しばらくは渚紗と通話的なことをするだけになりますが、そのうち……