I hope that our friendship is forever.
呟かれた言葉に耳を疑っていると、レイは取り繕うように続ける。
「昨日イトちゃん言ったよね、友達と一緒に映画みれば、とか。」
ああ、そんなコト言ったっけかな。
それに対してレイは確か、友達なんていない、というようなことを言ったんだっけ。
友達なんていないから、『バックトゥザフューチャー』の続きを見ることが出来ない、と。
「それで、わたしイトちゃんの家にまた行くって決めたよね。」
そう、目の前の身勝手なコイツはそう取り決めして、俺は渋々許可してやった。
まあそれがいつになるかはまた別の話なわけだけどな。
「だから、それで友達ってことにしたいんだよ。」
「はあ。」
俺は曖昧に返事をした。
今迄の人生において、友達になりましょう、そうしましょうと言い合って友情を結んだことは一度もない。
そういうのは自然に、お互い心を許し合ったときに成り行きで己が心に生まれるのが普通だと思っていたし、大体において男同士だとそんなの気持ち悪いだろ。
『赤毛のアン』じゃあるまいし……つっても、今眼前に立っているこいつは野郎ではなく、女で、小学校中退という経歴を持つ、バンドマン(ここはウーマンなのか?)で、自称友人がゼロの、大凡俺の知る常識から大幅にコースアウトした一風変わった人間なのだ。
なので人間関係の育み方っつーやつも、通常のパターンは当てはまらないと考えるべきなのかもしれない。
だから言ってやった。
「俺は、もう友達だと思ってたよ。」
すると瞬時にレイの顔が驚きに満ち溢れ、歓喜に染まるのが見て取れた。
あー……これは、照れる。
赤福餅が積み上げられた土産物屋の一角で、なんつーハートウォーミングな茶番を繰り広げているんだか。
「よかったー、馬鹿だから断られるかと思った。」
「馬鹿は関係ないでしょ。」
「えー?でもイトちゃんはちゃんとしてるんだもん」
「だからそんなこと、」言いかけて、横目に入った腕時計を見れば、セオが連絡してくれた待ち合わせの時間が迫っていた。
「あ、もう改札向かうか。」
「うん。」
こっぱずかしい会話を切り上げて、足早に進む俺たちは周りからすればどう見えているのか不明だが、たった今の協定によってオトモダチ、と正式にその関係性が表明されたわけだ。
得体のしれない謎の安心感があるな。
と、俺は無邪気に考えていた。




